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逆襲のアスシリス

ククラ・ローメイジ戦から数時間後、私は川でくつろいでいた。少し前、帰り際に木の実などを取ってきたのだ。お腹空いて仕方がなかった。この数か月間毎日魚というのも栄養バランスが悪いし、私は偶にこうやってロスと一緒に木の実を取ったりしていたのだ。毒とかの心配は一切ない。なぜなら私には鑑定さんが付いている。私が知らない森で過ごしていたのにも関わらず、一切食中毒にならないでいられたのは鑑定さんのおかげなのである。


私は足を川に付け、横になり、大空を眺めながら片手にはリンゴのような赤い実を手にしていた。そしてロスはというと、川の中でせっせと今日の夕飯になる魚を捕まえていた。


うーん美味い。今回はあたりかな。この赤い実美味しいんだけど偶に外れの全くジューシーじゃないのがあるんだよねぇ。


私はその赤い実を芯まで食べると、ロスの方へと駆け寄り、今夜の夕飯の確保の手伝いをすることにした。


その日の夜、私は昼の間に取った魚にかぶりつきながらある事を思い出した。進化である。最初の進化から数か月、多分積極的に魔物を狩ってたらもっと早く、多分一週間位で次の進化に行けていただろう。でも私はなるべくしたくなかったのである。もしかしたら帰る為に必要なスキルとかを手に入れるかもしれない。そう考えた事もあったが、私はそれよりも、人間離れしていくのが嫌だったのだ。この生活を始めて、どんどん私は人間から遠ざかってるような気がした。その為、私は襲ってくる魔物のみを返り討ちにして、弱そうな魔物を発見してもできるだけ見つからないようにと逃げていたのだ。

しかし、とうとうこの時が来てしまった。私のレベルは最大値に達し、進化の条件を揃えた。もう目を背けるのはやめたほうがいいのかもしれない。ここでどうにかして生きていくにも、この森を出るにしても、進化はメリットが多い...ただ人間でなくなるかもしれない、完全に。


私はいつものように塩もなにもつけていない魚を口にし、少し暗い表情を浮かべた。


お家のご飯も美味しかったなぁ。みんな元気にしてるかなぁ...


私はアルフォード家の皆の事を思い出し、進化を決意した。このままでいてもなにも変わらない...

ここから出るために、進化しかないんだ...と、思う...


「があ゛あぁぁぁあぁ!!!!」


何処か聞き覚えのある鳴き声が森に響き渡った。その鳴き声は妙に威圧的で、私に今までにない恐怖を与えた。


聞き間違えるはずがない、この鳴き声は...


どうやら私の予想は的中してしまったらしい、おぞましい鳴き声と共に、姿を現したのはアスシリスであった。私は急ぎ、そのアスシリスに意識を集中させた。


--------------------------------------

 種族:アスシリス

 状態:怒(大)

ランク:C-

  LV:52/55


  HP:222/222

  MP:263/263

攻撃力:162(+10%)

防御力:144(-5%)

魔法力:187

 速度:172(+10%)


通常スキル:

〖トリプルスラッシュ:Lv5〗〖かぎ爪:Lv6〗〖ファイアブレス:Lv5〗〖突撃:Lv5〗〖白熱:Lv6〗〖風断:Lv5〗〖裂風:Lv5〗〖暴風球:Lv6〗〖大水球:Lv5〗〖水刃:Lv6〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv5〗〖苦痛耐性:Lv5〗〖落下耐性:Lv4〗〖雷属性耐性:Lv4〗〖水属性耐性:Lv4〗〖火属性耐性:Lv4〗〖毒耐性:Lv4〗〖闇属性耐性:Lv5〗


特性スキル:

〖飛行:Lv6〗〖竜の鱗:Lv5〗


称号スキル:

〖デルラジア大森林の飛竜:Lv--〗〖元竜の母:Lv--〗〖人を食らうもの:Lv6〗

--------------------------------------


間違いない、あの時のアスシリスだ。この数ヶ月間一度も見かけてなかったのに、なんで今になって姿を現した...そんな事、今はどうでもいい、後でいくらでも考えればいいのだから。今はどうにかしてここから逃げる方法を考えないと。

くそぉ!もっと早く進化しとくんだった!!進化してたらアスシリス相手でも善戦できたかもしれないのに!!


