ep. Before 0
2025年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆様にささやかな幸運が訪れるようお祈りしております。
ああどうしよう
また失敗しちゃった
僕の世界思ったようにいかないよぉ
「そうだ。
あの方の所に相談に行ってみよう。」
「断る。」
ビクッ
振り向くとそのお方が冷たい目線で見下ろしている
「お願いします。
助けてください。」
若年さんは年増さんの右膝にしがみついた
「だから言っただろう。
お前は優しすぎるんだと。
あれ程言ったにも関わらず聞きなかったザマがコレだろう。
ガミガミ・・・」
怒られ始めると次第に脚から離れ
最終的には正座する
側から見れば
親と子
上司と部下
先生と生徒
幾らでも表現できそうな
世界中どこでも起きている光景が繰り広げられる
「お前のことを育てるのは俺の仕事だが
どうにかならんのか。
お前以外にも見てやらなければいけない奴が
どれだけいると思ってる。」
「ごめんなさい。
誰か僕を助けてくれる人紹介してくれませんか?
初めて造った世界なのでなんとかしたいんです。
お願いします。」
「他の連中に限らず手が空いているいる奴なんているわけないだろう。
なんにせよ自分で何ができるか考えてなんとかするのが決まりだ。」
「あのぉ
一つ考えてることがありまして・・・
あなたの世界の住人をスカウトしてもいいでしょうか?」
「あのなぁ。
何度も言ってるがオーバースペックの存在を連れて行くと
その存在は恐怖や排除の対象になる確率が高いと何度も言ってるだろう。」
「それはわかってます。
でももう方法が思い浮かばないんです。」
「でももへちまもない。
だが立場上何かしないといけないのは事実だから
お前の思いついてることを言ってみろ。」
「すみません。
今考えているのは
僕の世界と比較して
少し進んだ世界の存在が欲しいんです。
言ってた通り色々と進み過ぎた世界の人間は
こっちの世界で浮いた存在になることは分かりました。
なので
進んでいても数世代の格差で済むような存在が欲しいんです。」
「とはいえそれだけではダメなのはわかっているだろう?
それに俺の世界の存在でも世代の格差が間違いなく大きいだろう。」
「勿論そうだと思います。
そこで僕が考えた僕の欲しい存在は
ある程度この世界を諦めている人が欲しいんです。
それなら過剰に誰かに何かを望むこともせず
気長にことを運んでくれると思うんです。」
「かといってそれなりの技能や知識を持った存在が
すぐ見つけられる訳ではないだろう。
まさか俺に探させるつもりか?」
「もちろん僕が責任をもって探します。
なので手を煩わせることはしないのでお願いします。」
「いいだろう。
今回失敗したらお前の造り上げた世界は
『終わらせる。』
それと当分の間謹慎させる。
あとどんな人材かでインセンティブを決めさせてもらう。
それでいいか?」
「ありがとうございます。
僕が作った世界は僕の子供のようなものなので
どんな条件でも呑みます。」
「それでどのような奴を探すつもりだ?」
「出来れば、
現在軍人であるかその経験者で
ある程度の
普通に武器有りでも無しでも格闘戦能力が有り
実務経験が有る人です。」
「そんな人材すぐ見つかったとしても
この世界を諦めているなんて奴はそうは居ないだろう。
それにお前が即戦力を欲しがっているのがわかるが
それだけでは100%ダメだろう。」
「そこで考えたのですが
先に実務経験優先で人を探そうと思いました。
その後に武術だったり何かで戦闘能力が有る人を絞り込んでいこうかなと。」
「まだ足りないな。
それだけか?」
「いえ。
私自身が
頭を使うより
暴力を使う方が得意なので
スカウトした方にある程度のことも
筋書きを描いたり
必要な事も
追加で斡旋してもらおうと思います。
それに僕が表に出るより
裏でその人材を助ける方が
良いと思ったので。」
「まったく。
お前本当にそれで大丈夫か?
お前の世界の世界観が変わってしまうだろ。」
「これまで前に出て
何度も失敗してるので
方針を180°変えるしか無いところまで来ているので。」
「ある程度諦める事も大事だぞ?
全部を求めるのは
正直ワガママだと思うぞ。」
「可能な限り脱線したくないので
どうかお願いします。」
「しょうがない。
今回が最後だ。
何とかしてみせろ。」
いつもこのような事になっているのに
なんて俺は甘いんだろうと年増さんはそのたびに後悔し
若年さんに至っては自分の立場が何とか保たれることに安堵する