岐阜会談1
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やっと信長との会談へと入ります。
城門前で皆、馬から降りると、案内人が門番に話しかける。
「信長様のお客人をお連れした。」
そう伝え、開かれた門を潜るのを後ろについていく。
坂を登る途中、運搬途中らしき箱が目に付く。
周りの雰囲気から察するに戦の準備の最中なのであろう。
人の動きが慌ただしい。
案内人に連れられて移動する中、時折すれ違う人が怪訝な目で見て通り過ぎていく。
橘達の服装が珍しいため無理もない。
護衛の自衛官達は案内人についていきながら移動ルートを記憶していく。
交渉決裂で終わった場合、すんなりと帰れるとは限らないためである。
最悪の場合、その場で小規模の武力衝突も起こりうるため、橘達外交官を無事に連れ帰るのも任務であるからだ。
また、今回は小型カメラで常に映像が撮影され、かがの監視モニターへ送信されていた。
送られてくる映像から、もし、輸送ヘリを着陸させるならどの場所が最適かのシミュレーションもAIが行っている。
やがて、目的の場所へ着いたのか、案内人が立ち止まる。
「ここでしばしまて、」
そう告げると案内人はどこかへ立ち去る。
指定された場所へ入るとそこは大きな広間だった。
部屋の脇にはすでに何人かの身なりのいい人物が座り、待機している。
橘達も正座し、この後の段取りを簡単に確認していく。
それからしばらくすると信長の家臣らしき人物たちが居住まいを正しはじめる。
ほどなくして、
「信長様が入られます。」
そう告げられ、全員平伏する。
それに倣う形で橘達も平伏の姿勢をとる。
「面を上げよ。」
その言葉を受け、橘達は姿勢を正す。
「話がしたいということであったので、こちらへ呼んだが。あれほどの巨大な船を造る国が、我が織田家に何を求めるのか、仔細漏らさず申せ。」
信長の問いに対して、まずは橘が返答をする。
「まずは、急な訪問にも関わらず、話し合いに応じていただきありがとうございます。詳しい話の前にこちらをお受け取りください。」
橘がそういうと、すぐに渡せるように備えてあった品々を目の前に並べていく。
有田焼や信楽焼などの現代日本で代表的な焼き物を複数点、また、江戸切子や薩摩切子などのガラス細工、日持ちのするお菓子としてクッキーとフィナンシェの詰め合わせ数箱、現代で作られた刀剣1本、腕時計、そして、フリントロック式のライフルである。
お菓子は保存のため、個別包装されているため、橘は外側の包装は食べられないことを告げ、取り方を教える。
並べられた品々を信長が吟味していく。
やはり銃が気になるようである。
「お気に召して頂けたでしょうか?」
「うむ、このような銃は見たこともない。焼き物にしてもそうだ。このような様式を儂は知らぬ。おぬしらは一体どこの国からの者か?」
橘は深呼吸し、言葉を続ける。。
「単刀直入に申し上げます。我々は遥か時の先からやってきました。我々の国は未来から国ごとこの時代へやってきた日本となります。」
そう告げた後、封書を取り出し、信長へ渡す。。
「こちら、我らが時代の国の代表である、藤原総理大臣からの書状になります。」
まさかの返答に信長が困惑しながら、渡された書状に目を通していく。
「まさか未来からの使者であったとは・・・未来から国ごとやってきたと申すが、いったいどれほど先の未来からやってきたのか?」
「それをはっきりさせるためにも一つ質問させて頂きます。今現在、こちらは何年の何月何日でしょうか?」
「今は天正3年5月5日である。」
信長から発せられた言葉に和泉が反応し、橘に耳打ちする。
「確か天正3年は西暦で1575年のはずです。」
橘が和泉からの情報を元に計算して発言する。。
「信長様から教えて頂いた日時で確定いたしました。我らは468年後の日本となります。」
「我々織田と同盟を結びたいということは分かった。しかし、そこまで進んだ未来の日本が我々に一体何を求める?」
橘が答える。
「我々が望むのは情勢が安定している同盟国です。この時代において、世界はヨーロッパ諸国、こちらの時代の認識では南蛮の国々が、世界の覇権を賭けてアフリカ及びアジアでの植民地を挙って増やしている状態であります。世界の強国と並び立つためにも、国を挙げての国力増強が必要となってきます。そのため、内乱状態である現在の旧日本の1勢力での早期統一が望ましいと考えております。」
「我ら織田に早く日本を平定しろというわけか。」
「その通りです。そのためには、我らの日本は武力支援も惜しまない予定です。他にも、医療支援や農地改革など、旧日本が人口を増やすために必要な支援を予定しております。」
信長はしばし考える。
「なぜ、そのための同盟相手が我ら織田なのだ?」
「今の段階での勢力図であれば信長様率いる織田が一番早く統一する可能性が高いからです。」
「我らがその同盟の話を断ればどうなる?」
「我々はここから撤収し、次の有力大名と接触しその勢力を支援して旧日本を統一する予定であります。」
橘は正直に答える。
その返答に関して信長は一瞬だけ顔をしかめた。
「つまり、本来であれば自分たちだけでもこの時代の日本全てを敵に回しても勝てるが、あえて我々に傀儡になれということか?」
「無礼な!我々をなんと心得る!」
家臣らしき者たちから非難の声が上がるが、橘は冷静に返す。
「先ほども申し上げた通り、我々が求めるのは安定している友好国です。織田が日本を統一した後はどのような政策を行って頂いても構いません。ただ、我らは人権に対しては口はだしますし、未来を知っているからこそ、悪手と思える政策に対しても口を出すかもしれませんが。」
信長は再び考える。
今この場で、無礼者と斬って捨てるのは容易い。
しかし、尾張沖で確認した巨大船や空飛ぶ絡繰り、あれらにもし武器としての能力が備わっていた場合、織田は一方的に負けるのであろう。
清州城下や岐阜城下が火に包まれる映像が脳裏に浮かぶ。
「先ほど、同盟を締結した場合、支援の予定があると申しておったが、どの程度のことが予定されているのか?」
この話を描いてる時、焼き物類が云々と描いていると、ふと、信長がビールジョッキを家臣に下賜している姿が目に浮かびました。(笑)さすがに、作中贈答品の中にビールジョッキはありませんので、この世界でもそのような姿は見ることができないはずですが・・・
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