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14話
翌日、詩乃ちゃんからメッセージが届いた。
『昨日はありがとう』
たったそれだけ。
でも、どこかすっきりした口調だった。
僕は「気にすんな」と返した。
それ以上の言葉は、送れなかった。
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数日後、3人で久々に会った。
ぎこちない空気を覚悟していたけれど、
意外にも、詩乃ちゃんはいつも通りに笑っていた。
隼も、少し無理してるように見えたけど、
言葉には出さなかった。
「かき氷、ブルーハワイね。絶対、舌真っ青になるやつじゃん」
「いいの。夏って感じするし」
「……ま、似合ってんじゃね?」
隼のその一言に、詩乃ちゃんはふっと笑った。
その笑顔に、
僕はまた置いていかれた気がした。
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あの日、あの夜。
確かに僕は詩乃ちゃんを抱きしめた。
彼女の震えを感じて、
自分の心が揺れる音も、確かに聞いた。
だけど今、こうして3人で並んでいると、
あの瞬間がまるで幻みたいに思えた。
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帰り道。
ふたりは自然に並んで歩いていた。
僕は少し後ろを歩いて、
夕焼けの中に伸びるふたりの影を見ていた。
影と影が近づいたり、離れたりして、
でも結局、また重なるように並んでいた。
──僕の影だけが、少しずつ遅れていく。




