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エキスパートクラス

 闘技場に着いた俺は受け付けを済ませ、早速魔法陣へと乗った。

 前回はユキと離れ離れになってしまったので、今回は全員で手をつないでみた。だが、移動している最中にその感触が不意に消え去った。どうやら小細工は通用しないらしい。

 やがて視界がはっきりしてきたので、辺りの様子を確認する。どうやら今回は石ではなく砂で壁が造られているようだ。

 脳内に流れ込んできた『エキスパートクラス闘技場』という情報をそっちのけにし、自分の位置をマップで確認することを優先する。現在地は北西の小部屋で、通路は東側に続いている。


「キリノ様、聞こえますか」

「ユキ、しっかり聞こえてるぞ。そっちの様子はどうだ?」

「周りにはアイテムも敵も存在しません。通路は南側です」

「わかった、ありがとう。ディアナはどうだ?」


 そう問いかけたが、数秒待っても返答はなかった。どうやら離れていてもコンタクトを取れるのはユキとだけのようだ。システムメッセージから得られる情報は、俺もユキもディアナもレベル15に設定されているということだけだ。


 仕方なく今わかっている情報からユキの居場所を推測すると、まずは俺のいる北西の部屋が除外される。

 同時に、真北の部屋もほぼありえない。そこは俺の部屋と繋がっているため、西側にも通路が存在するということになる。そこにユキがいると仮定すると矛盾が生じる。

 そして、南に通路が続いているということから南西、真南、南東の部屋である可能性は低い。

 中央の部屋は通路が複数ある場合が多いので、その可能性も低いだろう。


 以上の理由から、ユキは北東か真西か真東の部屋にいるはずだ。


「ユキはそのまま部屋にいてくれ。ディアナは多分、前もって話した通り俺たちを守るために動くはずだ。きっと助けに来てくれる!」

「了解です」


 ユキへと指示を出し終え、俺も行動に移る。敵がいたら瞬時に対応できるよう弓矢を構え、慎重に一歩ずつ通路を進む。そして着いた先の部屋には誰もいなく、通路は南側にある。

 そしてその通路を進み中央の部屋へ出ると、ディアナの姿があった。


「ディアナ。初めからこの部屋にいたのか?」

「否、我はここより西の部屋にいた」

「なるほど。これで情報をかなり絞り込むことができる」


 中央の部屋の西……つまり、元々彼女がいたのは真西の部屋だ。ということは、ユキがいるのはおそらく真東か北東の部屋。この中央部屋からは東へと続く通路がないから、南の部屋から回り込まなければならない。

 時間もかかるし、そこへ向かうまでの間に敵と遭遇する可能性はとても高いだろう。足止めされることになるかもしれないし、一刻も早く合流しないと……。


「ディアナ、おそらく北東の部屋にユキがいる。急いで向かうぞ」

「承知。それで、あの敵はいかがいたす?」

「何!?」


 ディアナの視線を辿り南の通路を見ると、そこには真っ白いコブラのモンスターがいた。その姿から、毒などの攻撃をしてくることが容易に想像がつく。

 そして、そのコブラは俺たちが戦闘態勢に入る前に、ものすごい速さでこちらへと向かってきた。


「く……! ディアナ、勝てそうか?」

「無問題」

「そうか。なら頼む」

「承知」


 そう言うのと同時に、ディアナは瞬時にモンスターの前へと向かった。俺はその横を走り抜け、全力で北東の部屋を目指す。

 だが、真南の部屋へ入ると、そこには別なモンスターが待ち構えていた。それは幼い男の子の姿をしていて、青白いハープを抱えている。

 いかにも厄介なことを仕掛けてきそうな見た目なので、俺は即座に弓矢をそいつへと向けた。だが、その瞬間弾き始めたハープの音色が耳に届き、不意に目の前が霞みだす。狙いを上手く定められずに困っていると、今度は体がだるくなり始める。

 このままでは一方的に負けてしまう。


「ディアナ……聞こえるか?」


 俺は背後の通路へと大声で問いかけた。

 だが……。


「くっ! 主よ、今はその余裕はない! この蛇……相当強い!」


 返ってきたのは悲痛な叫びだった。あのディアナが苦戦するなんて、相当の強敵だ。


「く……! みんな、なんとか凌いでくれ! 俺もすぐに向かうから!」


 必死に敵の催眠術を振り払い、弓矢を敵のいる方向へ向ける。相変わらず鳴り響くハープのに耐えつつ、俺は矢を放った。

 だが、ぼやける視界で上手く当たるはずもなく、音はその勢いを全く落とさない。外れたところを確かに見たわけではないのだが、敵の様子からそれは明らかなことだ。

 どうすればいいのか必死に考えているその時、俺に何かが勢いよくぶつかった。地面に叩きつけられ、体に冷たいという感覚が襲う。どうやら服が濡れたようで、周りの地面も湿っている。これはシャーマンやフロッグが使用したのと同じ魔法だ。

 霞む目を凝らしながら前方を確認すると、先程の敵とは別な何者かがいるように見えた。

 おそらく対戦相手として用意された兵士だろう。今の水魔法を放ってきたのはあいつだな……。


「ユキ……事情が変わった。敵はこっちに集結している。今すぐこちらへ来てくれ!」

「キリノ様!? 大丈夫ですか!?」

「正直厳しい……。こっちには催眠術を使うモンスターと、魔法を使う兵士がいる。俺だけではこの状況を切り抜けられない。頼む……!」

「了解です! すぐに向かいます!」


 伝えるまでの間、敵からの攻撃がこなくて助かった。だが……もう催眠術に抗うのも限界だ。

 後はユキとディアナに任せるしかない。

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