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これが本当の、妹コンプレックス!

 執事のバレッジを従えながら、現れたエリス。

 何処となくしょんぼりしている。

 そんな彼女に私は、


「それで私の知りたい事について、御存じなのですね」

「……」

 

 そう私が問いかけると、エリスは沈黙する。

 嫌な予感がする。

 こういう時って外れないんだよね、と私が悲しく思っているとそこで彼女の執事のバレッジが、


「申しわけありません。エリス様は嘘をつきました」

「……あ、はい、そうですか……つまり、何も知らないと」

「ええ、聞いて頂ければお答はできるかもしれませんが」

「……だったらどうして私に挑戦状を?」


 そう問いかけると、エリスはびくっとする。

 一応今回はレオン以外の相手と戦う機会だった。

 なのでそういった意味での収穫は大きい。


 ただ、私をターゲットに選んでいる辺りが不安をかきたてる。

 私がここに連れてこられているのには役目があって、それ目当てなのかと思ったのだ。

 そこでようやくゆっくりとエリスが口を開いた。


「入学してくる新入生で、好みの子に“お姉様”って呼んで欲しくて」

「……は?」

「だって私、末っ子なんですもの。確かにお兄様やお姉様は優しいですけれど私だってこう、何時も妹妹妹妹ってもー!」

「は、はぁ」

「それで、この実技演習の場合ダンジョンに潜る事もあるから、有望そうな新入生を上級生が囲い込む意味もあるでしょ?」

「は、はい」


 一応頷きながら、そんな制度なんて知らないわよと思う。

 もしやこういった授業での挑戦で、相手の実力を見つつ仲間候補を選んでいくのかもしれないと私はふと気付く。

 そういえばまだ私は、この学校の授業も含めて書かれた冊子を全部目を通していなかった。


 後で絶対に良く読んでおこう。

 これ以上変な設定に惑わされてたまるかと。

 そんな風に心に決めつつもそこで気付いた。


「エリス先輩は、もしかして私達と“仲間”になって、ダンジョンに潜ったり、冒険してくれたりするのですか?」

「……」


 私が問いかけると、何故か黙ってしまうエリス。

 何がいけないんだろう……まさか。


「エリスお姉ちゃん」

「はい! 何ですか?」


 即座に反応したエリスに私は、この人どれだけ妹という物にコンプレックスを感じているんだろうと思った。

 そして私は折角なので、


「ランディ、試しにお姉様と呼んでみるのはどうかしら」

「……エリスお姉ちゃん」

「! 妹が二人!」


 もうこれはここまで行くとあれだなと思ってレオンに、


「レオンも言ってみない?」

「俺は遠慮する。ウィルはどうする?」

「ええっと……エリスお姉ちゃん」

「! 弟が一人! ……幸せな気持ちにさせてもらったから何でも聞いてちょうだい! 我が、記すフィード家の総力を上げて調べて見せるわ!」


 ご機嫌にエリスが言う。と、


好感度:●○○○○○○○○○



△ピッ!



好感度:●●●●●●●●●●  MAX!



 エリスの好感度が、満タンになった。

 ここの人達はちょっとチョロ過ぎて大丈夫なのかと不安に思っているとそこで、


「あら、これは何かしら」

「私への好感度ですね。そういえばレオン、なんでエリス先ぱ……エリスお姉ちゃんには、この好感度が見えるの?」


 そう私がこっそり聞くとレオンはちょっと黙って考えてから頷き、


「バグだろうな」

「バグ?」

「予期せぬ仕様のようなものだ。偶然だな」


 どうやら関係者ではないらしい。

 残念だわと私が思いつつも、調べてくれるといったので試しに聞いてみる。


「何か変わった事がありませんでしたか? 最近でなくともいいです」

「……そうね、こんな物を拾ったぐらいかしら」


 そう言ってエリスは青い石を取り出す。

 それはこの前私がフラグじゃないと良いなと思った石だ。

 ……本当のフラグですかこれ、そう私が戦々恐々としていると、それを私に渡してエリスは、


「あげるわ。魔力があるわけでもないけれど、何かが引っ掛かるのよ、それ」

「あ、はい。ありがとうございます」

「また何かあったら呼んで頂戴。すぐに手助けをさせてもらうわ。それでは」


 そう言って去っていくエリスを私は見送る。

 そこでレオンがぽつりと呟いた。


「明日のダンジョン、エリス先輩も誘えば良かったのにな、ベル!」

「! もっと早く言ってよ! ああもう、先輩いなくなっちゃった……」


 私が嘆くとともに、授業終了のベルの音が鳴り響いたのだった。

 

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