朝起こされて、朝食に
そして夕食を食堂で取り、疲れた私はその日は夢も見ずにぐっすりと眠れた。
じりりりり
魔法式目覚まし時計の音がなる。
私の世界の目覚まし時計と同じで上のボタンを叩くとおさまる。
だがそんな耳障りな音に煩わされなくなってしまえば、後はゆっくり布団の中でぬくぬくするのみである。
着替えも今日の授業に必要な教材も茶色の鞄に入れて準備済み。
後は食事などをする時間を考慮して後四十二分くらいは眠れるはず。
なのでお休み……ぐぅう。
私はこうして再び二度寝という名の至福の時間に旅立とうとしていた。
だがそこで、私の部屋の扉が開かれた。
現れた彼女はすでに支度をしており、
「ベル、起きる」
「……ランディ? 私、部屋の鍵はかけたはずだけれど……忘れたのかな」
「開けた」
「……」
「主人を起こすのはメイドの務め。だからベル、起きる」
どうやらランディちゃんは思っていた以上に色々と優秀なようです。
私よりもこの子に頼んだほうが良かったんじゃないだろうかと私は思うのだけれど、そこでランディ、
「早く、朝食に行こう。友達と食べるのすごく楽しみ! ウィルたちとも待ち合わせをしているし」
私はそんな約束をした記憶はなかったが、既にそのように準備は整えられていたらしい。
終始無表情なランディちゃんだが、声は感情をそのまま表しているようだ。
つまり、ランディはとても楽しみにしている。
これは私も起きないとと思って、私はベッドから起きて支度をはじめたのだった。
食堂の直ぐ側で、私はレオンとウィルが待っているのに気づく。と、レオンが、
「ベル、遅いぞ、一分遅刻だ」
「……待ち合わせの時間、私は聞いていないよ?」
「渡した本に、伝言は挟んでおいたからな」
私は戻ってきてから一度もレオンの本を開いていないのに気付いた。
確かに夕食を食べたあと1ページでもいいから見ておけよと言われた気がする。
でも昨日は本当につかれたのだ。
そんな私を見てレオンが嘆息して、
「仕方がない。やはり俺も頑張らねばならないようだな」
「そこは頑張らなくていいわ! ……ウィル、どうしたの?」
そこで何かを言いたそうにオロオロしているウィルに私は気づく。
彼は私の顔を見て、ほんの少し頬を赤らめながら、
「あの、早くしないと朝食のメニューが好きな物が選べなくなってしまいます」
「そうなんだ、じゃあレオン、お説教は食事中にでもお願いね」
そう言って私は逃げて食事を選ぶ。
良いヒントをくれたウィルには感謝だ。
しかも食事中はご飯を食べているので、何も言えなくなってしまう。
こうして私のお説教をされないようにする計画は上手くいったのだった。
そんなこんなで私は、クラスにやってきた。
席順は決められているので問題ない。
なので私は席につき、左隣のランディと目の前の席のレオンと、左斜め上のウィルとお話していた。
「それで今日は一時間目が基礎魔法学、二時間目が数学、三、四時間目が実践魔法学、五時間目が歴史だったわね」
私が言うとランディが頷き、ただ今日は初日なのでそれほど難しくなくて簡単な説明で終わるだろうという。
また、実践魔法では、ランディが、
「ダンス魔法と杖の魔法で分かれますね。主要な魔法がその二つだとはいえ、もう少し他のものにも手を出してもらえるといいのですが」
「ランディは身体強化の魔法が使えるんだっけ」
「……ええ。他にも幾つか」
「凄いな、私も使えるようになりたいな」
そこで私にウィルが真っ青い顔をして、
「ベル、止めた方がいいよ。魔法に関してはランディ、恐ろしいくらい鬼畜になるから!」
「……え?」
「後悔したくないなら止めた方がいい、って、うぎゃ」
そこでランディが頭を軽く叩く。
それにウィルが恨めしそうに、
「ランディ、だってあれは本当にきつかったんだ。ランディにできることが僕にも出来るなんて思わないでよ!」
「でもあのダンジョンに潜るにはあれくらい必要だった」
「それはそうだと思うけれど、でももう少し時間をかけて……」
「早く行かないといい物がなくなる」
「そんなセール品の会場じゃないんだから……あ、僕は、ランディと一緒によく周辺のダンジョンに潜って、色々採取していたんですよ」
私にそう、ウィルが付け加える。
何でだろうと思っていると、どうやらランディの魔法の材料を集めるのにも理由があったり、ウィルはウィルで病弱な妹への薬の材料をとりに、ダンジョンに潜る必要があったらしい。
話を聞く限り、二人はそこそこ裕福な過程のようだった。
他にもダンジョンはどんなものなのか、明日潜ることになるので聞いておきたかった私だけれどそこで、
「見つけたわ、悪役令嬢ベルネット! 今日こそは、雌雄を決する時!」
ガラリと教室のドアを横に開けると同時に、ヒロインのマリアが私にそう宣言したのだった。




