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異形魅了のUNKNOWN season.2  作者: ヨシアキ
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2-2話




幸「自分が受け入れられない気に食わない存在は滅ぼしてしまえばいい。そんな考えが今のお前の感情の片隅にでもうごめいていた筈だ。それを悲観しただけだ」

幸大の表情は笑顔がある反面、それと共に相反する筈の厳然な雰囲気も漂っていた。

幸「智琉、お前が自分の前にどれ程の目的を置いて生きているのかは分からん。だが俺にはお前がただ力で相手を押し潰し虐げる事で己自身の正当性を証明する事に固執している風体ふうていにしか見えん。これ以上そんな姿を晒す真似を続けるのならば、一層いっその事ここでその力を手放せ」

どこか悲しい顔を浮かべながら幸大はカードを出現させた。

智「!」

幸「この戦いの目的はあくまでお前が俺達の脅威たり得るかを見定める事だが、同時にいずれ取り返しのつかない過ちを犯しかねない今のお前の考えを正す為の力の行使だ」

幸大のカードから、全身が黒光りする人型のアンノウンが出現した。

幸「UCアンノウンカード"シークレット・サンシャイン"」

幸大の行動を目にし智琉の腹も決まった。

智「……そうかよ。確かにお前と言葉を交わすよりもこっちの方が手っ取り早いかもしれないな」

智琉も又、レッド・ドラゴンを呼び出し戦う姿勢を示した。そのたたずまいに幸大も先程以上に智琉に関心が湧いてきていた。

幸「やるなら全力を尽くす事をお勧めする。その方が後腐れなんてものが無くていい」

そう言うと幸大はシークレット・サンシャインの差し出した手の平の下に自身の手の平を開けかざした。するとシークレット・サンシャインの手から物体が現れ落ち、それを幸大は手の平で受け取った。

智「?」

幸「これが何か分かるか?」

幸大は手にした物体を摘まみ智琉に見せた。それは電池であった。見るからにどこにでもありそうな単1形の乾電池が幸大の手にあった。

智 (電池……?)

不思議そうに見る智琉を余所に幸大は廃棄車両の山に目を向け暫く何かを見定めると、その中の一台の自動車に向けて持っていた電池を投げ付けた。すると投げられた電池が自動車に触れた瞬間に水に沈むかの様に自動車の中に溶け込んでいった。

智「!」

その瞬間、電池が埋め込まれた自動車からエンジン音が聞こえたと同時にヘッドライトが灯り、車輪を駆動させながら動き出したのだった。

智「んなっ!?」

智琉は驚愕した。見た目からも決して動く筈が無いと判断出来る程に寂れた自動車が不相応な荘厳そうごんな音を響かせながら一人でに作動し出す目の前の光景に。

幸「潰せ」

幸大の掛け声と共に自動車が智琉に向かって猛スピードで突進して来た。

智「うわぁっ!?」

間一髪で躱した智琉を幸大が褒め称えた。

幸「よく避けたな。ならばこういうのはどうだ?」

幸大は再びシークレット・サンシャインの手から現れた二本の電池を二台の廃車に投げ付けた。すると先程同様に電池が溶け込んだ二台の自動車のエンジンが息を吹き返したかの様に唸りを上げ始めた。

智 (まただ、動く筈の無い車がまた……)

理解が追い付かない智琉に二台の車が襲い掛かり、更に最初に避けた車も反転し再び智琉に狙いを定めた。

幸 (さあ、お前はどうする?)

智琉は向かって来る前方の二台の車にレッド・ドラゴンを飛び掛からせると両手で二台の車を上から地面に押し付け、そのまま一気に押し潰してしまった。車体がひしゃげた二台の車は完全に停止し沈黙した。

幸 (なかなか強引な。だがその手を使えば後方の車の対処が不可能になる。お前のアンノウンでは車のスピードには……)

その時、レッド・ドラゴンが開けた口に溜めたエネルギー弾を上空に放った。その弾は智琉を飛び越し、襲い来る車のボンネットに直撃した。車は衝撃で跳ね上がり、智琉の頭上を一回転しながら智琉の眼前に落下し大破した。

幸「…………っ!?」

智「お前のアンノウンの能力は電池を作るんだな。生み出した電池で本来動かない筈の機械を動かせる。けど、その能力で動かす車自体はただの車だ。俺のレッド・ドラゴンはその程度じゃ怯んだりしない」

自らの攻撃を防いだ智琉に対し幸大は感嘆を示した。

幸「良い洞察力だ。そして危機的状況にも臆しない的確な判断力。よほど頼りになる師か友に恵まれたんだな」

智「ああ、両方を兼ねる奴がいてな」

智琉は少し得意げに言ってみせた。

幸「シークレット・サンシャインは太陽光を体の表面から取り込みそれをエネルギー源として電池を生み出す能力を持つ。日が昇る内はエネルギーの供給は尽きないって訳だ」

智「太陽の光を……」

幸「曇り空の時なんかは心許こころもと無いが今日みたいな快晴の日にゃ何の問題も無い。シークレット・サンシャインから生み出される電池には動作不能となった機械を動かせる働きがある。が、それはあくまで自在に操れるものであって操る対象の力の強化までは担っていない。だがそれも工夫次第。俺も攻め手を凝らすとしようか」

幸大は又もやシークレット・サンシャインから二つの電池を受け取ると、今度は廃車の山の更に奥に投げ付けた。次の瞬間、積まれていた廃車の山を崩す勢いで奥からショベルカーとブルドーザーがエンジンを轟かせながら姿を現した。

智「!?」

幸「さっきまでのただの自動車とは違う。力も頑丈さも段違いの重機ならお前も少しは手を焼くんじゃないか?」

襲い来る二台の重機に智琉はレッド・ドラゴンで突進して来るブルドーザーを受け止めるが、押し迫るブルドーザーの馬力にレッド・ドラゴンのパワーを持ってしても押し返すのは困難だった。

智「ぐっ……」

動けないでいるレッド・ドラゴンに側面からショベルカーがアームを掲げながら迫って来た。

智「ちっ!」

智琉はレッド・ドラゴンを振り下ろされたショベルカーのアームが当たる寸前に空へと飛んで回避させると、巨大なエネルギー弾を作り地面に撃ち放った。しかしそれを二台の重機は即座に後退し回避した。

幸「お前の龍の口から吐く謎の物質、威力は凄いんだろうが当たらなきゃ意味が無い。違うか?」

再び智琉に向けて幸大は二台の重機を突撃させた。その瞬間、二台の重機の足元の地面から細長い物体が飛び出したかと思うとそれは一瞬にして車輪とキャタピラに絡み付き二台の重機の動きを封じた。

幸「何!?」

絡み付いたのはレッド・ドラゴンのエネルギーが変化したものであった。直前に地面に撃ち放ったエネルギー弾を智琉は地中を駆け巡らせ縄状に変化させて地上に出しキャタピラを固定したのだった。

智「その二台の重機よりも、昨日の奴の戦車のアンノウンの方がパワーもスピードも遙かに上だったぞ」

智琉はレッド・ドラゴンを自身の前に戻し戦いを続ける意志を見せた。




続く


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