3( in the train... )
なにか、ふわふわとしている。
自分はすわっていて、他の乗客は誰一人としていなかった。
電車の窓を見ると黒と白が混ざり、溶け合い、しかし反発していた。
きっと、これは夢だ。あまりにも非現実的過ぎて、、、、
非現実?そんなもの、昨日体験したじゃないか。じゃあ、これは夢じゃないのか?
わからない。わからないが、立ち上がることも、喋ることも、できない。
=次は、■■駅です。=
今、何駅って言った?聞こえないな、、、
そう、少し薄れた思考を動かしていたら、駅についたらしい。
2人、人が乗ってきて、俺の前の座席に座った。
外が雨でもないのに、ずぶ濡れだった。
よく、顔が見えない.....
『やあ、永』
そう、親しげに話しかけた。まるで、兄のように話しかけてきた。
ああ、これで確定した。これは、夢だ。僕の妄想だ。だって、この人が、目の前になんて、二度と現れるはずなんて、ないのだから。
でも、眼の前の人は、
『夢じゃ、ないんだけどなあ、、』
と、困ったように言う。
そして、もう一人の人が、
『夢と言ってもいいんじゃない?精神世界だし。』
と、すこし笑うように言った。
『ああ、まあ確かに。』
と、落ち着いて、肩を竦めるように言った。
嘘だ。嘘に決まっている。それなのに、それなのに、あまりにもその姿は、似ていた。あの、少し前の家でありふれた風景に。
(そんな、、わけが、、、)
声が出ない。それでも、彼らは話し続ける。
『『これは、君がもつ魂の中だ。』』
何を、言っている?
『『これから君は、永い旅をすることになる』』
『『それに、僕はついていけないから』』
(おいていかないで)
『『せめて、力だけでも』』
『黒の力は剣のちから、想いのちから』
『白の力は眼のちから、意思のちから』
(まって)
『『だから、さよなら』』
=■■駅、■■駅〜=
ドアが開く。2人が立ち上がる。
『『また、会えるさ。』』
叫ぼうとするも、喉は震えない。
意識が暗転する。悲しさと思い出が蘇る。
くらいよるのみずうみにしずんでゆく。。。。。