話がおかしい
今の意味深な視線は気になりはしたけれど、それよりも私は今気になっている事がある。
「それでこの青い石って何?」
「玩具を動かす道具、そこにいる“世界樹の守人”が大昔に作った物。今は整備といった維持や動かし方くらいしか分からないけれどね」
「その玩具が何に役に立つの?」
「世界樹の根元付近に巨大な……そう、黒い、光関係の魔法で無いと倒せない魔物が鎮座していてね。今はまだ動く気配はないのだけれど、他の場所では人を襲ったりしているから」
「! この前学園ダンジョンで出会ったあれ?」
「もう遭遇していたの」
「あんな危険で強い魔物がいるとは思わなかったわ。マリアも負け続きみたいだったし」
「マリアが?」
そこでシンシアが首をかしげてマリアを見て、
「貴方の属性は光でしょう?」
「得意なのはその魔法じゃなくて火炎系とか派手な攻撃魔法なの!」
マリアがいいわけするようにシンシアに言うが、シンシアは、
「でもあの黒くて大きな怪物はマリアごときの力では倒せないでしょうね」
「ごときって何よ。それなら誰に倒せるって言うのかしら」
「そこにいるベルネットさんね。もちろんこれらの玩具の補助ありだけれどね」
マリアが不満そうに私を見た。
私の方が強いと暗に言っているので黙っていられなかったのだろうけれど、そこでマリアが、
「能力をこっそり測定しようとしたけれど、振りきれて使い物にならなかったから期待大よ。因みにマリアは測定できたから」
「うぐっ、悔しい……」
「そんなわけで、この玩具……正確には、“世界樹の守人”が隠し持っているそれを起動させて、ベルネットの能力強化して攻撃させよう、そのために必要よね、といった話なの」
つまりこの青い石で最終兵器だか何かを起動させて私に攻撃してもらおうという話しらしい。
ただいまの話を聞いていて私が思うに、
「玩具?」
「そういった私達にとって壮絶な武器でも、彼ら……それも昔の人にとっては、玩具なのよね」
シンシアがあきれたような口調でそう告げる。
それを聞きながらとりあえずはその大きな怪物だけ倒しておこう、という話は分かったとして、
「それでその怪物を倒せば他も消えるの?」
「いえ、他も一つずつ倒さないと。世界樹の根に近い部分に現れる傾向が強いので、ダンジョンに潜って一匹ずつ駆除していく形になるでしょう」
「そもそもあの怪物が何なのか、分かっているの?」
今までの口ぶりから、シンシアはどうやら何かを知っているようだったので聞いてみた。
それにシンシアがちらりとミカエルを見ながら、
「闇の神が関わっているらしいの」
「え? そうなのかい?」
シンシアに答えたのはミカエルだった。
酷く不思議そうな様子で、ミカエルがシンシアに聞く。
シンシアが沈黙した。
何故かレオンの難しそうな顔をしている。と、
「ちょっと、ミカエルは関係ないでしょう?」
マリアが庇うようにそう告げるけれど、そこでミカエルが苦笑して、
「いや、マリア、いいんだ。どうやら僕に関係しているみたいだなとずっと思っていたし」
「え?」
「でも僕は、それに関しては全く自覚がないから、逆に何か知っているなら教えてもらえないかな」
ミカエルがいい出してそれにレオンが、
「世界の崩壊に興味がないんじゃなかったのか? ミカエルは?」
「ん? それはもっとずっと先の話だろう? 僕はマリアを見ているのに忙しいから……あれ? もしかしてもっと差し迫った問題だったのかい?」
ミカエルの言葉にレオンが絶望的な顔をした。
珍しくこのレオンが大変な状態になっていて、面白いな……と思って私は見ていたわけだが、そこでシンシア深々と溜息をついてミカエルに再度念を押すように聞いたのだった。




