睡眠の方が大事なのです
また来たよこの人。
私はマリアを見ながらそう思う。
そのすぐ側にはあのミカエルが立っていて、微笑みながらその側に立っている。
微笑んでいる暇があるなら止めてよ、と私は思っているとマリアが、
「でもここだと人が多いわ、外で戦いましょう?」
「……やだ」
「何でかしら。私に負けるのがそんなに怖いのかしら?」
「眠い」
私はそう答える。
だって本当に眠いのだ。
ランディーやウィル、レオン達と話していたら気が紛れたけれど、それでもこの朝の心地良い陽の光を浴びるとまた眠くなってくる。
このまま夢の世界へ、れっつごー、してしまいたい。
そうだ、そうしよう、うふふふふふ。
そんな気持ちになって私は机の上で、うつ伏せになる。と、
「私なんて相手にならないとでもいいたいのかしら。残念ね、私はこの前の私とは違うわ! ヴァージョンアップして、この前よりもずっと強い私になっているもの!」
そう言って、私の前で指輪と腕輪を見せるマリア。
確か、マリアはこういったアクセサリーを手に入れてパワーアップしていったよね、と思い出しながら、レベルが77だったはずだからといった情報から、彼女の変身モードを
「ああ、“ウィング・モード”ね。背中に小さな羽が生えて、空中からも攻撃できて風の魔力と防御力が強化されるあれよね。あ、衣装の露出度がちょっと高くなるんだっけ?」
「……どうしてそれを知っているの?」
「さ~、何ででしょうね~、ぐぅう」
私は面倒臭いなと思ってそのまま寝てしまうことにした。
そこでマリアが私に、
「ふーん、私なんて眼中にないってことね。いいわ、だったら戦う気にさせてやるわ。そもそもここにいる人達は魔力に対する防御が……」
マリアの声が止まる。私はどうしたんだろう少しだけ顔を上げると、彼女の周りに男達が詰め寄っていた。
メイドがどーのと言っているのが聞こえるので、機能の戦いが延長戦に突入しそうなのだろうと私は推測する。
そしてその通りだった。
「く、まさかこんな風になるなんて……貴方とは一対一で、おのれのすべてを懸けて戦いたいわ。だから、仕切りなおしましょう」
「はーい、いってらっしゃーい」
私は顔を少し上げたままにこやかに手を振った。
それと同時に多くの生徒の足音が消えていて少し立つと爆音が聞こえる。
それを聞きながら私は、マリアは授業に出なくていいのかな? このまま誰かのメイドになったなら静かでいいなと思ったりしている内に、ドジっ娘な感じのミネルヴァ先生がやってきて、ホームルームが始まったのだった。
一時間目の基礎魔法学は、脳内インストール知識でどうにかなった。
始めの授業なので簡単な内容であったのが幸いしたかもしれない。
次の時間は数学。
私にとっては復習のような内容でそれに関しては楽だった。
そもそも12進法ではなく10進法を採用してくれているのが良かったように思う。
そんな風に授業が終わり、次は実践魔法学の時間だった。
私はダンス魔法なのでランディと一緒。
一方レオンはカード魔法なのになぜか杖の魔法コースに。
そういえばカード魔法は特殊な魔法だと言っていた気がする。
だから本来は杖の魔法なのかもしれない。
そこで私はレオンのステータスを思い出す。
全てが伏せられていて、相変わらず謎が多い。
聞いても答えてくれないだろうな、でもそのうち聞こうと私は決める。
そう思いながらその実践魔法の授業の場所まで、途中まで私達は一緒に歩いて行く。
そこでレオンが私に、
「まあ、今日の授業は大変だろうが、がんばれよ」
「なんで大変なことが前提なの?」
「あー、上級生と一緒で毎年、特に第一回目が大変なんだ。しかもベルは見かけが美少女で魔力が強いとなると……まあ、なんとかなるだろう」
「毎年何が起こっているのここ!」
けれどレオンは笑って答えない。
なので私はランディに向き直り問いかける。
「ねえ、第一回に何が起きるの!」
「……敗者は勝者のもの、それが掟」
不穏な言葉をつぶやくランディだが、それについて聞く前に私は背後から声をかけられた。
「令嬢、ベルネット・マクシミリアン。私は貴方に挑戦状を送るわ!」
今度は一体何なんですかと私は振り返る。
そこには、一人の私よりも年上らしい女の子が立っていたのだった。




