デルラジア洞窟
あれから一か月位経ったであろうか...正直余り覚えていない。
私はあれからこの森から出ようと、あの川を拠点に色々と動き回った。しかし、歩いても歩いても、そこには木しかなかった。一度迷う事覚悟でめちゃくちゃ遠くまで歩いた事もあったが、その時は脱水症状で本気で死ぬかと思った。結局私はこの川を拠点にして過ごしている。私は次第に森で生きていくのも悪くないと思ってくるようになってきた、ただそれだとお父様やレイシアさんはどうなるのだろう。それに...私が生まれて初めて会った同じ種族の人、ミアさん...
また...会えるかな...
誰に会うにも、まずはここから出るしかない。
私はいつものように川に足を付け、寄ってくる魚とにらめっこしていた。
それから更に数ヶ月...
もう、どれ位経ったなんて覚えてない、ただ、私のステータスの年齢がいつの間に6になっていた。私は祝うことなく、いつの間にか6歳になっていたのだ。私は未だにここから出る方法を見つけていない。
だが、この数ヶ月間、私はただ魚を捕まえて食べていただけではない。私はいくつかヒントになるそうな物を見つけたのだ。
まず一つ目、変な古代遺跡みたいなもの見つけたのだ。川から少し離れたところに円状の魔法陣みたいなの共に、遺跡らしきものを見つけたのだ。中は暗く、余り見えなかったが、魔法陣のようなものがもう一つあるだけで他にはなにもなかった。
二つ目は月に一度位の頻度で襲ってくるレッサー・ネルウルフをはじめとする、魔物が必ず持っているものについて。〖闇属性耐性〗だ。最初は余り気にならなかったが、私が接触した魔物一匹残らずこの耐性を所有していたのだ。
最後に、川に沿って歩いた所にある洞窟について。私が恐る恐るその洞窟に近づくと、そこから嫌なオーラを感じとった。私が身構えていると、何故か私も〖闇属性耐性〗を獲得してしまった。何だかここの魔物の仲間入りしたみたいで嫌だったが、ここにいる魔物は皆、ここから漂う闇属性ななにかに苦しめられ、耐性が付いたついたということが分かった。
あと変わった事と言えば、私とロスの普通のレベルとスキルレベルがかなり上がったこと位か。
それ以外はいつものように魚を捕まえて食べている。
一応自分とロスのステータスだけ、確認しておこうか。なにかあるかもしれないし、自分の力量を把握しておく必要がある。
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名前:『レーナ・ヴォン・アルフォード』
種族:ドラゴニュート・ヒューム
状態:通常
年齢:6
ランク:E
LV:19/22
HP:51/51
MP:59/59
攻撃力:49
防御力:38(+10)
魔法力:56
速度:49
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ぶっ壊れである。
これはEランクにしては少し強すぎるステータスなのである。馬車の旅をしている間、少しだけ魔物に襲われたことがあったが、騎士団の人たちはDランクモンスターを単体で軽々と撃退していた。それに近しいステータスを持ち合わせている私は、最低でもDランク下位のステータスを持ち合わせてることになる。
続いて、私はロスへ意識を集中させた。
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名前:『ロス』
種族:スカイ・ベビードラゴン
状態:通常
ランク:E-
LV:14/15
HP:43/43
MP:38/38
攻撃力:45
防御力:47
魔法力:36
速度:38
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私もだけど、ロスは特に進化が近い。適当な魔物を捕まえて進化するのもいいかもしれない。だが、今日の目的は他にある。あの洞窟の調査である。もしかしたらこの森から出るための何かがあるかもしれないし。
この前は怖くて直ぐに逃げ出しちゃったけど、今回はあの洞窟自体を〖鑑定〗し、中に入って調べつくす!
私はロスと目を合わせ、洞窟へ行くことを示したら、ロスは嫌そうな顔をして渋々頷き、私と洞窟方面へと歩き始めた。数時間歩いた所で邪悪な何かが漂って来るのを感じ、私とロスは戦闘態勢を取り始め、ゆっくりと歩き始めた。少し歩いた所で洞窟と見覚えのある紫がかった青い毛皮を持つ、大きな狼が見えてきた。ネルウルフだ。しかし、いつものとは少し様子が違った、牙も体も大きかった。それになにやら私たちには気付いてない、洞窟に向かってなにやら威嚇しているようだった。
私はロスを残し、そのネルウルフへとそっと近づいた。洞窟の一番近くにある木の裏に隠れ、私はネルウルフへと〖ステータス閲覧〗を使用した。その距離僅か4メートル。
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種族:ポイゾン・ネルウルフ
状態:通常
ランク:E+
LV:18/20
HP:49/49
MP:27/32
攻撃力:43
防御力:39
魔法力:38
速度:42
通常スキル:
〖スラッシュ:Lv4〗〖かぎ爪:Lv4〗〖突撃:Lv3〗〖毒牙:Lv4〗〖ハイスピード:Lv3〗〖咆哮:Lv2〗〖ポイズンブレス:Lv3〗〖毒霧:Lv2〗
耐性スキル:
〖物理耐性:Lv4〗〖闇属性耐性:Lv2〗【火属性耐性:Lv2〗〖毒耐性:Lv4〗
特性スキル:
称号スキル:
〖デルラジア大森林の魔物:Lv--〗〖毒の牙:Lv--〗
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うわぁ...
ポイゾン・ネルウルフかぁ。基本的なステータスは問題なさそうだけど、スキルがかなり厄介そうだなぁ。私、〖毒耐性〗持ってないし。でもまぁここまで来て簡単に引き返せないでしょ!
