ep.0-2 神様達との探り合い
皆様の世界はどうですか?
筆者の世界は楽しく満喫できていないのが実情です。
顔が傷だらけで
右手で左腕をかばいながら
訳の分からない相手と話ていた
傍から見ると
不審者に襲われた人とも見えただろう
私が問いかける
「たぶん神様とかそういった存在なんだろうけど、
そちらの世界に行って何か得することはあるの?」
若年さんが答える
「まあ長さが分からないのですが、
生き永らえることができることかな。」
連れて年増さんが答える
「この世界に諦めかけていたんだろ?
新しい環境で命を永らえるなら儲けものだろう。
それなりの教育を受けて能力もそれなりにあるけど君の場合は、
私たちが可哀想だと思うくらい
兎にも角にも人生を変える人との出会いが
珍しいくらいに圧倒的に不足しているから。
人との知己や繋がりが軽薄だから
誰からも大したことがないと先入観を持たれているだけだと思うが。
それに加えてこの世界のこの国の人間たちは恵まれてると言うが、
それはただ単にほかの国と比較すればの話であって、
本当にこの国が優れているのであれば
格差は生じはするだろうが
絶対数を考慮すればこれほど社会構造に軋轢が生じないだろう。
それにある程度地位や権力があるものが
わが子可愛さという理由だけで
大した能力が無いにも関わらず威勢を張って
裸の王様を作り上げて
作る必要もない格差が生じているのも事実だから。
かといって私たちが介入する気もないというのが本音。」
私が問いかける
「この世界の神様は
清々しい程に他人事なんだな。
それに何も後ろ盾が無い状態で異世界に行くのは
気が向かないんだけど。」
年増さんが答える
「確かにそう言われると言い返せないな。
だが世界がギリギリ壊れないよう
バランスを執るために
特定の生物や特定の人物みたいに稀有な存在を作ったりすることもある。
世界を大きな木と例えると
その木の小さな葉以下である些末な存在でしかない
生き物それぞれを見ているほどの余裕がない。」
私が疑問に想い問いかける
「何故バランスを執って世界を安定させているのに
私が他の世界に行く必要があるのか?
話としておかしいと思うのだが。」
若年さんが答える
「それもそうですね。
その質問にお答えしましょう。
まず各世界ごとに各神がその世界における物理的なルールや
生物の能力を決めていきます。
ですが、どうしてもイレギュラーが発生してしまうんです。
あなたの世界は
そちらの神様がエスカレートしないように
かなり細かく手を入れているので
世界が破滅する前にストップがかかって
良い意味でも悪い意味でも世界が存続している。
あなたは他人事と言ったが実はそうではない。
問題なのは、そのイレギュラーの存在の制御をどうするのかが各神によって違うのです。
例えば、そちらの神様は恐竜を過剰に進化させない為に絶滅させました。
その他の神様の中には勇者のような戦士の存在を作り
神自身の手を可能な限り使わないようにして
特異な存在を制御したり鎮圧したりしています。
私の世界では残念ながら私の力不足でバランスが崩壊しかけているんです。
そこでこちらの神様に相談したところ
ここの世界の方を派遣しても良いと了承を得たので
あなたに現場で私の代理となってバランスを築いてほしいのです。」
「ならば、そこの神様のように世界を絶滅して再構築すれば良いのではないか?」
「確かにその方法が一番早く解決できるのは間違いないのですが、
そちらの神様と違って私は未練がましくて
折角生まれてきた命を無下にしたくないのです。」
ここで年増さんが私に答えを促した
「そういう訳でお前はどうしたい?
数分後に苦しんで死ぬか
異世界で生き永らえるか
どちらを選ぶ?」
そんなことを言われても私には不安しかない
「お二方に聞きたいことがあります。」
先を取られないよう
私はこの神様達と交渉を始めなきゃならないのか
骨が折れるだろうなぁ