着々、準備中ナリ
その後、歴史の授業を受けた。
「えー、この時、マーズアの戦いが~」
図書館でユーグが語ってくれたような、おとぎ話の様な神話はカットされていた。
授業時間の関係なのだろう。
とはいえ、こうやって聞いているだけでも疲れる。
何故か神話周辺の話はレオンがくれた本にはなかった。
けれど今説明を聞いている授業の内容はその本の中にあった。
そういった意味で楽に見えるかもしれないけれど、
「インストールされた知識って、引っ張り出す一番初めがすごくきつくて遅くて疲れる」
小さくぽつりと私は呟く。
それでもきちんと黒板の文字は、ノートに記入だ。
異世界なせいもあるのだけれど、文字はもちろん違う。
けれど読めるし書けるのだ。
素敵なチートではあると思う。
これで授業の心配はなさそうと私が思いながら、その次の授業を終える。
そして明日は休みだと騒ぐ生徒のみなさん。
ウラヤマシス
明日は私はダンジョン潜りだ。
そう思いながら机の上にとろけたチーズの様に顔を乗せてぐて~、と倒れる私。
だいたい、もう少しこの異世界を平和的に満喫する様なイベントがあってもいい気がする。
そう思っているとまた少し離れた所で、爆発が聞こえる。
ヒロインのマリアが挑戦者たちを倒しているのだろう。
「そういえば、“入学式争奪戦”っていつまで何だろう」
「……よくよく考えれば、入学式ってついているから、昨日までなんじゃないのか?」
レオンがそう呟いて私は気づく。
そう、マリアを追っている彼らはもう、すでに、マリアをメイドにする目的ではない。
「……モテモテだね。マリア」
「なんだ、ベルもモテモテになりたいのか? そういえば俺に、初めて会った時、逆ハーレム要員か聞いてきたな」
「……安心して。あまりにも厳しすぎる教育で、そういった対象にレオンはならないから」
それにレオンが何処かむっとしたようだけれど、それよりも私は授業で頭を使ったので疲れてしまい、しばらくぐったりとしていたのだった。
女の子用の装備の関係もあって、その日の夜はランディにも明日の準備を手伝ってもらう。
その関係で私は、マクシミリアン家から持ってきたらしい防御用のアクセサリーなどの魔法道具も含めて大量にみる事となった。
どれも高品質高出力の素晴らしいアイテムらしい。
ランディがそう呟き、情熱的に説明してくれるので間違いないだろう。
しかも説明が詳しいのでこういった効果があるんだと私も勉強になってとても良い。
確かにプレイしたゲームで見た事のある道具もあったが、知らない物も数多くある。
だから説明してくれるのは凄くうれしい。
だが、ランディの説明が入るたびに、先に進まなくなるのだ。
その度に私は、
「ランディ、そろそろ」
「す、すみません、っとこれ。“氷のペンダント”。炎系の攻撃を受けた時も氷で温度を下げられますし、固体の壁を生じいさせるのでその他の攻撃も抑えられます。もしくは“大地のペンダント”。これは地面からせりあがる石の壁を生じさせて身を守る道具です。どちらも封じられている魔力量から、発動は、5、6回程度ですが、とても効果が高いかと」
「そうなんだ……じゃあ私は“氷のペンダント”にして、ランディは“大地のペンダント”にしようか」
「いいのですか?」
「うん、ランディが怪我したら私は悲しいもの。その代り他にも防御用のアクセサリーを教えてもらえないかな? レオン……は大丈夫な気もするけれど、一応気になるし、ウィルもそういったものがあると良いだろうし」
「! はい」
といった話をして私達は、ウィルとレオンの分の防御用のアクセサリーを見つけ、その日は授業やら戦闘やら、新しい人達に会ったりとで疲れ過ぎていたのか、私は夢も見ずにぐっすりと眠ってしまったのだった。