「ロス!降りてきて!!」
私は大声でロスへと声をかける。ロスはそのことに気づき、全速力で私の方に走ってくるが、それはあのポイゾン・ネルウルフも同じであった。
私はネルウルフへと目を向け、立ち上がり、右手の指を迫ってくるネルウルフへと向けた。
「〖雷撃〗!!」
私がそう叫ぶと、指の先端から蒼い雷撃が一直線にネルウルフへと凄い速さで迫っていく。勢い良く私に飛びかかろうとしていたネルウルフがそんな速さの雷撃を避けられるはずもなく、あっけなく直撃を食らってしまった。その雷撃はネルウルフの動きを止め、全身へと広がっていった。ネルウルフは少しふらついたが、直ぐに立て直した。
しかし、そんな時間をこちら側が無駄にするはずもなく、ロスが私を追い越し、ネルウルフへと距離を詰めているところであった。ロスは全速力でネルウルフへと飛びかかり、その腕を大きく上げ、直ぐに振り下ろした。〖スラッシュ〗である。この距離なら直撃は避けられない。いまの連続攻撃でかなりのダメージになったはずだ。
しかし、予想外なことにネルウルフはその牙を立てて自分から〖スラッシュ〗を食らい、ロスへと迫っていた。
「ロス!直ぐに引いて!」
「くるぅぅぅ!!」
私は直ぐにロスへと声をかけ、引くようにと言った。あれは多分〖毒牙〗だ。スキルレベルもそれなりに高かったし、あれは食らったらいけないやつだ。
私は手のひらをロスへと迫るネルウルフへと向けた。
「〖風弾〗!!!」
私の手のひらに風の弾が生成され、直ぐにネルウルフの顔面へと襲いかかった。
直撃した。少しスピードを落とすことには成功したが、完全に動きを止めることはかなわなかった。しかし、ロスがその状況から脱出するには十分すぎる時間稼ぎとなった。
ロスは一度ネルウルフから距離を取り、ネルウルフが私に気を取られてることを確認すると、後ろから大口を開け、〖ベビーブレス〗を発動させた。それに気づいたネルウルフは、余裕を持ってその攻撃をよけた。しかし、その隙を私は見逃さなかった。私は再び手のひらを宙を舞うネルウルフへと向けた。
「〖風弾〗!!三連発!!!」
私の手のひらに次々と風の弾が生成され、勢い良く無防備な状態のネルウルフへと襲いかかった。
3発とも直撃した。しかし、そんな状態のネルウルフはどうにかして空中で態勢を整え、前足を大きく振り上げていた。このモーションは〖スラッシュ〗である。だがこの距離なら簡単によけることができる。そんなに焦ることではない。しかし、ネルウルフは信じられない速さでその前足を振り下ろし、〖スラッシュ〗もそれと同じく、信じられない速さで私に迫ってくる。
しまった。もしかして、〖ハイスピード〗でブーストをかけたの?油断した...仕方ない、この後も調査が残ってるからMPはできるだけ残しておきたかったけど、最終手段その1。
「〖ライトニングスピード〗!」
私はそう叫ぶと、〖ハイスピード〗でブーストをかけられた〖スラッシュ〗よりも遥かに早い速さでその攻撃をよけた。
「全く...凄いチートスキルだよ..」
私がそう口にしてる間にネルウルフは地面に立ち、態勢を整えていた。次の瞬間、ネルウルフは間合いからだいぶ離れてるにも関わらず、その大口を開け、何かを始めようとした。
「ロス!様子がおかしい。戻ってきて!!」
「くるるぅぅ!!」
これは〖咆哮〗か?いや、このタイミングで使ってもメリットがない。だとすると、〖毒霧〗か〖ポイゾンブレス〗の可能性が高い。どっちだ...どっちにしろ毒攻撃は食らうわけにはいかない。
そうこうしてるとロスが私の隣へと戻ってきた。ネルウルフはこの瞬間を待っていたかのようにその口から紫色の煙を勢い良く私たちのほうへ噴き出した。
「残念だったわね..!そこら辺の魔物ならこれでやられていたでしょうけど、私には最終手段その2があるのよ!!」
私は襲いかかってくる毒ブレスを眺め、笑みを浮かべた。
「〖風操作〗!!!」
半径2メートル圏内に入った毒霧は勢い良く左側にそれていき、少し経つと段々と晴れてきた。しかし、そこには全速力で洞窟の中に逃げていくネルウルフの姿があった。
残念ね、でも私たちも洞窟の中に入るんだし、その時倒せばいいか。
【経験値9を獲得ましました。】
【スキル〖竜神:Lv1〗により、更に経験値9を獲得ました。】
え?
これ、さっきのポイゾン・ネルウルフが死んだってことだよね...
でもそれはおかしい、持続的にダメージを与えるような攻撃はしてないはず、可能性があるとしたら自分の毒霧にやられたとか...いや、それこそ有り得ない。じゃぁ第三者の手によってやられた...
『外が騒がしいと思ったら、人間の子供と犬との戯れでしたか。』
10歳にも満たないような女の子の声が直接私の頭の中に響いた。
この感じ。間違いない、〖念話〗だ。
「女の子?何処にいるんですか!姿を現してください!!」
私は声を荒げ、その念話に答えた。
もしこの〖念話〗が人間からのメッセージなら嬉しい、多分ここから脱出出来る。ただ、〖念話〗を使う魔物だった場合、それは上位か知性の高い魔物しかいない。最終手段を二つも使い、お世辞にも万全の状態といえない今、そんな魔物と戦えるかというと、かなりキツイ。




