vsヒロイン
現れたのは金髪に鮮やかなピンク色の瞳をした少女。
彼女は私の部屋の窓をぶち破り、侵入してきた。
しかも、ふわりと上手く着地する。
その彼女を見て私は気づいた。つまり、
「マリア・セレナーデ!」
「あら、私の事を知っているのね。……それは予定外だけれど、その程度で私が不利にはならないわ!」
そう叫ぶ彼女は、マリア・セレナーデ。
このゲームの主人公だったはずだ。
活動的な可愛らしいデザインの、確か平凡設定のある普通の町娘だったはずだ。
だがゲームを進めていくと隠された力やら何やらが出てくるお約束とそして、パワーアップする謎アイテムがでてきたはず。
そこまで考えた私は、何故、今ここの彼女がやってきたのかという究極の問いについて思考する。
だって、彼女は“正義”のヒロインであったはずで、こんな風に目的もなく見ず知らずの人物の部屋に飛び込んでくるはずがないのだ。
確かこのサポート役は何と言っていた?
あいつが来ると、そのあいつがこのヒロインで……そう私が混乱する頭で考えていると、彼女は私を指さし、
「悪役令嬢ベルネット! 早速だけれど、私の正義のために、倒されてもらうわ!」
「! 私は何もしてないわよ!」
けれど目の前の彼女は更に笑みを深くして、
「悪役とついている以上、私達の敵になる可能性が高いもの。だから、現れて、力を付けたり準備が整う前に叩く! 先手必勝は定石よ!」
「く、ここは逃げるしかないわね!」
「逃がすか! “杖よ、奏でよ”」
魔法が発動する鍵となる言葉を彼女は呟いた。
彼女の手にはいつの間にか、赤い石のついた杖が握られている。
その赤い石の周囲に淡いピンク色の光が弧を描くようにぐるりと一周して、同時にそこから炎が噴きあがる。
彼女の得意な属性は炎だったわねと思いだしながら、私に向かって放たれた炎の塊を紙一重でよける。
その炎の塊は、私の背後をぶち破り大きな焦げた跡を残して穴を開ける。
だがこれは人が数人通れるような大きさだ。
私は即座にその穴に飛び込みそのまま浮遊感を味わう。
ここの部屋が何階かを確認し損ねていたが、運が良い事に二階だったので容易に地面に飛び降りれた。
と、そこで背後に気配を感じてみると、そこにはサポート役が。
「ちょっと、あれ、どういう事!」
「……とりあえず、あいつはお前を倒す事に決めているみたいだからそれに勝利してくれ」
「勝利って、私知っているんだから、あれまだノーマルモードじゃん! あれから何段階かのパワーアップ変身が待っているはず!」
「今それらの武器は、この前無理をしたから故障中だ」
それを聞いて良かったと思ったけれど、このモードでも主人公ヒロインなのでとても強かったはずと私は思い出す。
だからサポート役に、
「まずあいつの能力と私の能力を教えてよ!」
「じゃあまずは、ステータス可視化の魔法からな」
どうやらそんな便利な魔法があるらしい。
本当にゲームの世界なのだろうかと思って、私がヒロインであるマリアが下りてくるのを待っていると、ヒロインがサポート役を見て、
「あら、貴方がここにいるの?」
「ああ、ちょっと色々事情があってな。ほら、ベル、これから俺の言うとおりに唱えろ」
それに頷くと、そのサポート役が、
「我思うが故に我あり。ステータス、可視化、発動!」
「……我思うが故に我あり。ステータス、可視化、発動!」
私も同じように呟くと、同時に水色のステータス画面が現れる。
それは私と、マリア、そしてサポート役のステータス画面が表示される。
ベルネット・マクシミリアン
☆ステータス☆
種族:たぶん人間
レベル:38
体力 100
攻撃力 100
防御力 100
魔力 100
魔法耐性 100
知力 100
素早さ 100
回避 100
運 100
装備:普通のドレス
魔法属性:ダンス魔法(%):炎 100 水 100 土 100 風 100 光 1000 闇 1000
特殊能力:魔法発動時に、周囲の時間が遅くなる(レベルにより変化)
マリア・セレナーデ
☆ステータス☆
種族:人間(???)
レベル:77
体力 777
攻撃力 777
防御力 777
魔力 777
魔法耐性 777
知力 77
素早さ 777
回避 777
運 77
装備:普通の服
魔法属性:杖の魔法(魔法)(%):炎 150 水 30 土 20 風 80 光 120 闇 50
特殊能力:魔法発動時に、相手のパラメータが変化する(レベルにより変化)
レオンハルト・フラグメント
☆ステータス☆
種族:王子(???)
レベル:???
体力 ???
攻撃力 ???
防御力 ???
魔力 ???
魔法耐性 ???
知力 ???
素早さ ???
回避 ???
運 ???
装備:普通の服
魔法属性:カード魔法(%):炎 ??? 水 ??? 土 ??? 風 ??? 光 ??? 闇 ???
特殊能力:???
この私を含めたステータスをすべて見れたが、それを見て私は自分があまりにも弱いと思ってしまう。
今この目の前のヒロインよりも弱い……と思ってよく見ると、私のステータスの数字の右上の所に、三角の底辺をなくしたマークと、100という数字が見える。
これはまさか……私がそう思っていると、
「へー、貴方もこのステータス可視化が使えるの。どうも特別みたいね、でも……それなら尚更勝たないとね!」
そう彼女は告げて、杖を振り上げたのだった。