私は打開策を必死に考えようとしたが、アスシリスはそんな時間を与えてくれるほど甘くはなかった。アスシリスはその大きな翼を使い、何やら風を巻き起こしていた。すると大きな風の刃が三つ。信じられない速さで私に迫ってきた。多分スキル〖トリプルスラッシュ〗だろう。かなり距離が離れていたので、私もロスも問題なく避けることに成功した。

しかし、そんな私達をみて、アスシリスはその大きな身体を向け、突進してきた。その速さはまるで私の〖ライトニングスピード〗のようだった。


これが速度170台の世界か...このままじゃ避けられない。


物凄い速さの〖トリプルスラッシュ〗を避けたばかりの私に〖ライトニングスピード〗並のスピードで迫ってきたアスシリスの巨体を避けられるはずもなく、私はあっけなくその攻撃を受け、そのまま吹き飛んでしまった。


「ああ゛ぁぁぁぁ!!!」


私は大声を上げ、大き目の木に身体を打ち付けてしまった。そんな私を見たアスシリスは、立ち上がる隙すら与えてくれず、次のモーションに移っていた。飛行しながら私に両前足を向け、私と同じ位の大きさの空気の玉を作り上げた。あれは多分〖暴風球〗だ。ほんの一瞬で空気の玉は出来上がり、私に襲いかかってきた。


「〖ライトニングスピード〗!!」


私はすぐに立ち上がり、襲い来る〖暴風球〗をギリギリで避けた。


なにこれ、話が全然違う!中位のドラゴンの攻撃を大幅に減少させるんじゃなかったの!?あのアスシリスの突進...やばかった。多分骨数本持ってかれたと思う。それにさっきの攻撃...食らってたらまず間違いなく動けなくなってた。最悪死んでた...


私は〖ライトニングスピード〗のまま、ロスへと駆け寄り、ここは逃げた方が良いと伝えた。ロスはそれを読み取り、ここを逃げようとしたが、アスシリスはそんなことはさせなかった。気づいたらアスシリスは私の手前にいたのだ。その距離僅か3メートル弱。


「くぁぁ!!」

「うそ...全く気付かなかった。」


アスシリスはそんな私に絶望させる暇も与えず、その大きな腕を目にもとまらぬ速さで振り上げた。次の瞬間、アスシリスはその爪先から白い炎を上げ、その腕を大きく振り下ろした。多分スキル〖白熱〗と〖かぎ爪〗を同時進行したんだろう。速すぎる...こんな攻撃、〖ライトニングスピード〗状態の今でも避けられない。

私は死を覚悟し、その場で目を瞑ってしまった。が、いつまでも経ってもその様な感覚はなかった。もしかしたら一瞬で終わったのかもしれない。もしかしたらもう死んだのかもしれない。そう考えた私であったが、ゆっくりとその目を開くとそこにはロスの姿があった。私をその愛らしい瞳で見つめていた、ロスの姿が。しかしロスは私が目を開けた事を確認するとうつ伏せに倒れてしまった。そこで私は気付いた。三つの背中の傷と、ロスが大量の血を流していたことを。


「ロス..?」


私の声は震えていた。〖竜神〗のチートスキルをもってしてもかなりのダメージを喰らったのに、そのスキルを持ってないロスは...もう助からない..?そう考えた私は目の前に立つアスシリスを無視し、ロスへと駆け寄った。


「ねぇ...ロス..逃げようって言ったじゃん..早くここから離れないと...皆にまだ紹介してないんだから..」


数か月間私の心の支えとなってくれたロスは、もう既に私の一部同然だったのかもしれない。そのロスが、背中から大量の血を流して倒れている。私はその光景を受け入れず、自然と涙を流した。


