魔法戦闘、でも勝利するのは私!
呪文を唱える彼女に私は、即座に反応した。
「我思うが故に我あり 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる炎”」
一番初めに私が覚えた魔法。
そしてこの前練習で覚えたそれを使って、先手を打つ!
確かここをこうしてこうして―、こうだっけ? 多分こうと、文字を踏んでいく私だがそこで、
「あら、そんな拙い動きで私に勝とうと云うのかしら。……いいでしょう、ダンス魔法の真髄をあなたに目てあげるわ! 我思うが故に我あり 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる大地”」
そう告げたエリスが、私の前で軽やかにステップを踏んでいく。
なだらかな線を描くように、それでいて的確に最短の動作で動いていくその動きは“ダンス魔法”というものにふさわしい動きで私は見入ってしまう。
だがそれがいけなかったのかもしれない、
「我思うが故に我あり、水晶の剣」
浮かび上がったのは、透明なガラスのような尖った剣だ。
それが五本彼女の周囲に浮かび上がって、私の周りに即座に攻撃を仕掛けてくる。
すぐ側の地面に突き刺さっては消得る、尖った水晶は日の光キラキラと輝いて美しい。
そして攻撃している間も次々とそれを私の方に打ち付けて魔法を継続している。
これでは私は攻撃用の魔法も発動できない。
発動しようとしても、時間の経過を遅くなる不可を足しても彼女のほうが速い。
少しでも距離を取ろう、彼女の“ダンス魔法”は発動時その場所から動けない。
そして連続魔法の影響もあって、その有利さを活かすためには、その場所を彼女は動けない。
なぜなら移動するだけで、攻撃の手を緩めてしまうから。
私の魔力なり何なりが強いので、それを使わせない方法での攻撃法を彼女は、エリスは選んだのだろう。
けれどそれならば、
「彼女から少しでも距離を取れば、私への攻撃時間の感覚は長くなる。そして……我思うが故に我あり 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる炎”」
私の足元に円陣が広がる。
実はこの円陣を起動させるだけでも、かなりの魔力を消費する……らしい。
けれど、大量の魔力を持つ私には、問題がない。
次々と円陣を起動させて、時間の経過を低下させる。
こうすれば攻撃も避けやすいし、短時間で遠くまで逃げれる。
「身体強化の魔法があればもっと良かったかも。後でランディに聞いておこう」
私はそう決めて、更に距離を取り、そして攻撃を避けた所で振り返る。
次の攻撃までの僅かな時間、これぐらいあれば発動できる!
「我思うが故に我あり 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる大地”」
呼び出した魔法陣は緑色の輝きを持つ、エリスと同じもの。
ふわりと浮かぶその光を見ながら、脳内にインストールされたデータを呼び起こす。
一度練習で発動させたことがあったためか、練習の時よりもすんなりと頭に浮かぶ。
そしてその目的の魔法を発動させるために、文字を踏んでいく。
緑色の輝きを生むその光はやがて列をなし、
「我思うが故に我あり、金剛石の剣」
水晶という、主成分が二酸化ケイ素のものよりも硬い、モース硬度10のダイヤモンド!
更に硬いものを打ち付けてその敵の攻撃を破壊する目的が一つ。
私の周囲に現れた、透明なダイヤモンドの剣、20本を一斉に作り出す。
「ちょ、多すぎ!」
エリスの悲鳴が聞こえるが、はっきり言って、知らん!
私は負けるつもりなんて毛頭ないのだから!
そうして私はその魔法を打ち付けて、その水晶の剣が打ち砕かれるのを見ながら、私とエリスの視界いっぱいに広がるダイアモンドの剣を見つつ、
「我思うが故に我あり 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる大地”」
消えかけた魔法陣を再び展開するために、そう唱えたのだった。




