信長の野望・異説 長篠の戦3
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前回の続きからになります。
到着した部屋には多数の自衛隊員が詰めており、様々な装置が設置されている部屋であった。
その部屋の一画の複数のモニターには偵察用ドローンから送られてくる映像が流れている。
その光景に信長も信忠も言葉が出ないようで少しの間固まっていた。
それからしばらくして、ようやく信長が口を開く。
「新田殿、まさかこれはここではない遠くの風景が見れる絡繰りでは?」
「そうですね。我々は"映像”と呼んでおりますが。遠くで撮影・・・記録した映像をこちらで受け取って見れるようにした装置・・・絡繰りとなります。」
新田は簡単に説明するが言葉の違いで若干手間取る。
「もうすぐ長篠城周辺に到着する予定ですので少しの間お待ちください。」
そう伝えた後、新田は続ける。
「お二人に確認したかったことというのは武田勝頼本人についてです。この時代の交渉事は大名同士が直接顔を合わせて交渉することは稀であったとは言われていますが、それでも織田家と武田家では一時的にとはいえ、繋がりがあったとされていました。そのようなわけで、お二人のうちどちらか、武田勝頼との面識はありませんでしょうか?または人相がわかりませんでしょうか?先ほどの席で申し上げた通り、武田勝頼をより確実に捕縛するためにも、武田勝頼本人の人相がわかれば事が運びやすいのですが。」
新田の問いかけに信長は首を振る。
「残念ながら直接の面識はござらん。乱破衆から報告されている人相であれば把握して居るが。」
信長に続けて信忠も答える。
「私も存じておりません。松姫との婚約も使者同士でのやり取りでしたし、其の後も武田家の預かりでしたので」
「そうですか。それでは、信長様、武田勝頼に関しまして、報告を受けたという人相書き、顔の特徴を教えて頂けますか?それを元にこちらで似顔絵を作成いたしますので。」
そういい、新田の指示で似顔絵作成を得意とする隊員と信長との間でやり取りを踏まえながら似顔絵を作成していく。
それからほどなくして、旗印を掲げた軍団の姿とそれに包囲される長篠城の姿がモニターに映る。
歴史の研究ではこの時の武田の軍勢は10000人から15000人の間であったとされているがそれも納得の人の多さである。
「さすがにこれだけの人間が集まると圧巻ですね。」
現代戦ではあまり見なくなった密集陣形に新田は言葉を漏らす。
その後、長篠城周辺を1周回らせてデータを取ったあと、北にドローンを進ませる。
武田勝頼が本陣を敷いたとされる、北に存在する医王寺を確認するためである。
それから程なくして医王寺が見えてくる。
転移日本の歴史では医王寺の北の裏山に本陣を築いたとされるため、まずは北へ向かう。
そこには、見張り台とそこに詰めているであろう兵士の姿が見えた。
甲冑などを着ていないため、本陣詰めの兵士である可能性が高い。
見張り台の人間を武田勝頼ではないと判断したため、本陣があったとされる場所へ向かうとそこには
陣幕に囲われた一帯と腕組みをしている身なりの良い人物を確認する。
その人物は山の麓、武田の軍勢と長篠城を見ているようである。
陣幕の周りとその人物の周りにはそれなりの兵士が配置されているため、新田はそこを軍事拠点と仮定して記録する。
その後、先ほどの信長の証言を元に作成された似顔絵と信長にも映像を確認してもらいながら武田勝頼本人かの検討に入る。
「先ほど信長様の証言を元に作成した似顔絵と比べると微妙に違う気がするのですがどうでしょうか?」
「何分乱破衆からの報告を頼りに記憶の限りの証言をしたにすぎぬ故何とも言えぬ。ただし、陣幕が張られている場所のすぐ近く、周りに兵士を配置して自分にも多数の護衛を付けているとなると武田勝頼本人だと思われるが」
国家の代表や武装勢力の首領など、すぐに顔写真が世界に発信される現代と違い、旧日本と接触をもってまだ3日しかたっていないため、その人物が目的の人物か確信を持てるだけの材料が整っていない。
そのため、新田は信長の言葉を信用しその人物にしばらく偵察用ドローンを張り付けての監視を行うよう指示を出す。
これは人物の特定と共に行動パターンの把握のためにも必要な措置であるため、結果として今回使用する偵察用ドローン5台の内、3台が入れ替わり立ち代わりで武田勝頼と思われる人物の監視のために割かれることとなった。
「とりあえず、このまましばらく情報収集を継続します。」
その後、信長と今後の方針について話合う。
「つまり作戦行動を起こす前に警告により相手に降伏、撤退を促し、警告に従わなず戦を続けようとしている場合に限り攻撃するということじゃな?」
新田の説明を受け、信長はその内容を繰り返すことをいう。
「はい、その通りです。信長様のようなこの時代の人間からするとわざわざ敵に知らせ、対応する時間を与えるということは理解し難いことかと存じますが・・・」
「よい。そなた達の時代にはそなた達の時代の戦の作法という物があるのであろう。よきに計らうがよい。」
「ありがとうございます。」
その後、数日は情報収集に努める事、その間は、信長も「かが」にオブザーバーとして来ていただくことなどを決め、日も傾きかけてきたため、約束通りにヘリで信長、信忠の両名を岐阜城近くへと送り届けることとなった。
現代だとこいつだ!っていう感じで顔写真すぐ出回るのでしょうが、戦国時代だとそうもいきませんし、何より作中の転移日本が旧日本に接触してまだ三日ほどしかたっていませんので人に聞いて確認するしかない状態です。そういう意味では写真って便利なのでしょうが現代社会では加工技術が発達してきたせいでデジタル撮影された写真や動画の信用度が落ちてきているという皮肉な部分もあります。作中ではそこまで言及する予定はありませんが。
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