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19話
昼休み、教室の端でプリントを回していたら、
ふと、隼と詩乃が笑いながら話しているのが見えた。
内容までは聞こえない。
けれど、詩乃ちゃんがあんなふうに笑うのは久しぶりだった気がして、
思わず立ち止まってしまった。
──また、ふたりの距離が戻ってきてる。
それは、悪いことじゃない。
むしろ、ずっとそうなればいいと思ってたはずなのに。
胸の奥が、少しだけ重たくなった。
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放課後、体育館前のベンチで、隼とふたりになった。
「……お前、最近元気ないな」
「え?」
「見てりゃわかる。てか、何かあったろ」
「……別に、何も」
本当は、いろいろあった。
でも、言ったところでどうしようもない気がして、
結局いつも通りの言葉しか出てこなかった。
「ま、詩乃となんかあったわけじゃねえならいいけど」
そう言った隼の声に、ほんの少しだけ棘があった気がした。
「……なんで、詩乃ちゃん?」
「さあ。お前、よく一緒にいるし。……気にするなよ、別に深い意味ねぇから」
そう言って、隼は立ち上がった。
「じゃ、先行くわ」
ベンチに残された僕は、
なんとなくその背中を見送るしかなかった。




