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お客様はヒロインのライバル?

 そこにいたのは一人の少女だった。

 ふわふわしたクリーム色の長い髪を赤いリボンで止めている少女。

 瞳の色は明るい緑色で、無邪気に瞬いて私を不思議そうに見ている。


 だが待って欲しい。

 そこは私を不思議そうに見る状況ではなく、


「あの、どちらさまでしょうか」


 この堂々としている感じ。

 私は少し聞くのをためらってしまうが、聞かずには居られなかった。

 服の色からも貴族らしい事は分かる。


 けれど皆が皆、メイドたちを引き連れているのに対して、彼女は一人だ。

 そこで彼女、マリアが椅子を倒すように立ち上がった。


「シンシア・カールヘルツ、どうしてここにいるのかしら」

「ん? それは私が今日はここの教室で授業を受けたいな、と思って机と椅子を持ってきたからだよ?」

「……何時からいたのかしら」

「今日の朝からずっとだよ? マリアちゃんに手をふっても全然気づいていなかったし」

「何か魔法を使っていたんじゃないの?」

「さあ、いつも私、こんなかんじだし?」


 可愛らしく頬に指を一本立てて首を傾げる彼女。

 そして今の話を聞いて私は戦慄する。

 たしかその教室の後ろあたりを私自身も移動していたはずなのに、全く気づかなかった。


 よくよく見た彼女の容姿は、美形ぞろいな中でも可愛い部類に入るが、それでもくせのあるクリーム色の髪は印象的だ。

 そう思っているとそこで、マリアがナイフを構えた。


「今日会えたのはちょうどよかったわ。今日こそ、貴方を倒して、初黒星を上げてやるわ!」

「やーん、こわいー」


 けれどそんなマリアにおどけたような仕草でシンシアは手を上げて笑ってから、マリアノはなったナイフを次々と避けていく。

 まるで華麗にダンスでも踊っているかのように軽やかに全てを受け流し、避けている。

 攻撃は当たらなければ意味が無い。


 そういった意味では彼女の力は無敵に近い。

 一体何者だろうと思いながら、苗字のほうがどこかで聞いたことが有るような、と私が思っているとそこで、


がきんっ


 乾いた金属音がした。

 マリアも含めて二人揃って痛そうに頭を抱えてうずくまっている。

 そんな二人の間に立つメイド服で無表情なランディが、銀色のお盆を一枚づつ両手で持っている。


 それを使い二人を殴ったのだ。

 そしてそんなうずくまる二人にランディは静かな声音で、


「席についてください、お客様。……そして、席につかないのであれば、お客ではありません」


 そう告げると、二人共ビクッとしてから、いそいそと椅子を起こして大人しく座る。

 もしかして、ランディが最強なのかも、そう私は思ったのだった。




今日は少なめです。明日、二倍頑張る(´・ω・`)

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