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ep.1-4 かつて村だった場所の成り立ち

訪問者達は何も知らなかった

世界に存在する

希少な物質や

類稀な戦略物資等の

起源を


ワルターが尋ねてきた


「知っているのであれば教えてくれるか?」

「分かりました。

 基本的に言えば

 世界に現存している類稀な戦略物資は

 希少な物質を

 その種族の持ちうる最高の技術を使って

 大きな塊から削り出しただけの物に過ぎません。

 加工といっても

 折ったり曲げたりするのは

 どの種族でも容易ではありません。

 では

 その物質の塊が小さかったら?

 ワルターさんならどうしますか?」

「私なら

 その価値が分かっていれば

 必要とする人間に高値で売るか

 自分で所持して

 できる範囲で加工するか

 後の時の為に交渉材料として所持しておくかだろう。

 逆に価値が分からなければ

 その場に捨て置いてしまうだろうな。」


この人は現実主義っぽいな

今できることを最大限行うタイプかな


「普通に考えればそうでしょうね。

 まず根本的に希少な物質の特徴は

 巷でもよく知られているものですが

 では実際にその物を見た事がありますか?」

「確かに言われてみればほぼ無いな。」

「そうなんです。

 例えば国の王に近い存在であれば

 その都度もしくは何かしらのタイミング

 例えば

 国王に拝謁とか

 国王のスピーチとかで

 類稀な戦略物資を見る機会が有ります。

 その際に出来上がった物を見る事があるかと思いますが

 ではその原料はありますか?

 金銀程度であれば

 その埋蔵量自体が多いことと

 常日頃から見る機会がある上に

 鉱山等から掘れば幾らでも出てきます。

 ですが希少な物質となれば

 話は別です。

 その物質特有の特徴の判断もそうですが

 常日頃から見る機会が無いのが

 一般の人々の大多数でしょう。」

「君にはそれがあると?」

「結果論で言えば

 はいです。

 まずこの村の表向きの事は話したので

 裏側の事を話しましょう。

 ワルターさんならこの村をどう推察しますか?」


少し熟慮したワルターが口を開く


「君が今まで話してきた内容を

 呑気に捉えるならば

 はみ出し者同士が仲良く暮らしているうちに

 居住者がある程度増え

 村ぐらいの大きさになったと考えるだろう。

 最悪を想定した推察をするならば

 この村の構成要素から考えるべきだろう。

 他国とはいえ

 私達がまずこの村の事を知らない。

 一部の人間しか知らない上に

 知っていたとしても

 ここに流れ着いた人間にほぼ限られる。

 それから人間や

 エルフだけではなくそれ以外の他種族までいたこと

 ただでさえ種族間の仲が悪いのにも関わらず

 無理に共存している事

 いない種族に秘匿していることを考慮すれば

 ここに()()があり

 表向きは仲が悪いはずなのに

 それぞれが裏で手を取り合っている事を考えれば

 ここでしか得られない物を

 見えないところで山分けしている可能性がある。

 私はこう考察したがどうかな?」


しっかり将来も見越しているし

答えがひとつだけではなく

複数回答か

良い政治能力もありそうだ


「良い推察ですね。

 ある程度当たっていますが

 違う所もあります。

 順に話しましょう。

 まずこの村は

 はみ出し者の集まりで間違いはありません。

 私が聞いた範囲では

 最初に移住してきたのは

 エルフの家族数世帯だそうです。

 エルフの中でも差別を受けた者達だったこともあり

 その影響からか

 性格がまるい者たちが多く

 所謂平和主義者だったようです。

 その後

 戦乱を逃れた人間や

 たまたま通りがかったドワーフが移住してきて

 長い年月をかけて

 100人前後の集落になったそうです。

 戦乱や迫害等の嫌な事を経験してきたもの同士の集まりなので

 お互いの仲はかなり良かったのです。

 ですが

 ある時状況が一変してしまいました。

 この村の周辺で

 オリハルコンやミスリル等の

 希少な物質が

 僅かながら見つかったのです。」

 

訪問者達が一斉に食いついてきた

従者の何人かは

今にも表に出て探しに行きそうな勢いになった

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