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【散文】内から零れた言葉たち。

夜緋≪よあけ≫の境界

作者: 西荻悠

黄昏時の丘 曼珠沙華の群生


緋色の絨毯 唱和する彼岸への祈り



少女は手に堕ちることなく喪われた


陽炎の向こうに見えるのは


あどけない影の ゆめまぼろし



彼女が駈けるたびに 紅が散華する


軌跡を描くよう 茎は薙ぎ ひずんだ



天と地の境が燃えて


ゆらめく大気の向こうで 魔性が誘う




宵待ちの丘 曼珠沙華の群生


闇色の絨毯 唱和する此岸への祈り



少女は振り返ることなく去っていった


月影の向こうに見えるのは


たゆとう光の ゆめまぼろし



彼女が踊るたびに 暗黒が跋扈する


輪舞を真似るよう 妖が跳ね 謡った



天と地の境が凍えて


ふるえる大気の向こうへ どこまでも響く




少女は手に堕ちることなく喪われた


少女を手にすること叶わず喪われた




埋めつくす赤の向こうで 魔性が嗤う

初出 2007年4月10日

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