表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/34

9話


「はいはい注目〜、今日も3人仲良く登校してまーす!」


朝、校門をくぐるとき、僕はちょっと大げさに言ってみた。


詩乃ちゃんが苦笑して、

隼は面倒くさそうにため息をついた。


──それでも、僕は笑っていた。


明るく、いつも通りを演じることで、

この関係がまだ続いているような気がしたから。


「今日さ、帰りにファミレス寄らない? たまには3人で」


「……うん。いいよ」


詩乃ちゃんが答え、隼もうなずいた。


よかった。

まだ、こうやって一緒にいられる。


放課後、並んで歩く帰り道。

いつものように笑いながら話すけれど、

話の中心にいるのは、だいたい隼と詩乃ちゃんだった。


僕はその横で、相槌を打ったり、笑ったりしてただけだった。


「……ねえ、葉琉ってさ」


ふいに詩乃ちゃんがこっちを見た。


「無理してない?」


「え?」


心臓が跳ねた。


「なんか……ちょっと、無理して明るくしてるような気がして」


「そんなことないよ! 俺、昔からこんな感じじゃん!」


一拍おいて、自分の声がやけに浮いているのに気づいた。


「そっか。……なら、いいけど」


詩乃ちゃんの目は、

それでも何かを見透かしているようで、少しだけ怖かった。



帰り道、ファミレスから出たとき、

ふと、ふたりが自然に並んで歩いているのを見て思った。


──もう、元には戻れないんだ。


何度も笑って、話しかけて、

「変わらないふり」を続けても。


その歩幅の差は、

僕だけが気づいていて、

僕だけが埋められないものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