なんてことない日常
どうも、前回無理矢理に近い状態で就職が決まったコードネーム・流です。
なんで、こんなことになったのか僕にはよく理解出来ません。
無理矢理決まってから2、3年は血反吐を吐くぐらいの鍛練が僕を待っていました。
本当に死ぬかと思った・・・。
最後のほうは記憶が残ってません・・・。
そうして、いきなり実戦に投げ込まれ、死にかけ・・・。
本当にろくなことがありません。
しかし、僕のパートナーであり僕を無理矢理引き込んだ秋穂に言わせれば・・・
「あんた、怪我したの初実戦のときだけでそれ以降は無傷なんだからいいじゃない!」
だそうです。
…なんだか、扱いが悪くないですか?
僕は早々に引退を考えました。
しかし、というかやっぱり出来ませんでした。
万年人不足なうえ何気に使い勝手がいい人材なのか引き留めかたが半端ないため断念。
平凡な顔立ちの人は他にも多くいると思うんですが。
なんだか、自分で言っていて涙が出そうです。
「えっと、流さん?廉さんが捜してましたよ。」
後輩が未だに不安そうに話しかけます。
とても納得出来ません。
僕に自信をもって話しかけるのはかなり少数・・・。
本当に泣きたいかも・・・。
「えっと、流さん?」
「あ、ごめん。廉さんだね?」
すっかり自分の世界に入ってしまった。
僕は後輩と別れて廉さんがいるだろう場所に向かって歩きだした。
* * * * * *
「廉さん。」
「…流?」
この人、自分で呼んだくせに一瞬、考えるこんだよ!
「…廉さん、呼んだんなら認識して下さいよ…」
「いや、すまん。なかなか難しい…。」
そう言って廉さんは僕の顔をじーっと見る。
「ふむ、無理だ。」
「・・・」
あっさり諦めた。
僕をきちんと認識しているのは悲しいことに秋穂と所長ぐらいだ。
廉さん、麗さんは認識しているようでしていない。
「っで、用ってなんですか?」
「実は・・・」
数分後、話を聞いた僕は珍しく即断即決した。
「む、無理です!勘弁して下さいよ!」
「上で決まったことだ、後輩育成のためだと諦めてくれ。」
勘弁してくれ!
* * * * * *
食堂で現在、誰もが避けているテーブルがあった。
そのテーブルには一人の少年、いや、青年が座っている。
彼の周りには黒いオーラが立ち込めているように見える。
そんなテーブルに近づく人がいた。
あの後、逃げ回ったが結局捕まり必要書類にサインをさせられた。
普段はぼーっとしているくせに任務とかのとき行動が早くなるのは反則だと思う。
そんな考えに没頭していると誰かが話かけてきた。
「流、後輩育成に出ることになったんだって?」
「…秋穂」
「まぁ、しょうがないじゃない?正体不明ランキングであんた、上位に入ってたし~人気者ね~」
なんだ、それ?正体不明ランキング?
訳がわからないっていうのが顔に出ていたのか秋穂が説明をする。
「毎月、色んなランキングを出すのよ。例えば、怒ると怖いランキングとか美人ランキングとか。そのなかの一つが正体不明ランキングなのよ。」
「へ~」
そうなんだ~、ランキングの存在を今、知ったよ。
「『へ~』ってあんた本当に知らなかったの?」
「うん」
「はぁ~」
秋穂は呆れたようにため息をついた。
秋穂の話からどうやら、僕は正体不明ランキングの上位を常にキープしており、何故だか憧れの存在になってしまっているらしい。
そして、この後輩育成は逃げた敵のスパイを捕まえるという模擬で、敵に本物を使うわけにはいかないので僕みたいな正体不明ランキング上位から選ばれるという実に迷惑な企画だった。
因みに任務という形にになるので断ることは無理だそうだ。
先輩として後輩から逃げきってみろっというのが任務だそうだ。
「…秋穂が逃げればいいんじゃ…」
「おばか!なんで私が敵のスパイ役をやらなきゃいけないのよ!第一面倒くさいじゃない!」
「・・・」
僕はいいのか…。
「まっ、あんたなら逃げきれるでしょ。」
・・・簡単に言うな!
* * * * * *
「トップ通過、流。以下、桜、京……、と続く。この結果を後輩諸君はよく考えること。時間内に逃げきれなかったものは訓練所に戻り訓練をしなおせ。」
教官が淡々と告げる。
僕は、結局秋穂の予言通り逃げきってしまった…。
なお、トップ通過者は問答無用で来月も後輩育成に参加のことを知り、ショックを受けたのは後の話。
ちょっと、短いかも・・・。