表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/34

6話

放課後、いつもより少し遅くなった帰り道。


昇降口に向かう途中、靴箱の前で隼と鉢合わせた。


「お、葉琉。……ひとり?」


「うん。ちょっと手伝いしてて、今終わったとこ」


「……そっか」


そのままなんとなく並んで歩き出す。

ふたりだけの帰り道なんて、珍しい。

でも、昔はこうやってふたりで帰ることだって、よくあったんだ。


「最近さ、詩乃と、よく話す?」


思い切って、聞いてみた。


「……まあ、普通に。なんで?」


「なんとなく。……なんか、前より距離近くね?」


隼はちょっとだけ笑った。

その笑い方が、からかうでもなく、茶化すでもなくて──

まっすぐな笑顔だったことに、僕は驚いた。


「そっか。……まあ、そーかもな」


その“肯定”が、ぐさりと胸に刺さった。


「お前って、さ。昔からそういうの、気づくの早ぇよな」


隼がぽつりとそう言った。


「別に。……ただの勘、外れることだってあるし」


「でも、今回は当たってる」


僕は何も言えなかった。


目の前にあったものが、

はっきりと“変わってしまった”と知らされるのは、

想像以上に痛かった。


「……そっか」


それしか言えなかった。


歩く足音だけが、しばらくふたりの間に続いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