アスシリスはそんな私とロスのやり取りをただ眺めてるはずもなく、再び爪先から白い炎をだし、腕を大きく振り上げていた。それを見た私は今度こそ本気で死を覚悟した。


「ぐぉぉぉぉぉぉォぉ!!!!」


聞き覚えのない鳴き声...いや、咆哮が森に響き渡る。私はその咆哮がした方へと目を向けると、そこにはアスシリスの5倍以上の大きさの恐らく二足歩行型のドラゴンが空を舞いこちらをにらんでいた。そのドラゴンは首が長く、少しだけ頭から髪が生えていた。その鱗は赤く輝いており、その瞳は青く鋭かった。


『貴様が竜神とやらか、この程度の飛竜一瞬で叩けないとは、情けない...』


頭の中に直接言葉が響いてくる。これは〖念話〗だ間違いない。


私は呆然とその赤いドラゴンを見つめていると一瞬でそのドラゴンは消えてしまった。いや、何処かへ飛んで行ったとかではなく、文字通り消えたのだ。


「かぁァァァァァァ...」


すると、後ろからアスシリスの弱々しい鳴き声が聞こえてきた。振り返るとそこには首を綺麗に切り落とされたアスシリスの姿と、その後ろに立つ赤いドラゴンの姿があった。


【レベルが最大値に達しています。これ以上経験値を獲得することはできません。】


『我にそのドラゴンを見せてみよ...我が回復してやろう』


私の頭の中に再び同じ様な声が響き渡った。すると、そのドラゴンはその長い首を使い、ロスへと顔を近づけた。私が涙目でこの状況を呆然と眺めていると赤いドラゴンの口から大きな光が出て来てロスを包み込んだ。その光が晴れると傷が完全にふさがったロスが見えてきた。まだ眠っているようだが、生きている。私はそう思うと、再び涙を流してしまった。


『おぉぉい..泣くでないぞ...それより貴様も傷を負ってるだろう、見せてみろ』


私は少しの間涙を堪えその赤いドラゴンを見つめた。すると、再びドラゴンの口から光が出て来て今度は私を包み込んだ。その光はとても心地よく、痛みが噓のように消えていった。


「あの..助けて頂きありがとうございます..その..失礼ですが...貴方は...?」


私は恐らく念話で話しかけてるであろうこの赤いドラゴンへと話しかけた。


『我か...我は竜王ファブレー、ここへは貴様に会いに来た。」


ちょま...竜王って冗談でしょ..そんなドラゴンが私に何の用なの...


「私に会いに来たのですか?」

『あぁそうだな、竜神が誕生したのを聞いて貴様がどれ程のものかを見に来たが、そこら辺のザコモンスターと変わらないではないか...』

「すいません..私進化とか余りしてなくて、それより竜神についてなにかしって...」

『まぁ良い、このままじゃぁ心配だしな、いいものをやろう。』


私が竜神について聞き出そうとしたら、竜王さんによって話を切られてしまった。

しかし良いものか、またなんかのチートスキルとか?チートスキルはもう間に合ってると思ったけど、竜王さん目線だとまだまだってことなのかなぁ。


私が竜王さん目線で色んな事をかんがえてると、竜王さんは再びその顔を私に近づけ、さっきとはすこし違う、青い光で私を包んだ。


【称号スキル〖竜王の加護:Lv--〗を獲得しました。】


『これで大丈夫だろう。それでは我はもう行くぞ、時間が惜しいのでな。』

「ちょっとまっ...」


このチャンスを逃すわけにはいかない。竜神の事をなにか知ってそうで、その巨体なら私を乗せて近くの町までなら連れて行くことだって出来るはず。私がそう考え、声をかけようとした瞬間、竜王さんは一瞬で姿を消してしまった。振り返るとそこに遥か彼方へと飛んで行く竜王さんの姿があった。

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