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新たなる布陣

 魔法陣によって城へと戻ると、そこにはカミヤの姿があった。その隣にはアズールの他に黒い巨人型のモンスターも佇んでいる。


「お、やっと戻ったか。どうやらお前たちもボスを倒せたようだな」

「お前の連れている巨人もそうなのか?」

「ああ、紹介するよ。こいつは古戦場のダンジョン最下層で倒したボスだ。こんな見た目だが、俺の言うことを聞くんだぜ? ほら、挨拶しろ」

「我はヘラクレスと申す。マスターがいつもお世話になっている」


 ヘラクレスと名乗った巨人は、地中から響くかのような低い声と共に深々と頭を下げた。

 俺と同じダンジョンを攻略していたのに、用意されていたボスは違ったようだ。それは最下層へと到着した順番によるものなのか、それとも実力を考慮してのことなのか。もしかすると事前の面接の結果が影響しているのかもしれない。


「お前も仲間が増えたことだし、エキスパートクラスに挑んでみたらどうだ?」

「エキスパートクラス?」

「次のダンジョンに向かうためには、コロシアムでそのクラスをクリアしなければならない。連れていけるモンスターは二体、持ち込めるアイテムは装備品を除いて三種類だ」


 ルーキークラスの時とは条件が違うのか。連れていく仲間はユキとディアナで決定だが、アイテムについては考えないといけないな……。


「俺たちはもう挑戦し終わったから、今日はプレイヤーの観察でもして待っといてやるよ。あんまり進みすぎると追いつこうという気力もなくなるだろう?」

「勝手に言っていろ」

「さて、俺はこいつらの装備を整えてやらないとだから、失礼させてもらう」


 そう言うなりカミヤはきびすひるがえした。

 相変わらず嫌味な奴だ。アズールも相変わらず不気味な笑い声を上げているだけだったし、全体的に感じが悪い。

 まあ、それは置いといて、こっちも仲間モンスターに持たせる武器やアイテムを確認した方がよさそうだな。そういえばディアナはアイテムを制限なく使用できるのだろうか? 俺と戦った時には薬と魔法書を奪って使っていたけれど……。


「ディアナ、お前はアイテムを何でも使えるのか?」

「我に扱えぬものはない」

「そうか。さすがは軍神だな」


 さて、どんなアイテムでも使えるとわかったが、実際のところ何を使わせるかは難しいな。武器防具や弓矢はディアナが元から持っていたものの方が強そうだし、魔法書を使わなくても充分戦えそうだ。首飾りは素早さが上がるようなものが今後手に入るかもしれないが、それだってあの瞬間移動があれば不必要な気がしてくる。

 今はまだ様子見か。


 そうすると、俺とユキでアイテムを分担することになる。

 今回の冒険で学んだことを生かして考えると、いざという時のためにユキには魔法書を持たせた方がよさそうだ。あまり重い武器は扱えないようだから、サポートに回ってもらうことになるだろう。

 対する俺は、パーティのリーダーとして戦うためにバランスよくアイテムを持つ必要がある。武器と防具はもちろん、厄介な敵が近づく前に倒すための弓矢、それに戦況次第では俺も魔法書を持っていた方がいいだろう。不意の出来事のために首飾りも欠かせない。

 薬瓶なども、ユキは持ちきれないだろうから俺が担当することになる。ユキたちに使用してもらいたい時は、その都度俺が投げ渡すこととなるだろう。

 以上の戦略を練ったところで預り所へと向かい、ユキが使う分のサンダーの魔法書と俺のスリープ以外を全て預けた。


「さて、今後の作戦を説明する」

「はい。しっかりとご命令通りに戦います」

拝聴はいちょう

「二人ともありがとう。ディアナは俺たちを守りながら戦ってくれ。厄介な敵が出現した時にはなるべく早く撃退し、俺たちが危険な時にはしっかり守る」

「承知した」

「ユキは俺たちのサポートだ。戦況に応じて上手くアイテムを使い分けてほしい。落ちているアイテムも使ってくれて構わないから」

「了解です」

「俺は薬や魔法書で応戦する。二人が危機に晒されるようなことがあったら、俺が何とかして助けるから」

「ありがとうございます」


 ディアナも無言で頷いた。これで作戦も整ったので、俺は二人を引き連れ闘技場への階段を下りた。

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