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異形魅了のUNKNOWN season.2  作者: ヨシアキ
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1-3話




泰「やり合う以上は本気で来い。でねえと死なしちまうぞ」

泰馳はカードからアンノウンを出現させた。

泰「UCアンノウンカード"ミスター・タンク"」

泰馳の前に右腕に巨大な一門の砲塔、左腕にバルカン砲、そして両脚の側面にキャタピラを付けたアンノウンが姿を現した。その仰々しい出で立ちに智琉も身構えた。

泰「突っ立ってるだけじゃ良い的だぞ!」

泰馳はミスター・タンクの左腕を構え智琉に向けてバルカン砲を掃射した。

智「!?」

襲い来る弾丸を智琉は転げながらも必死になって躱した。

泰「蜂の巣は嫌か?じゃあ欠片も残さず消し飛ばしてやるよ」

地面から起き上がろうとする智琉に、泰馳は今度は右腕の砲塔の照準を智琉に合わせ撃ち放った。

智 (やばっ……!)

着弾した砲弾は音を上げて爆発し爆煙を巻き上げた。

泰 (やれたか?んな簡単でもねえか……)

その時、立ち込める爆煙の中から巨大な物体が飛び出した。

泰「何だ?」

それはレッド・ドラゴンであった。煙の中から空中に飛び出したレッド・ドラゴンはそのままミスター・タンクに向かって突撃した。

智「喰らわせろ!レッド・ドラゴン!」

泰「龍!?そいつがお前の……」

驚きながらミスター・タンクのバルカン砲をレッド・ドラゴンに撃ちまくるが、大した傷は与えられずレッド・ドラゴンの勢いが衰える事は無かった。

泰「なかなか硬え体してやがる……」

泰馳は即座にミスター・タンクの膝を折り曲げさせ脚のキャタピラを地面に着かせると、車輪を稼働させその場から一瞬で退避させた。その移動速度はかなりのスピードを誇っていた。

智「……速い」

智琉はレッド・ドラゴンのエネルギー弾を数十発作り撃ち放つが、ミスター・タンクは持ち前のスピードでそれらを全て躱し、残るエネルギー弾をバルカン砲の掃射で破壊した。

泰「今の黄色いのを飛ばすのがお前のアンノウンの能力か?」

智「そう言うお前のはただ弾を撃つだけに見えるが」

言い返した智琉の言葉を泰馳は嘲笑った。

泰「アンノウンの能力なんてのはこのくらい単純な方が強えんだよ。俺が今まで戦ってきたアンノウンの中には一言じゃ説明出来ねえくらい複雑な能力を持ったのもいた。だがどんな難解で異質な能力を持ってたって最終的に必要なのは相手をぶっ壊す程の圧倒的な破壊力だ」

泰馳はカードを振りかざし自信満々に言い放った。

泰「ミスター・タンクが有する弾数は底無しだ。弾切れ弾詰まり無しで繰り広げられる無間むけんの殲滅こそがミスター・タンクの得意技。ややこしい能力なんてこいつには無い。が、凶悪な火力と最高度の機動性の前にゃ複雑でみみっちい能力なんて恐ろしく役に立たねえんだわ、これが」

智「……確かに厄介かもな、案外」

智琉も今までの戦いから泰馳の言葉を否定しきれなかった。

泰「お前がさっきのをどれだけ撃ちばら撒いたって俺の攻撃力の足下にも及ばんのよ!」

ミスター・タンクのキャタピラが唸りを上げ猛スピードで突進しながら再び右腕の砲塔を智琉に構えた。

智「させるか」

智琉は滞空するレッド・ドラゴンから数十発のエネルギー弾を地上のミスター・タンクに向けて放った。

泰「んな豆鉄砲なんざあ!」

しかしミスター・タンクのスピードには追い付かず、エネルギー弾は全て躱され地面に着弾し消え去った。そのままミスター・タンクは右腕の砲塔を空中のレッド・ドラゴンに向け砲撃を放ち、それと同時に左腕のバルカン砲を智琉のいる方向に薙ぎ払う様に掃射した。

