日中衝突、タイムスリップ日本
初投稿ですのでほぼ習作扱いです。
よく似た作品や設定があると思いますが、すべてを把握するのは難しいのでご容赦ください。
あまりにも似すぎている作品がございましたら教えていただければこちらを削除します。
日中が衝突するまでの簡単な経緯の説明及び転移まで
2043年2月某日、日本は滅亡の危機に瀕していた。
理由は中国との戦争である。
形勢は劣勢であり、今や東京は1世紀近く昔の東京大空襲後を連想させるほどの焼け野原であった。
ご丁寧に首相官邸や国会議事堂、皇居は避ける形でである。
「まさか、私の代で日本が亡くなることになるとは思わなかったな・・・」
ある男が首相官邸の一室でそう呟いた・・・。
2000年代初頭から経済が発達してきた中国は2020年代後半になるとその経済力、軍事力、資源外交を使ってアフリカ諸国や東南アジアなどに無理難題を押し通す外交を繰り広げるようになっていった。
2030年代初頭になると、世界各国が連携して関税引き上げや商取引の停止などを行ったが、対応が後手に回ってしまっていたため、中国ではさほど問題にされることはない状態であった。
広大な土地を有し、文明維持に必要な資源のほとんどを国内で賄え、各国の企業からすでに技術も吸収しつくし、独自開発すら行えるだけの技術力を持ち、膨大な人口による内需をもって経済を回す。
もはや中国にとっては自分たちの国だけで事が足りる状態になっていたのである。
それでも、太平洋へ軍を展開する野望のためには日本、台湾、フィリピンなどの太平洋沿岸に存在する国は邪魔でしかなかった。
2040年になると、その経済力をもってアメリカの有力議員及びその一派にお金を掴ませることで在日米軍の規模を縮小させ、沖縄の部隊を中心にした一部在日米軍をアメリカ本土及びグァムに撤収させることに成功する。
2042年5月には在日米軍が完全撤収することが決まり、10月にはほぼすべての人員、兵装類の撤収が完了した。
2010年代後半から2020年代前半に提唱されていたダイヤモンド構想やクアッド構想はもはや意味をなさない状況になり、在日米軍撤収からわずか1か月後の11月、中国が物量をもって尖閣、沖縄、九州に侵攻、瞬く間に占領されることになる。
太平洋への出入り口ができたことによって、当初はその占領地を中国へ編入することをもって日中講和を呼び掛けていた中国であったのだが、講和条約のすり合わせの段階で戦争を続けたい一部中国人将校が暴走し、現場の日中両国の大使を射殺、その惨状を日本側へ擦り付けることになる。
面子をつぶされる形になった中国側は戦争の継続を宣言する。
「まさか、私の代で日本が亡くなることになるとは思わなかったな・・・」
場面は冒頭にもどり、首相官邸。
もはや意味がなくなった対中国対策の話し合いのために割り振られた一室であった。
「この前まで野党の連中の馬鹿な話や追及、進まない予算案と辟易していたのにね。もはや懐かしさすら感じる。」
最初の衝突によって、対中国用に増強していた海上自衛隊の戦力はすでになく、
関西以西に展開していた陸上自衛隊や航空自衛隊も九州を占領された後、物量で押し切られる形で壊滅状態であった。
日本にもはや逆転の目はない。
「自衛隊員に多大な被害が出てしまったが、それ以上に民間人にも多大な被害を出してしまった。無能の総理大臣として私の名前は後の歴史に載るんだろうね・・・」
自分のことを総理大臣だと言った男は乾いた笑みを浮かべ、独り言のようにつぶやく。
傍らには官僚らしき人物が一人だけ佇んでいて、総理大臣の呟きを静かに聞いていた。
「日本は今後どうなるとおもうかい?」
総理大臣は傍らにいた官僚らしき男に質問をする。
「第二次世界大戦後、アメリカに占領された日本は10年をまたずに独立を行っています。時が過ぎればあるいは・・・」
「あの中国共産党がそのようなことを許すはずがないだろう・・・」
二人は簡単な会話を交わした後、無表情になる。
「総理、時間です。」
官僚が告げる。
「誰にでもできる簡単な仕事だけれどね。」
「総理にしかできない大切なお仕事です。」
「わかっているさ。これ以上犠牲者がでないようにするためにも」
降伏文書の調印のために九州まで出向かなければならないことになっていた。
官邸からは外のがれきの山が見える。数秒ほど立ち止まった総理大臣であったが、意を決し、歩き出した瞬間、日本列島全域を同時多発的に巨大な地震が襲われることになる。
とっさのことで体勢を崩した総理大臣と官僚は、頭を強く打ち、意識を失うことになる。
それから数時間後のこと、日本上空を監視用衛星が通過していく・・・
そのレンズには二つの日本列島が映し出されていた・・・