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新たな事実が判明する入学式

 晴れて私は中学1年生、なので魔法学園“レインボーストーン”にやってきた。

 貴族や平民が一緒に通う学園で、寮まで完備されている。

 ちなみに貴族の制服は、女性の場合は赤を基調としたもので、平民は青を基調としたもので、男性は貴族が灰色で、平民が黒であるらしい。


 またレオンも同じ学年だったらしく、灰色を基調とした制服を着ている。

 何にせよ、無事この日を迎えられてよかったと私は校舎を見上げる。

 レンガ造りの校舎は知識では知っていたとはいえ、実物を見ると細かな彫刻が所々されていて不気味……ではなく、お金がかかっていそうな感じだ。


 他には幾つものレンガ造りの尖塔のようなものが見えるが、あれはなんだろうと……ああ、実験室かと私は納得する。

 頭の中に詰め込まれた辞書をめくっているような感じで、すぐに感情と知識が結びつかない。

 けれどこれでもまだましな方なのだ、と私は言い訳する。


 何しろ、昨日まで本当に大変だったのだ。

 5冊程のこの世界の魔法知識を、ひたすらレオンに覚えさせられていたのだ。

 王子様がこんな所にいていいのかといってさりげなくレオンを追い出そうとするが、何でもレオンはこの私のいる家に関係があるらしい。

 

 その関係でこの家に療養という名目で滞在しており、私と一番仲良しという設定らしい。

 なので追い出す事も出来ず、私はレオンに大量のお勉強という名の暗記をさせられて三日……。

 次の日が、学園の寮に入る日に、私はねをあげた。


 するとレオンは何処かに行って誰かと話して、それから嘆息するように赤い宝石の様な物を持ってきた。


「これで、ベルにその五冊分の知識をインストールする」

「インストール?」

「ようは、苦労せずに暗記できるという話だ」

「! そんな便利な方法があるなら、もっと早く教えてくれればいいのに!」


 そんな問い詰める私にレオンが少し困った顔をしながら、


「いつ裏切られるか分からないから、自分で暗記をしておいた方が良いと思うぞ?」

「はーい!」

「……まったく、ベルは仕方がないな」


 苦笑するレオンが私の頭の上に石を置くと、それが光り出してするりと私の中に入ってきて……そこで私は気を失っており、気付けば次の日の朝になっていた。

 そして屋敷のメイドさん達が準備してくれた鞄を五つほど持って私は馬車で学園にやってきて(メイドさん達が、私の荷物は寮の部屋に運び込んでくれるらしい)、現在に至るわけである。と、


「さて、学園長先生のお話を聞く時間が迫っているから、行くぞ、ベル」


 レオンに言われて私は手を握られる。

 何故か一瞬ドキッとしてしまったけれど、レオンは特に今までと変化は無くて、それが私には少しだけ残念に思えたのだった。






 やけに若く活動的な雰囲気の女性の学園長先生、メイリアが、何かを話している。

 偉い人の話はどうしてこんなに眠くなるのだろうと私は欠伸を噛み殺しながら、それを聞いていたのだけれど、そこで、


「……というわけで貴族の諸君! 自分の良き従者を手に入れる機会だ。頑張るがよい!」

「「「おおおおおお!」」」


 ぼんやりしていた私はその歓声に、何事かと思って周りを見回す。

 だがその時には彼らは動いていた。


「「「きゃああああ」」」


 嬉しそうな声をあげて逃げ惑う青い服と黒い服の少年少女。

 そしてそれを追いかける、赤い服と灰色の服の貴族の少年少女。

 土煙りをあげてその場を去っていく彼らを茫然と見送る私の肩をレオンがぽんと叩いた。


「ベルはどうするんだ? 早く行かないと自分好みの執事もメイドも手に入れられないぞ?」

「……え?」

「あ、そういえばいっていなかったな。ここの入学式と同時に、貴族達は優秀な自分のメイドや執事を手に入れる、“入学式争奪戦”があるんだよな」

「ちょ、どうするの! 私完全に出遅れちゃったじゃない! しかもどんな人がいるのか知らないし!」

「まあ、なるようになるだろう」

「そんな適当な……一体どうするのよ!」

「ははは、頑張れ」

「ちょっと!」

「あー、もしそういった侍従がいなかったら、俺が話し相手になってやるよ」


 どことなく優しい口調でレオンに言われたけれど、私はそれどころではなくて、


「それはどうも! く、でも今からでもあの……」


 大変な所に向かおうと私が思った所で、声がした。


「まさか貴方もこの学園に通おうと思っていたなんてね、悪役令嬢ベルナデット。まさか入学式に遅刻したらこんな場所で会えるなんて運命ね!」


 振り返ったその先には、私服姿で旅行かばんを一つ持った、私が見知った人物が! そう、


「マリア・セレナーデ!」

「でも今日は私が勝たせてもらうわ、新装備も持ってきたもの! 負ける要素は私には何一つとしてないわ!」


 叫んで私を指差す彼女。

 けれどそこで私は、自身の背後に迫る巨大な足音に気付いたのだった。


 

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