ep.2-27 お祭りの出し物
厨房に入ると
料理人のおじさんが
開店前の下準備をしていた
「(おばちゃん)
ああ
あれはうちの旦那よ。
今は
この間食べてくれた
ミートパイの
余熱を入れ始めるタイミングかな。」
「(マティア)お邪魔します。」
「(おじさん)
珍しいな。
お前がうち以外の人間を
厨房に入れるなんて。」
「(おばちゃん)
この子と取引したのよ。
今年の祭りで出す
うちの料理候補を
作ってもらおうとしてるのよ。」
「(おじさん)
なにと取引したんだ?
うちにそんなものあったか?」
「(おばちゃん)人脈と借金。」
「(おじさん)
何を言ってるんだ?
うちにそんな物あったか?」
「(おばちゃん)
人脈はうちの物だけど
借金はうちに対してのものよ。
あんた
仕事とかそういったものに対しては
しっかりしているじゃない。」
「(おじさん)
その坊主は
それだけの価値があるのか?」
「(おばちゃん)
あると思うわよ?
この子は
ただの料理人と思わない方が
いいと思うわねぇ。」
「(おじさん)
いやにその坊主に
惚れ込んでるんだな。」
「(おばちゃん)
商売人としての勘よ。
それよりも妬いてんのかい?」
「(おじさん)
いい歳して
馬鹿放いてんじゃねえ!
そんな暇があったら
仕事しろ!」
「(マティア)
ははは。
仲がいいんですね。」
「(おばちゃん)
そうなのよ。
あの人
私以外は何とも思ってないみたいなのよ。」
「(おじさん)
小っ恥ずかしいこといってんじゃねえ。
寒気がして
鳥肌が立ってくる!」
「(おばちゃん)
あの人ああ見えて
初心なのよ
ふふふ。」
そんな何気ないやり取りに
微笑ましくなった
「(おばちゃん)
それで
どんなものを作ってくれるのかしら?」
「(マティア)どんなものがいいですか?」
「(おばちゃん)
手軽に
歩きながら食べられて
できれば
子供が好きそうなものが
いいわね。」
「(マティア)
わかりました。
厨房の中にあるもので
何か考えますので
少し時間をください。」
「(おばちゃん)
それじゃあ
私はお店の開店準備をしてるから
なんかあったら
気にせず言ってきてちょうだい。
旦那にいじめられたでも何でもいいわよ。」
「(おじさん)
馬鹿言ってんじゃねえ
まったく。
何か欲しいものがあったら
すぐに言ってくれ。
「(マティア)
はい。
宜しくお願いします。
では
少し厨房の中を見せてもらいます。」
厨房の中に何があるか
見て回った
調味料の類は
ちゃんと揃っているな
食材関係も
しっかり揃ってる
でも
手軽で歩きながら食べられるものかぁ
う~ん・・・
子供が好きそうな物かぁ
う~ん・・・
この世界でもオーバースペックにならなそうな物かぁ
う~ん・・・
串に刺したものか
あまり嵩張らない大きさの袋に
そこそこの量が入った・・・
甘い物・・・
簡単に調理できるもの・・・
ぱっと思いつくのは・・・
『りんご飴』
でも
見た目のインパクトはあるけど
それだけだと
少し華やかさが足りないかな・・・
昔
町に新しくできた洋菓子店の
パティシエに教えてもらった物も作って
選んでもらうか・・・
「(マティア)
すみません。
コンロと
鍋と
ヘラと
少し大きめの鉄板と
串を貸してください。」
「(おじさん)
それだけでいいのか?
食材とかは?」
「(マティア)
でしたら・・・
フルーツと
砂糖をください。」
「(おじさん)
あいよ。
とりあえず・・・
フルーツは
リンゴと
オレンジと
ブドウがあるが
どれがいい?」
「(マティア)
それじゃあ・・・
リンゴとオレンジをください。」
「(おじさん)
ほらよ。
楽しみにしてるぜ。」
「(マティア)
はい。
頑張ります。」
鍋に
砂糖と水を重さ5:2で入れて
混ぜ合わせて中火で加熱して
煮立ってからとろみがついて
泡立つまで暇になるから
その間にフルーツの下ごしらえをした
リンゴは2種類
玉のままと
スライスしてチップ状のもの
オレンジはスライスしてチップ状にした
火から下ろした飴の原料に
フルーツを絡めて
鉄板の上に置いて乾かした
おじさんがその様子を
遠目で見ていた時
串を箸のように使っているのを見て
「(おじさん)
お前さん
そんな風に串を使うなんて
どんだけ器用なんだよ。」
「(マティア)
これは
私の父と祖父から
教えてもらったものです。
こうすれば
手を汚さずに
細かい作業ができるので。」
「(おじさん)
ほえー。
それは大したもんだ。」
飴が乾いたので
2人に試食してもらった
「(マティア)
できました。
試食をお願いします。」
おばちゃんは串の刺さった丸いりんご飴
おじさんはスライスしたオレンジを
口に運んだ
「(おばちゃん)
酸味の強いリンゴが
こんなに
甘くておいしいくなるなんてね。
大したもんだわ。」
「(おじさん)
このオレンジのスライスしたやつも
いけるなぁ。
ジュースを食べているかのような感じになってるな。」
概ね好印象で良かった
「(おばちゃん)
ちなみに
これはどういう風に売るんだい?」
「(マティア)
串が刺さっているリンゴは
1串単位で
スライスしたものは
袋に小分けにして
1袋単位で売ればいいと思います。
リンゴは
子供たちに
そのまま串の部分を持って歩いてもらえば
珍しい物を持って歩いている子がいると
いい宣伝にもなるでしょう。
ただし
祭りの前から売り出してしまうと
他にも同じような物を売る連中が出てきそうですから
本家を名乗れなくなってしまうかもしれません。」
「(おじさん)
見事だ。
宣伝の事も考えてくれるだなんて
俺は合格点を出す。」
「(おばちゃん)
私もよ
もし可能だったら
祭り期間中も助けてもらいたいわね。
取引は成立
私の紹介状付きで
紹介させてもらうわ。
それだけじゃなくて
今後何か困ったら
出来る範囲で助けてあげるわ。」
「(マティア)
ありがとうございます。
宜しくお願いします。
お手伝いについては
問題が解決すればということで。」
良かったぁ
これで問題解決に1歩前進したかな




