サポートは、回数限定!
「“杖よ、奏でよ” 古 の盟約により、風よ、我が刃となりて敵を切り裂け! “風の剣 ”」
マリアが掲げた杖の周りに緑色に輝く光の粒が3つ現れたかと思うとそれが杖の周りで光の円を描く。
三重になったその円は杖の上の方に引っ張られるかのように大きな楕円形に変化して、それがプツンと糸が切れるように弾けると同時に、緑色の光輝く薄い刃のようなものが私の方に一斉に打ち付けられる。
二つは避けられる。
でも後一つは避けられない!
私はそう思いながらも何とか避けるけれど、やはり軌道を予想した通り後一枚が避けきれない。
やられる、そう私が思った所で目の前に金色の髪が踊る。
「“歌え、始りの大樹よ”」
そこにいたのはサポート役の彼だ。
カードのようなものを出して、それが白く輝くと緑色に輝く薄い盾となる。
それによってその刃がどうにか受け止めきれた。
風の魔法と魔法がぶつかり合うその衝撃を感じたと思うと同時に両方が消失して、当たりが静かになる。
そこでマリアがサポート役に、
「あら、貴方は私の邪魔をするのかしら。いいわよ? それに……一度貴方とは戦ってみたかったし」
「あー、俺、ベルのサポートは限られた回数しか出来ない制約があるんだ。それに、俺、戦うのはあまり好きじゃないし」
「ふーん、でもここまで来たんだから少し遊んでいってもいいでしょう? いつもそう言って相手をしてくれないし」
「だから俺は、戦うのはあまり好きじゃないって言っているだろう、前から。それと今の相手はベルだろうが」
そう言って私を指さすサポート役。
もう少し私が楽でわかりやすい展開でもいいのにと、小さく私は心の中で毒づく。
そもそもこのヒロインは活動的だが、ここまで戦闘狂じみてはいない。
しかもこのサポート役と知り合いらしいがその会話もアレな感じだ。
ここは私の知っているゲームの世界じゃないと、愚痴を心の中で零すと、そこでサポート役の彼が私に囁く。
「そんなわけで、後はベルの魔法で何とかしてくれ。やり方は教えるから」
「ここまで来たなら、あのヒロインを倒してくれてもいいじゃない。こんな可憐でか弱い乙女にやらせなくてもいいでしょう?」
「……魔法によるサポートの回数制限が有るんだよ、ちなみに一日三回までな!」
「じゃあ一発、強力な魔法をぶつけてヒロインを吹き飛ばせばいいんじゃない?」
だってステータスの見えないこのサポート役は、何となくとても強そうな気がするのだ。
けれどそれにサポート役の彼はしばし沈黙をしてから私に、
「あいつは、“倒せると判断した敵”を逃さないし、諦めない。 だからここで戦うのは不利だと思わせないといけない。そうすれば後々こんな風に突然襲ってくることは少なくなるだろうしな」
「理屈は通っている気がするけれど、やっぱりここは倒してくれてもいいと思う」
「ごちゃごちゃ言っていないで、魔法を使え、ベル。でないと魔法は教えないからな!」
逆ギレして、サポート役の彼は私にそういった。
とはいえこの世界の事情にあまり詳しくない私は彼に話を聞けなくなるのも困るし、魔法の使い方を教えてもらえないのも困る。
そして、確かにここで力を見せつけておけばしばらく襲いかかってこないかもしれない。
私は自分自身のステータスをちらりともう一度確認し、魔力量を見る。
とても大きな数字だわと確認した私は勝利を確信しながら、
「わたったわ、私がやるから魔法を教えて!」
「よし、それでこれから俺が言う言葉を復唱してくれ。我思うが故に我あり 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる炎”」
「我思うが故に我あり 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる炎”」
その言葉と同時に、私の足元が光り輝き始めたのだった。




