緊那羅の能力
私の愛しのスキル...〖竜人化〗が...
あの絶対的なチートスキルはお母様戦に必須だと思っていたけど...なんで無くなるの...
まぁ、ただ無くなったなんて事はないはず。〖風操作〗が〖天候支配〗まで成長した様に、〖竜人化〗だって...なんか、もっとすごいのに...
思い当たるスキルは...同じ変化系スキルっぽい...〖龍化〗...
でも〖龍化〗って...名前からして絶対に人間やめる系スキルだけど...取り敢えず、鑑定さんで調べてみるか。
【特性スキル〖龍化〗龍の力を有した龍ならざる者が獲得するスキル。姿形を龍そのものに変化し、獲得した龍の属性を身にまとう事ができる。なお、ステータスは通常の物とは異なる。】
あぁ...姿形が龍そのものねぇ。
これって、あの焔漿龍と同じ姿になるって事...?
だったらお母様戦に使えないんだけど...多分屋敷内での戦闘になるだろうし、巨大化何てできない。屋敷をぶっ壊して、屋敷内にいる人達全員を危険に晒す事なんてできないし...
まぁ、これがお母様戦で恐らく役に立たないスキルだって事は分かったけど、一つだけ気になる事があるんだよねぇ。
『獲得した龍の属性を身にまとう』...は何と無く分かる。私の場合だと炎をまとうって事だと思う。
問題は『ステータスは通常の物とは異なる』だ。これがどういう意味なのか分からない。私の予想だと、〖竜人化〗みたいに通常のステータスに更なるステータス値が加算されるのではなく、全く新しいステータスが表示される...みたいな感じだけど...龍になったら全く違う単位になるとか...そういう可能性だってある...
出来れば封印したかったけど、一応テストだけしてみるか...もしかしたらお母様戦で使えるかもしれないし。
他に新しくはいっているスキル...焔漿龍のスキルをそのまま獲得してる気がするけど、まぁ無視の方向でいいか...名前から簡単に能力を予測できる様な物ばかりだし、焔漿龍が実際に使っているのとかも見たし...
とにかく、それは置いといて、後は〖天竜の咆哮〗か。
名前からして絶対人間の使用できるスキルじゃないし、なんで貰ったのかも分からない。
焔漿龍のスキルとかは、何となく獲得した理由が分かる。でも、〖天竜の咆哮〗?どうやって獲得したのか見当もつかない。
【特性スキル〖天竜の咆哮〗地に生息する生物を屈服させる〖竜神〗の能力。その咆哮は弱きものを蹂躙し、強きものの戦意を奪う。圧倒的強者にのみ与えられるスキル。】
成程...簡単に説明すると、ヤンキーに睨まれる...スキルか。この場合は私がヤンキー。
強者の戦意を奪う程のヤンキーに視線...そして、弱者をちびらせる程の目付き...それの咆哮バージョンみたいな...?
それはいいとして、いつこのスキルを入手したのか分かった。多分、〖竜神〗がレベルアップした時だろう。説明に〖竜神〗の能力って書いてあるし...
まぁ、どちらにしても、このスキルの実験はなしだね。永久封印は確定。一応確かめた方がいいのは分かるけど、制御出来なくて、近くにいるヒューリやロスに何かあったら大変だし...
最後に、魔王スキル〖緊那羅〗...
これも何となく、獲得理由は分かる。
気になる能力だけど...基本は〖竜神〗と同じなのか?経験値が2倍に増量したり...竜を従えて進化の可能性を引き出すって能力はどうなんだろう?その能力は〖竜神〗だから...だと思うんだけど...〖緊那羅〗は...見当もつかない...
【魔王スキル〖緊那羅〗偉大なる魔王の力の一部。この世に存在する自分より劣る獣人を従える事ができる神の力。自分の従者の潜在能力を引き出し、進化の可能性を与えることができる。更に、自分と従者が獲得する経験値量を2倍にすることができる。更に、上位、中位の獣人の攻撃力を大幅に減少する事ができ、下位の獣人の攻撃を無効化する事ができる。】
自分より劣る獣人を従える事ができる...?進化の可能性を与える事ができる...?
ちょっと意味が分からない..百歩譲って、『自分より劣る獣人を従える事ができる』は、ギリセーフにしよう...でも、進化の可能性を与えるって...それ魔物じゃん...それだと私も魔物になってしまうけど...それはいいとして...
もっと信じられないのが、『上位、中位の獣人の攻撃力を大幅に減少する事ができる』...
なにそれ?上位、中位とか存在するの?
獣人だから分かりづらいかもしれないけど、獣人を人間に変えて考えてみて。上位、中位の人間の攻撃力を大幅に減少する事ができるとか...違和感しかなくない...?それに、下位の獣人の攻撃無効化とか...
