私の知らない御話
これは何かのフラグなのだろうか。
私は真剣に考えてみたが、そこでくすくす笑いながら私の目の前で青い石を見せつけるようにゆらゆらと揺らしながらシンシアは、
「この前の旧校舎の巨大な石のゴーレムの“玩具”を動かしていたから、きっとこれを持っているんだろうなって思ったの」
「……これが何なのか知っているの? 今の口ぶりだと、あのゴーレム以外に使い道がありそうに見えるけれど」
そう私は問いかけると彼女は沈黙する。
私は何かおかしなことを聞いたのだろうか?
じっと様子を見るように私を見る彼女、シンシア。
そこでシンシアは軽く床を足でトントンと叩いて、にこっと微笑んだ。
「そう? 分からないのならまだいいか。多分、時間はあるだろうし」
「……何を知っているの?」
「うーん、そっちの王子様達は、ご存知で無い?」
シンシアが首をかしげてレオンとミカエルを見る。
二人揃って少し表情を硬くしたが、すぐにレオンが、
「それは、“玩具”を動かすための道具、それ以上でもそれ以下でもない」
「そう、まあたしかに“玩具”である事には変わりはないわね。あ、今聞いた事は忘れて下さいね」
いや、そんな意味深にいっておいて、忘れて下さいはないと思う。
酷いなと私は思っているとそこで、シンシアは私の方を見て、
「それで、“悪役令嬢”さんは、この石が欲しいんでしょう?」
そう言って青い石を私の前でゆらゆら揺らして見せる彼女。
ただ私としては、その石が何なのかも良く分からないし、多分私がこの世界に来た事とは関係がないだろうな……“玩具”を起動させる物らしいしと考えつつ、何処か楽しそうなシンシアの様子と、マリアから聞いた弄ぶのが好きという下りから、
「いえ、いりません」
「……え?」
「だって“玩具”を動かすのに必要なだけですよね?」
「それは……えっと、うーん」
そこでシンシアは困った様に微笑んだ。
こういった答えが返ってくるとは思わなかったという笑みだ。
それほどまでに私にとってそれは重要だと、彼女は判断したのだろうか。
私にとっては必要ないものだと思っていたのだけれど、彼女の持つ知識によって私には必要不可欠な物と判断した、という事だろうか?
もしくは彼女自身が私にとって必要なものだと誤認しているのか。
どちらが正しいんだろう、私はそう思って彼女の様子を見ているとそこで、シンシアはふうっと息をはいてから、
「まったく何も分かっていないのね。……そもそもこの“玩具”って誰が作ったか知っているかしら?」
「……」
私は脳内の知識に検索をかけるけれど、特に引っかかる物はない。
とりあえず、優秀なメイドちゃんなランディに私は、
「ランディ、あの“玩具”が何か知っている?」
「いえ、ただ時々ダンジョン内などで、あんなような物を見かけたような気もします」
ランディも知らないらしい。
なので私はウィルにも聞いてみる。
「ウィル、ウィルは知っている?」
「いえ。お力になれず申し訳ありません」
ウィルも知らないらしい。
となると、レオンも知っていたことから、関係者しか知らないような特殊な情報なのだろうか?
でもそういえば図書館にいたユーグさんも知っていそうだった気がする。
そうすると彼も関係者になるのだろうけれど……となるとこのシンシアも関係者なのか?
そんな私を見てシンシアは、
「うーん、まずこの青い石と“玩具”だけれど、作ったのは、この世界樹の守人たちが昔反映していた頃に作りだした物なの」
と、シンシアは私に話しだしたのだった。




