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冒険者の町ヘップバーン

あれから私は預かっていた剣を返してからベインさん達とあの遺跡へと足を運んだ、無言で...しかもメイさんを始めとした冒険者の皆は顔を伏せているのである。前も見ないでどうやって歩いているのか不思議で仕方ない。


そう言えば私のステータスってどうなったんだろう。この際だし帰る前に一回チェックしてみますか!

ステータスチェックを決断した私はすぐさま自分に意識を集中させ、〖ステータス閲覧〗を発動させた。


【特性スキル〖ステータス閲覧:Lv6〗が〖ステータス閲覧:Lv7〗にレベルアップしました。】


--------------------------------------

名前:『レーナ・ヴォン・アルフォード』


 種族:ドラゴニア

 状態:通常

 年齢:6

ランク:C-

  LV:41/55


  HP:204/254

  MP:72/269

攻撃力:178

防御力:136(+10)

魔法力:198

 速度:176


 装備:〖アルフォード家のワンピース:価値C-〗


魔王スキル:

〖竜神:Lv1〗


通常スキル:

〖カタルシス語:Lv5〗〖爆炎球:Lv4〗〖焔矢:Lv3〗〖水撃:Lv3〗〖水流造形:Lv3〗〖水刃球:Lv4〗〖電熱:Lv5〗〖電撃:Lv5〗〖ライトニングスピード:Lv6〗〖ハイスラッシュ:Lv5〗〖烈風弾:Lv5〗〖烈風槍:Lv5〗


耐性スキル:

〖衰弱耐性:Lv2〗〖貴族耐性:Lv1〗〖水属性耐性:Lv3〗〖恐怖耐性:Lv5〗〖物理耐性:Lv6〗〖苦痛耐性:Lv5〗〖落下耐性:Lv5〗〖火属性耐性:Lv4〗〖雷属性耐性:Lv4〗〖風属性耐性:Lv4〗〖闇属性耐性:Lv3〗


特性スキル:

〖飛行:Lv2〗〖気象制御:Lv3〗〖水脈支配:Lv3〗〖鑑定:Lv6〗〖ステータス閲覧:Lv7〗〖念話:Lv5〗


称号スキル:

〖神の卵:Lv--〗〖剣聖の娘:Lv--〗〖吞気なお嬢様:Lv2〗〖竜王の加護:Lv--〗

--------------------------------------


魔王...スキル?

これが私の持ってたスキル〖竜神〗の正体ってこと?〖ステータス閲覧〗がレベル7になってやっと見れるようになったこのスキル..一体何なんだろう?このスキルの正体を知ってるとしたらあの男の子だけど、あの男の子って魔王と何か関係がある人?


私はそんな事を長々と考えていると、段々とあの遺跡が視界に入ってきた。でかい魔法陣の様な物を中心として崩れかけた建物がいくつも並び、少し寂しく、神秘的である。


「あの..貴族様...着きました。」


その場で頭を下げたまま口を開いたのはメイさんだった。私もここまで来た事はある、ただこの魔法陣様な物で何かすればいいか見当もつかない..


まぁそれはいいとしていい加減やめて欲しいものである。


「あの..メイさん。その...私の事はレーナでいいんですよ。」


そう。さっきからメイさんは私の事を貴族様と呼んでいるのである。それが平民である彼らが言うべきこのなのかもしれないけど、私もいい加減レーナと呼んで欲しいし、他の帝国貴族と一緒にされてるみたいでなんか嫌だ。


「しかし...」


これは驚いた。貴族の対応に慣れてるっぽいメイさんがその貴族である私の頼みに二つ返事で了承しないのは少し変だ。よっぽど『貴族様』という呼び方が定着してるのだろか。


「出来れば...レーナと呼んで欲しいんですけど...」

「はい!...すいません...分かりました。」


私が少し控えめに頼むと少し困った顔をしながらも了承してくれた。


「それで...レーナ..様...そこの魔法陣の真ん中に立って頂ければ...後は私達が準備しますので。」

「はい。」


メイさんは私に少し苦い顔を見せながらも私を名前で呼んでくれた。私はそんな彼女に答え、すぐさま魔法陣へと足を運んだ。


すると次の瞬間、魔法陣が強い輝きを放ち、私を包み込んできた。


これ、本当に大丈夫なの!?前見えなくなっちゃったんだけど!!


私はその強い光に不安を覚えながら只々魔法陣の中に佇んだ。


すると段々とその輝きが薄れてゆき、視界が戻っていった。ただそこは私の知るデルラジア大森林ではなく、全く見覚えのない町並みが並んでいた。野菜や肉などを並べた出店の様なものが目に入り、数ヶ月間魔物の肉や木の実しか口にしてなかった私のお腹は自然となりだした。


「あれ?そこの君!その転送魔法陣から出て来てたけど..まさかデルラジア大森林から!?」


見知らぬ兵士の格好をした男性が声をかけてきた。よくよく周りを見てみると私は小さな洞穴みたいな所にいたようだ。そも洞穴の中にさっき話かけてきた人を含め、二人の兵士が佇んでいた。

平和な町並みやそこにいる人間を見た私は子供の様に顔を歪め、泣いてしまった。正確には大泣きである。


「至急この子の衣服と宿を用意しろ。俺はギルドに報告しなければならない事がある。」


困った顔をした兵士さん達が私に近づいてくると、後ろからベインさんの声が聞こえてきた。


「ベインさん!お疲れ様です。あの..この子は...?」

「話は後だ。あとギルマスを呼び出せ。大至急だ!」

「「はい!」」


ベインさんは険しい表情を見せながら兵士さん達のそんな疑問を吹き飛ばす様にして指示し、颯爽とその場から離れていった。


少し落ち着いた私はここに来てちょっとした疑問が浮かんだ。ここはどこだ?いや、人間が住む場所だって事は分かる。私が初めて来た貴族街以外の町である。でも正確にはどこなんだ?帝都に連れてってくれるって言ってたから帝都って事?


