ep.2-41 子供サイズの離
ブライアンはどこに気付いたかな
「(ブライアン)
マティアさん。
僕が思ったのは
なぜ先に
ウォーレン達を迎えに行ったんですか?」
そこかぁ・・・
「(マティア)
う~ん・・・
ちょっと教えるには早い気がするけど・・・
貴族の性格の話からすることになるかな。」
「(ブライアン)貴族の性格ですか?」
「(マティア)
そうだね。
基本的には
『見栄っ張りで負けず嫌い』
というのが大多数の人たちの意見かな。」
「(ブライアン)見栄っ張りで負けず嫌いですか?」
「(マティア)
そうだなぁ・・・
『根本的には負けず嫌いで
特に自分より立場が下の者に負けるのが絶対に嫌だ』
ということかな。」
「(ブライアン)そこまでいきますか?」
「(マティア)
残念ながらそう言わざるを得ないかな。
自分より爵位や立場が低い者より
お金や人を無駄に使いたがるかな。
そうしないと
舐められてしまうと思っているからだよ。」
「(ブライアン)
そんなことをしてたら領地経営なんて
できないんじゃないですか?」
「(マティア)
そうだね
普通ならそう考えるだろうね。
でもそうならないのは
税の取り方で使う事の出来る資金の幅が
各々の領地で違うし
お互いに嘘を吐いていることも考えられるよね。」
「(ブライアン)そんな事をして得するんですか?」
「(マティア)
それは
その貴族の状況によるんじゃないかな
一概にこうだとは言い切れないよ。
でも
嘘を吐いてもすぐにバレると思うよ。
実際に各領地にいる商人たちが
自領だけでなく他の領の状況も把握していて
それぞれ情報を持っていて
誰かしらと共有しているはずだから。
大事なのは
バレない嘘を吐くことと
嘘を吐いても誰も損をしないことかな。
嘘を吐けないなら
実際にやるしかなくなるしね。
要は
貴族たちはその天秤をいつも使っているってことだよ。」
「(ブライアン)今回の事とどう関わってくるんですか?」
「(マティア)
まず見栄っ張りで負けず嫌いの方は
君のお父さんの
部下である副司令が
先だって許可を出してしまったこと。
それなのに自分の子を行かせることができないのは
器が小さいと言われて
面子が潰されてしまうだろ?
実際にウォーレンとクエスを連れて
城まで来たしね。
俺はそこの部分を焚きつけただけだよ。
それから
嘘の部分は
他の貴族やその使用人が自領内にいるのに
少しでも違和感を出してしまえば
何かが起こっていると思われて
色々と探られてしまうから
そうなってしまうと
情報が漏れないなんてことは
難しいだろ?
だから
『嘘が吐けない』んだ。
嘘を吐けば自領内にいる
色々な有力者たちに不審がられるからね。」
2人は気付いたかな
「(ブライアン)そうなるように追い込んだってこと?」
「(マティア)
そう。
ニセ侯爵の目の前に
餌をぶら下げてね。」
「(ブライアン)
そのエサは研修という名の食事会で
侯爵としての面子を保つためのもの?」
「(マティア)
正解。
面子は一度潰してしまうと
潰した方も
潰された方も
取り返しが付かなくなるからね。
だからお互いに
うまく懐を探って痛み分けになるようにして
面子を潰さないようにしているんだよ。」
「(ブライアン)
ありがとうございました。
いい勉強になりました。」
「(ウォーレン)
すみません
もう一つ聞いていいですか?」
「(マティア)
ん?
いいよ。」
「(ウォーレン)
僕たちの父と母は
どうしてマティアさんを
信用できたんですか?」
そこかぁ・・・
これもちょっと難しいかな
「(マティア)
これは
話術の一つなんだけど
価値観の共有というものだよ。」
「(ウォーレン)価値観の共有ですか?」
「(マティア)
そうだなぁ・・・
自分たちの目指すところと
同じ方向を向いていてくれてるかとか
いざという時に
可能な限り自分たちと
同じような行動をしてくれるか
という事かな。
他にも
自分たちの子供の事をちゃんと守ってくれるとか
色々あるよ。」
「(ウォーレン)
侯爵に話した
王室を敵にしてもというのがそうですか?」
「(マティア)
そうだね。
今日の会話の中では
それが一番当てはまるかな。
それから
お母様はかなり教育熱心じゃないかな?」
「(ウォーレン)
はい。
事あるごとに
勉強しろ
練習しろと
言ってきます。」
「(マティア)
俺が約束した教育の話が
お母様の価値観と一致したからだと思うよ。
だから
許可を出してくれたんだと思う。
俺が教育してれば
その分2人の手が空くからね。」
「(ウォーレン)
なるほど
さっき言ってた一石二鳥ですね?」
「(マティア)
おっ
よく気が付いたな。」
「(ブライアン)最後に一つ聞いていいですか?」
「(マティア)いいよ。」
「(ブライアン)なぜあの偽物は許可したんですか?」
「(マティア)
それはね・・・
さっき言った事もあるけど
あの偽物は
『ボロを出すことができない』
ってのは
なんとなくわかるよね?」
「(ブライアン)はい。」
「(マティア)
今回はそこにも付け込んだんだ。
あの会話の中で
本人に色々と判断をさせるように仕向けたんだ。」
「(ブライアン)というと?」
「(マティア)
こっちが提案したものを受け入れれば
間違いがないとか
利益があると見えるようにしたんだよ。
それから
人によるけど
後ろめたい状況で
質問攻めされるのは
かなりの精神的負荷がかかるから
早くその場から抜け出したいと思うんだよ。」
「(ブライアン)
じゃあ・・・
あの場でやっていたことは
1つだけじゃないってことですか?」
「(マティア)
そうだね。
複数の事を織り交ぜながら
話をしているんだよ。
相手を逃げ出すことができない
蟻地獄に引き込んでいるんだよ。
これは経験を積まないと難しいかな。」
「(ブライアン)
凄いですね。
そこまでできて
なんでサードシェフなんですか?」
「(マティア)
話せば長くなるからまた今度ね。
でも
今回は上手くいったけど
君のお父さんが相手だったら
たぶん無理だった可能性が高いかな。
やらなきゃいけない罠の数が
最低でも倍は必要だったと思うよ。
それから
セカンドバトラーの
エドワードさんもこれくらいできると思うよ。」
2人とも年齢の割には
頭が回るな
吸収力も良さそうで
喋っててなかなか教え甲斐があるな




