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アルス・ヴォン・アルフォード

「グラァァ!!」


「私は準備OKだよ!レーナ!!」


一人と一匹の声が大森林を振動させる。気合いが入っている証拠だ。

今日。この日の為に、3日間レベリングを頑張ってきたし、心が高まってしまうのも分からなくはないが、出来れば少し落ち着いて欲しい...

今から大森林を揺らす程の咆哮を上げるようでは、お母様目の前にしたらどうなるか分からない...


「グララララァァァァ!!」


ロスは大地を蹴り、勢い良く飛び上がり、私とヒューリを乗せたまま、大空へ羽ばたく。


今日、この日の為に、ロスもヒューリも鍛えてきた。


三日間、ずっとその事だけを考えてきた。


以前私が体験した、半年間のデルラジア大森林生活には負ける苦しみだと思うかもしれないが、それは絶対に違う。三日間と言う短い期間で、目標を達成するように友人を鍛えなければならない。

時間が少ないと言うのも、大きな苦痛ポイントだが、もっと苦しかったのは、友人を限界までレベリングさせる事だ。

日本なら裁判沙汰になるほどのスパルタ教育的な事を、初めてできた近い年の友人に行っていたのだ。これを私の幼い精神が耐えただけでも奇跡と言えるだろう。


「ロスも...ヒューリも...本当に私の為に、ありがとう...!」


色々と考えたら、瞳から汗が出てきてしまった...


私も疲れたのかな。


お母様と決着をつけたら、ヒューリと一緒にフカフカのベッドで寝よう...


「レーナ!どうしたの!?」


「グルゥゥゥゥ...」


ヒューリに続いてロスも心配そうな顔で私を見つめる。


何か変な事でも口にしただろうか?


私はそんな素朴な疑問を抱きながら、ロスの背に乗って大空を進んでいった。



***



ーー1時間後


これは予想以上にキツイ旅になりそうだ。


デルラジア大森林に向かった時は、そこまで感じなかったが、今は暇で暇でしょうがない...

ガタガタでずっと震えてるよりは100倍ましだが、暇と言うのもかなりの苦痛だ。


ヒューリもはあれだけ闘志を燃やしていたのに、今は微風に身を委ねながら、何もない天空を眺めている。


「グルルルルゥゥゥゥゥゥ!!!!!」


そんな時だった。


ロスは鳴き声を上げ、私達を乗せたまま大きく方向転換をした。

その結果、呆然としていたヒューリは振り落とされそうになり、私は急ぎ彼女に駆け寄った。


「ロス!どうしたの!?」


「グルゥゥゥゥ!!」


翻訳すると『人間が攻撃を仕掛けてきた』だ。


こんな大型のドラゴンを狙い撃ちしてくる人間なんてそういるはずがない...だとすると...


「お母様...」


私は油断していた。

私から仕掛けに行って、決戦の場は屋敷になると言う固定観念に縛られていた。

まさか...こんなところが決戦の場になるなんて...思いもしなかった。


「レーナ!下に馬車が!!最低でも10台は!!」


馬車が10...?


まさかお母様...そんな数の仲間を引き連れて...


「ロス!少しだけ高度を下げて!こちらも仕掛ける!!」


作戦として一番いいのは、敵の数だけを把握して、さっさとここから逃げる事だ。でも、ここで逃がしたら、もっと大きな軍隊を引き連れて屋敷を襲撃してくるかもしれない。

現状追われているのはこっちなのに、絶対に逃がしてはならないと思ってしまう。


「先ずは挨拶変わりの〖ステータス閲覧〗!!」


私は身を乗り出し、同時に〖ステータス閲覧〗を発動させる。


そんな私の視界に映ったのはお母様ではなく、一人の男性。


軍服のようなもので身を包み、七色に輝く剣を構えるその姿は、正に剣聖...


「お父様...?」


--------------------------------------

名前:『アルス・ヴォン・アルフォード』


 種族:ヒューム

 状態:通常

 年齢:25

  LV:87/99


  HP:812/812

  MP:749/787

攻撃力:648(+40)(+150)

防御力:621(+80)

魔法力:638(+150)

 速度:661(+60)


 装備:〖竜鱗の防具:価値B-〗〖竜鱗のマント:価値B-〗〖騎士団長の短剣:価値C〗〖聖剣リムドブルム:価値A〗


通常スキル:

〖マナブレイド:Lv8〗〖アタックフォース:Lv8〗〖幻歩:Lv7〗〖オーバーブースト:Lv7〗〖旋風脚:Lv8〗〖瞬動:Lv7〗〖魔気脚:Lv7〗〖オーバーアクセル:Lv8〗〖拳圧:Lv7〗〖地結界:Lv7〗〖炎衛星:Lv8〗〖幻氷雪:Lv7〗〖治癒光:Lv7〗


耐性スキル:

〖衰弱耐性:Lv7〗〖水属性耐性:Lv8〗〖恐怖耐性:Lv7〗〖物理耐性:Lv8〗〖苦痛耐性:Lv8〗〖落下耐性:Lv7〗〖雷属性耐性:Lv8〗〖風属性耐性:Lv8〗〖火属性耐性:Lv8〗〖闇属性耐性:Lv8〗〖光属性耐性:Lv8〗〖霧属性耐性:Lv7〗〖氷属性耐性:Lv8〗〖土属性耐性:Lv8〗




特性スキル:

〖属性飛斬:Lv7〗〖双剣術:Lv--〗〖剣身一体:Lv8〗〖剣気解放:Lv7〗〖拳気解放:Lv7〗〖断罪火炎:Lv7〗〖水之知:Lv7〗〖原光回帰:Lv8〗


称号スキル:

〖アルフォード公爵:Lv--〗〖剣聖:Lv--〗〖伝説:Lv--〗

--------------------------------------


「レーナ...か?」


この距離でも伝わってくる、お父様の戸惑い。


ポツリと何かを呟き、剣先を地に向けるお父様。


「ロス、ちょっと降ろしてくてる?」


ロスはゆっくりとその巨体を地面に近づける。


ロスの足が地に着くと同時に、小規模な竜巻が発生し、お父様はそれを軽くなぎはらう。


「お父様...あの..一週間ぶりですね...」


ロスに背から飛び降り、恐る恐るお父様に近づく。


険しく、軽い恐怖さえ感じさせるお父様の眼差しは、いつもの彼からはかけ離れたものだった。


「えーとだな...こんなところで何してるんだ...?」


彼から出た第一声は意外にも、私がレーナであることを確信したような内容だった。


自分で言うのもなんだが、今の私は異常過ぎる。

6歳児の少女とは思えない反応、行動、戦闘力。そして何より、私の真横で呑気な顔を晒す伝説級のドラゴン。

こんな少女が正常であるはずがない。逆の立場なら全力で逃げてる自信がある。


なのに、お父様はそんな少女が自分の娘である事をあっさり認識してしまった。

容姿が同じだとしても、たまたま同じ容姿を持った化け物、もしくは私の容姿を奪った人喰いの化け物だと予想するのが、妥当だ。

これが親子の絆というものなのだろうか...


「お父様こそ...こんな所で何を...」


お父様が優しく接してくださった言うのに、私は質問を質問で返してしまった。


お父様は確か、大切な仕事で1週間は戻らないと言っていたはずだ。お父様が1週間かかると言って、1週間以上かかる事があっても、それ以下の時なんて絶対になかった。ここから帝都まで一日もあれば着くだろう。それなのに、お父様はこんな所で何をしているのだろうか...?


もしかして私がまた行方不明になった事を聞きつけて、仕事を切り上げてきたとか...


「まぁいいだろう。シルフィーの事で..帝都に戻る途中だ...」


シルフィーはお母様の名だ。

お母様の事で帝都に戻る途中と言うのは、どういう意味なのだろうか?もしかしてお母様...もう何かしたのだろうか...?


「お母様の事って...いったい...」


「おっと、今度はレーナが質問に答える番だ。何でこんな所にいるんだ?」


痛いところをつかれた...

そんな事を言われれば、答えない訳にはいかない。


薄っすらと口角を上げながらも、険しい表情を保っているお父様を見れば、逃げ道なんてない事は直ぐに気づかされる。


「その...お母様に命を狙われておりまして...僭越ながら、屋敷から退場させて頂きました。」


噓が致命的なのを自覚して、婉曲的に事実を伝えようと言葉を選んだつもりだったのだが、私が文を終わらせると同時に、辺りで待機していた兵士達がざわつき始めた。


何かマズイ事でも言っただろうか?


「やはり情報は確かだったのか...?」


お父様は口に手を当て、ポツリと言葉を漏らした。


「お父様。もしかしてお母様の事...?」


思い切って聞いてみる。

お母様を倒すとなると、いずれはお父様にも話さなくてはならない事だ。

話すなら今しかない...


「昨日、部下から情報がはいってな。シルフィーが、涅色くりいろの龍に手を出したと...」


「お父様…この場合の龍って…」


「太古の龍だ。」


太古の龍。それが示すものなんて一つしかない。

焔漿龍と同じ、創造の時から存在すると言われている、龍種だ。


お母様がそんな龍に手を出した?

グレゴリーが焔漿龍と行動を共にしていたみたいに、お母様も涅色の龍とやらを仲間にするつもりなのか?それとも、私みたいに特異進化するのが目的で...


「なら、お父様はそれを確かめる為に、帝都に...?」


お父様はどこまで知っているのだろうか?

お母様が大変なものに手を出そうとしている事以外、何を知っているのだろか。私も良くは知らないが、お母様の起こそうとしている奇行を、どこまで予想できているのだろうか?


「あぁ。実の事を言うと、まだ疑っている。でも、本当にシルフィーが、レーナに手を出したのだとしたら...」


お父様はそれ以上、言葉にはしなかった。

ただ、その憎悪を満ちた表情を見れば、それに続く言葉など容易に想像できた。

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