「レーナ様、ここはヘップバーンと言う冒険者の町です。」


私が首をかしげながら疑問の表情を浮かべていると、私の心を読んだかのようにメイさんがそう言ってくれた。


あれ?ヘップバーンって私が行こうとしていた場所じゃなかった?帝都から確か片道3日だった気がするけど。


「あ!メイさん!そちらの子の衣服と宿が準備できました!」


そう言いながら駆け寄ってきたのはベインさんの指示を受けていた兵士さんであった。彼は片手に小さな袋を持ち合わせており、かなり急いでいる様子だった。


「レーナ様、それでは近くの宿に向かいましょう。申し訳ございませんが、お着替えが終わったらギルドまで来て頂けないでしょうか。そちらでギルマスに合って頂いて...その色々と書類を...」

「すいませんメイさん、色々と準備させてしまって。ギルマスでしたっけ?その方に会うのも大丈夫ですよ!」


控えめに、私の顔を伺う様にしてそう口にしたメイさんは私がそう返すと目を見開き、信じられない物でも見たかのような顔をした。


どうしたんだろう。6歳の女の子に書類を書かせようとして、予想外に二つ返事で了承してもらえたから?


「さっきから思ってたんだけど..この子本当に貴族様なのか!?」


するとアメルさんが少し顔を歪めながらメイさんに疑問の声を上げた。そんなアメルさんの声を聞いたメイさんは自分の顔を険しい物に戻し、アメルさんの脇腹を無言のまま思いっきり殴った。


「それよりもレーナ様!早く宿に向かいましょうか..!」


彼女の顔は正に無だった。その無の顔からなにか邪悪なものが漂っており、私は少し不安に思ってしまったが、アメルさんの脇腹を思いっきりつねってるメイさんが視界に入り、察した。


「はい...」


ただ私はそんなメイさんの行動を見ても不安が和らぐことはなく、子猫の様に身を低くして小さな声で答えてしまった。


それから私、メイさん、アメルさん、そして空気と化したケーニングさんは兵士さんがとってくれた宿に向かおうとヘップバーンの町を歩いていた。


この世界で初めての町はとても魅力的で、現代日本でいう出店の様な物が立ち並んだその町並みは食欲をそそった。


お腹が空いたが今は我慢だ。こんなボロボロのワンピース着てたら目立つし、早く落ち着きたい!


それから暫く歩くと、2階建ての木造の家が見えてきた。そこには看板が立てられており、家が描かれていた。


「いらっしゃい!メイさんじゃないですか!部屋の準備はもうできてますよ、上がってください!!」


その建物に入ると15歳位の少女が満面の笑みで出迎えてくれた。綺麗な茶髪をポニーテールにしたその髪は少女が一歩一歩前に進む度に大きく揺れ、それがとても愛らしかった。


その少女に連れられ、私は二階に位置する割と大きめの部屋に案内された。大きめと言っても間取りを見た感じ他の部屋と比べて、と言うだけで、屋敷にある私の部屋とは比べ物にならない位小さい。


「それではレーナ様、準備ができましたらお部屋から出て来て頂いてもよろしいでしょうか..?」

「はい!分かりました。」


メイさんは部屋に入ろうとする私を見て、あの兵士さんから貰ってた小さな袋を私に渡し、不安そうな顔を浮かべながらそう口にした。私はすぐさま笑顔を見せ、了承した。


ドアを閉め、部屋を見渡した私は、この世界に来てやっと落ち着いた部屋と言うものを目にした気がした。そこに鏡はなかったが、シングルサイズのベッドに小さな棚と言う必要最低限のものを完備したシンプルな部屋だった。前世に私がどんな部屋に住んでいたのかは覚えていないが、屋敷の部屋はどうも落ち着かなかった。

少し落ち着き、ベッドに腰掛けた私は袋の中を覗いて見ることにした。そこには小さな女の子用の衣服が入っており、私は反射的にボロボロのワンピースを脱ぎ、その服に身を包んだ。


水色のシンプルなワンピースの上にベージュのカーディガンの様な物を羽織り、清潔感のある町娘を連想させる様なその姿はとても可愛らしく、シンプルで魅力的だった。


着替え終わった私は直ぐにドアを開け、メイさんの下に戻る事にした。


「ごめんなさい、待たせちゃって..」


まるで恋人の様なセリフである。そのせいかメイさんは顔を真っ赤にしてこちらを凝視していた。6歳の同性の女の子に言われても嬉しいものなのだろうか..?

私がメイさんの顔を見つめ返していると、メイさんは慌てて表情を戻した。


「申し訳ありません!!少し..その...見惚れてしまって...とにかく!ギルマスがお待ちですので、ギルドに向かいましょうか!!」


メイさんはぼそぼそと何かを言いながら勢い良くギルドがあるであろう方向を指さながらそう言った。


私はそんなメイさんを見て少し興奮してしまった。何故なら少しメイさんの緊張がほぐれていた様な気がしたからである。私が帝国貴族だと分かってからメイさんはずっと何処かぎこちない表情をしていた。勿論私はそんな事は望んでいない。出来れば『様』もなしで話して欲しいんだが..家で働く使用人達も外してくれなかったそれは多分お願いしても無理だろう。


私はそんな事を考えながら、メイさん、アメルさんと一緒に...あとケーニングさんも一緒に宿を後にした。

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