智「っ!?」

智琉はレッド・ドラゴンを間一髪でその砲弾から回避させ、自身も咄嗟に地面に身を伏せバルカン砲の弾丸を避けた。回避した智琉の後ろにあったすべり台はバルカン砲の威力によって穴だらけになっていた。

泰「じっとしてて良いのか?」

智「?」

その時、智琉の頭上から先程レッド・ドラゴンが回避した砲弾が落下し迫って来ていた。

智「!?」

智琉は急いで立ち上がり逃げようとしたが、それよりも早く砲弾が降りかかってきた。地面に落下した砲弾は爆発を起こし、その爆風の勢いに智琉は押し飛ばされた。

智「うわあああっ!」

砲弾が着弾した地面は大きなクレーターを形作っていた。

泰「これが破壊だ」

得意げに見下す泰馳を睨みながら、智琉はよろめきつつゆっくりと立ち上がった。

智「ああ、よく分かった。お前のアンノウンの力はよく理解した」

泰「だろ?」

智「だから、今度は俺がお前に理解させる番だ」

泰「何?」

智琉は再びレッド・ドラゴンからエネルギー弾を数発放出しミスター・タンクへと撃ち放った。

泰「またさっきと同じ……」

泰馳はまたミスター・タンクに回避行動を取らせようとした。しかし、数発のエネルギー弾はミスター・タンクには触れずけるかの様に不規則な軌道を描いて周回すると一気にミスター・タンクの頭上に集約した。

泰「!?」

智「それはレッド・ドラゴンのエネルギーだ。エネルギーはただ飛ばすだけじゃない。俺の意思で自由自在に操れる。動きの軌道、そしてその姿形も」

集まった小さなエネルギー弾達は全て一体となり巨大な一つのエネルギー弾へと姿を変えると智琉は真下に控えるミスター・タンクに叩き付けた。エネルギー弾の着弾は爆音と共に辺りに土煙りを巻き上げた。

智「単純なのも悪くないが、それだけじゃ……」

その時、立ち込めていた土煙りが凄まじい勢いで掻き消された。土煙りが払拭されたその場に見えたのは砲塔を振り翳し土煙りを晴らしたミスター・タンクの姿であった。

智「な……!?」

智琉は驚愕した。エネルギー弾での攻撃の手ごたえは確かにあった。しかし目の前のミスター・タンクはほぼ無傷で正常に動いていたのだった。

泰「残念ながら効きません。お気の毒様」

泰馳の悠然とした風態からもミスター・タンクの負ったダメージの少なさが窺えた。

泰「その黄色いのが変幻自在に応用出来るのにはちっと驚いたが、ま、所詮はそれまでだ。こいつにダメージを与えられるかは別って事だ」

智「……どういう意味だ?」

泰「ミスター・タンクの体は超強力な装甲で守られてる。絶対とは言わないがどんなアンノウンの重い一撃を喰らおうがかすり傷が付けばいい所だ。お前の今の攻撃も中々なのは喰らって分かった。が、俺のミスター・タンクを相手取るにその程度の力じゃ見窄みすぼらしいってもんだ」

ミスター・タンクは再びキャタピラを地面に着かせるとバルカン砲を構え智琉に突撃を始めた。

泰「目の前の脅威に注意を引き付ければ目の届かない落とし穴は見落とす。ミスター・タンクのパワーとスピードにばかり目が行って防御力に考えが及ばなかったお前の負けは決まった。しまいだ、次で仕留めるぞ」




続く



UCアンノウンカード紹介》

ミスター・タンク 身長2m

持ち主:狩羽 泰馳

能力:両腕の砲塔とバルカン砲の射撃からなる圧倒的な破壊力、殲滅力を誇る。砲弾、弾丸に限りは無い。脚部のキャタピラで走行する事で驚異的なスピードでの移動が可能な上、外皮の装甲は非常に硬く強靭である為、普通の攻撃ではまともに傷を負わせる事も困難である。


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