「ねぇ。ヒューリさん..」
私は少し落ち着いた様子のヒューリに声をかけ、真っ直ぐ見つめた。獲得したスキルの事は一旦忘れて、これから彼女がどうしたいのか、取り敢えず彼女の意見を聞いてみる事にした。
「ヒューリさんは...これからどうするの...」
他に行く当てがないなら、私は彼女を引きずってでも、屋敷に連れていくつもりだ。仲良くなった女の子を第三危険地帯に放っておくなんて絶対に出来ない。
でもまぁ、もしかしたら他にも獣人の里があるかもしれない。そこに親戚がいて、彼女はそこにいた方が幸せかもしれない。
「私は...」
彼女は口ごもってしまった。その先は何も言わず、只々寂し気な表情を露にしていた。
「ヒューリさん...もし、良かったらだけど。」
私の提案。それは一緒に帝都に来ること。彼女にとってはかなりキツイ環境になってしまうだろうし、お母様戦に巻き込む結果になってしまうかもしれない。
私は全て打ち明ける事にした。
私の出身地。つまり南の国の事を。そして、私のお母様の事...
「レーナさん...」
「ヒューリさん...?」
ヒューリは突然ポロポロと涙を流し、小動物を見るような瞳で私を見つめていた。ぎゅと私の両手を握り締め、私の名を漏らす。
「レーナさんも...色々あったんですね...」
まぁ傍から見たら私はただの6歳児だからね。
「それで...私の提案...」
「私なんか...足手纏いじゃないんですか...?」
足手纏い...か...
彼女は強い。8歳の少女にして、お父様の騎士団の副団長並に強い。でも、そんな事は正直気にしない。別に私はヒューリをお母様戦で活躍させる為に連れていく訳ではないのだから。
でも、それは私が彼女を大人しくさせる事が出来たらの話である。彼女は私のストーリーを聞いて黙っていられる様な子ではない。絶対に協力するとか言って来るだろう...焔漿龍の祠に行った時みたいに...
「ヒューリさん...進化してみる気はない?」
それは〖緊那羅〗で手に入れた能力。獣人を従え、進化の可能性を引き出す能力。彼女が望めば...多分...強くする事ができる。
「進化って...できるんですか?」
私はそんなヒューリの問いに無言で頷き、ぎゅっと彼女の手を握り返した。
「私!強くなれるなら何でも!レーナさんの役に立てるなら!!」
ヒューリは身を乗り出し、顔をかなり近づけてきた。
そんな彼女の反応を目の当たりにした私は直ぐに覚悟を決めた。彼女を連れてゆく覚悟を。そして、進化させる覚悟を。
と言っても、具体的にどうすればいいのか分からない。
ロスの時はなんとなく卵を拾って、何と無く一緒に過ごしただけだった。従者にする契約なんて結んだ記憶ない。
「レーナさん...なんか...強くなった気がします...」
「え?」
それって、私に勇気貰って何だか強くなった気がします!って感じなのか?それとも、そのままの意味で強くなった気がします..なのか?
私は不安に思い、ヒューリのステータス確認を行う事にした。もしかしたら進化してしまっているかもしれない。もしかしたらモンスターに変えてしまったかもしれない。
勿論、彼女に進化の提案をしたのは、彼女に強くなって欲しかったからで...容姿はそのままだし、これで契約?みたいなのが完了したのなら、それはそれで良い。
でも、心の準備が...
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名前:『ヒューリ』
種族:シルバー・ネル・ヒューム
状態:通常
年齢:8
ランク:C-
LV:42/50
HP:230/230
MP:160/160
攻撃力:156
防御力:102
魔法力:114
速度:165
装備:〖古いワンピース:価値F〗
通常スキル:
〖カタルシス語:Lv6〗〖炎水球:Lv6〗〖クリーン:Lv5〗〖ハイスピード:Lv6〗〖電熱:Lv6〗〖双鉄槍:Lv6〗〖クロススラッシュ:Lv6〗〖魔力拳:Lv4〗〖ブースト:Lv4〗〖ダブルスラスト:Lv4〗
耐性スキル:
〖水属性耐性:Lv4〗〖恐怖耐性:Lv4〗〖物理耐性:Lv5〗〖苦痛耐性:Lv5〗〖火属性耐性:Lv4〗〖雷属性耐性:Lv4〗〖風属性耐性:Lv4〗
特性スキル:
〖疾風迅雷:Lv4〗
称号スキル:
〖獣王の娘:Lv--〗〖緊那羅の配下:Lv--〗
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「ヒューリさん...」
覚悟を決めた私は重く閉じてあった口をゆっくリと開いた。ヒューリはそんな私の呼びかけに無言のまま頷く。
「レベル...上げ...しない?」




