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デスゲームができるまで

作者: ミミ

 VRMMOが実現できてしまった。

 これは由々しき事態である。


 脳から体への神経伝達を読み取るシステムを徐々に向上させて行ったら、いつの間にかヴァーチャル世界に意識を直結することに成功してしまったのだ。

 天才が現れて謎技術を作り出してどうこうという話ではなく、至極まっとうに、ちょっとずつ、だが恐ろしいスピードで進歩させていったらできてしまったのだ。

 思い返せば、2011年に網膜にチップを貼り付け、電子的な方法で視覚を回復させる臨床実験が成功したというニュースが報じられたときから嫌な予感はしていた。ああ、どうして俺はあのとき会社を辞めなかったのだろうか。


 そうして、いよいよVR技術が一般に広く公開されると、ロマン『だけ』を理解している阿呆な経営陣は命じてきた。

「VRMMORPGを作れ!」

 勘弁してください。

 マジ勘弁してください。

「今までにない全体感型で、すべてのものがまるで実物のようなリアリティを持ったゲーム! これが我々の目指すものだ!」

 やめてください。

 目指すならひとりで目指してください。

「予算は大量に用意した。10億円だ。これなら足りるだろう!」

 足りません。

 全然足りません。


 そもそも、3Dゲームの時代でさえ作業量が死ぬほど多くて、それでもあそこまでだったのだ。

 何をどう間違えたらVR世界で現実と見まごうようなクオリティを確保できるというのか。

 VR技術自体は進んでいるが、我々ゲーム屋のスペックは変化していないのに。


 しかたがないので、人海戦術に移る。

 下請け孫請けにじゃんじゃん発注。

 予算は増えないので、低予算でもどうにかするよう強圧的に行く。



 結果。

 孫請けのひとりあたりの時給は100円を切ったらしい。

 あと、孫請けプログラマが鬼気迫る様子で何か用意していたようだけれども、俺にそれをとがめる権利はない。

 βテストが始まる前に、さっさと辞職しておくつもりだ。

その3

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― 新着の感想 ―
[良い点] いま急にミミセンセの作品を呑んでます。当然まままずきでしたので。しかし今回のデスゲームが誰にとってのデスかは確かに…開発屋の哀愁を感じます
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