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レッサー・ネルウルフ戦

その低いうめき声は少しずつ、確実に私の方に近づいてきた。私はその威圧をもろに受け、その場から逃げ出すこともできず、動くことすらできなかった。その緊張感がしばらく続き、魔物は等々その姿を現した。その魔物は狼のような姿をしており、高さは私とほぼ同じであったが、全長は私の身長の倍位あった。紫がかった青の毛皮をしており、その大きな口から牙をだし、涎を垂らしていた。そしてその後ろから姿を現したのは、もう一匹の同じ様な狼の姿をした魔物であった。


だが、不思議と私は動揺しなかった。私はその狼を敵として見ていなかったからである。私はそれを歩く肉、としてしか見ていなかったのだ。それも無理はない、昨日の昼からなにも口にしてない、お腹が空いていた。


「ねぇ、ロス。お腹すかない?お肉が歩いてきたよ...」

「くわぁ!」


私は完全に壊れていた。そしてロスもわけもわからず、そんな私の言葉に返事を返してしまった。


私は左足と右手を前に出し、戦闘態勢に入った。というのも、さっき思いついた戦闘態勢である。後ろにある右足に魔力を込めれば〖ライトニングスピード〗を簡単に使い、突撃することもできるし、前にだした右手に魔力を込めれば、簡単な魔法スキルを使う事もできる。名付けて『魔法少女レーナの戦闘スタイル』である。そのままである。


最初に行動を起こしたのは私、まぁ〖ステータス閲覧〗を使っただけで、実際に動いたり攻撃スキルを使ったりしてないのだが。だが、〖ステータス閲覧〗は大事である。相手の力量を把握するのは戦場では生死を分ける、たとえそれが歩く肉だったとしても...


--------------------------------------

 種族:レッサー・ネルウルフ

 状態:空腹

ランク:E-

  LV:2/12


  HP:21/21

  MP:11/11

攻撃力:14(-1%)

防御力:11(-1%)

魔法力:9

 速度:14(-1%)


通常スキル:

〖スラッシュ:Lv2〗〖かぎ爪:Lv2〗〖突撃:Lv3〗〖嚙みつく:Lv2〗〖スピード:Lv1〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv2〗〖闇属性耐性:Lv1〗【火属性耐性:Lv1〗


特性スキル:


称号スキル:

〖デルラジア大森林の魔物:Lv--〗

--------------------------------------


この肉...中々だなぁ。Eランク下位の低レベル体か。まぁどう見ても竜種ではないよな。攻撃は普通に食らうってことだよね、赤ちゃんアスシリスの時みたいにうまくは行かないってことか。でも目立ったスキルもなさそうだし、ステータスもほとんどが私より下だし、本物の肉になるのも時間の問題かな。


私はもう一匹のステータスが前のとあんまし変わらないのを確認し、戦闘に意識を集中させた。


最初に動いたのは前にいたネルウルフであった。一匹が私に突進して来ているのにも関わらず、後ろにいたもう一匹がそのまま動かないのには少し驚いたが、私は右に、ロスは左側に余裕を持って避けた。


ロスには少しキツイかもしれないが、私は速度を始めとしたステータスでネルウルフに勝っている。だから勝った..というわけではないが、この程度の突進、避けるのは容易い。カウンターを食らわせても良かったが、後ろにいるもう一匹がどう動くかわからない今、下手に動くのはやめておいた方がいいと考えたのだ。


私は突進して来たネルウルフから距離を取り、再び右手を前にかざした。


「〖風弾〗!!」


私の手のひらに半径2センチ程度の空気の弾が生成され、突進したばかりで動きが止まっていたネルウルフへとかなりの速さで襲いかかった。


「くぁぁあ!」


直撃であった。

ネルウルフは情けない子犬のような鳴き声を上げ、少しふらついた後、私を睨んできた。私が攻撃したネルウルフに集中してると、離れたところにいたはずのもう一匹がいつの間にか距離を詰めていた。

そのもう一匹は前足を大きく振り上げ、私に向かって爪を立てて降り下ろした。まだ距離もあるのに何をしてるのかと思ったが、爪先から風の刃のような物が迫ってくるのが見えた。たぶん〖スラッシュ〗だろう。

私がそのスラッシュに気を取られていると、目の前にいたネルウルフは爪を立てて距離を詰めていた。前足を振り上げ、私に襲いかかってきた。しかし、そんなネルウルフの無防備な腹にロスが頭を打ち付けてるのが見えた。多分ロスのスキル〖突撃〗だろう。

ロスの〖突撃〗を食らったネルウルフはバランスを崩し、地面に体を打ち付けていた。私は急いで〖スラッシュ〗を放ったネルウルフへと意識を戻し、右手を薄く平たく後ろに構えた。


「〖スラッシュ〗!!!」


私は右手を勢い良く斜め上に上げ、〖スラッシュ〗と叫んだ。そう、〖スラッシュ〗を使ったのである。腕で...スラッシュとは人間が使うには剣を、魔物などが使う時は爪を立てて使用するスキルだ。決して腕を活用して使うようなスキルではない。しかし、そんな感じで放った〖スラッシュ〗はネルウルフの放った〖スラッシュ〗を打ち消すのには十分であった。レベルで言えばネルウルフの〖スラッシュ〗の方が優れているが、今回は腕を活用し、力強さをイメージしたため、薄さと鋭さをイメージしたネルウルフの〖スラッシュ〗を容易に打ち消すことができたのだ。


〖スラッシュ〗を放ったネルウルフへと目を向けると、ネルウルフは悔しそうな顔をしており、低いうめき声を上げていた。続いて、私は左側にいたロスとネルウルフへと目を向けた。そこにはバランスを崩し、地面に体を打ち付けていたはずのネルウルフが、ロスと睨み合いをしているのが見えた。

これは不味い、体格差もそうだけど、純粋なステータスでロスはネルウルフに負けている。一対一の戦いになればロスはほぼ確実に負ける。

私はすぐさまロスを睨み付けてたネルウルフに距離を詰め始めた。


「〖空気槍〗!!!」


私がそう叫ぶと、右手にその名の通りな空気の槍が生成された。その槍は私の身長とほぼ同じ長さで、投げるのにも使えそうだ。しかし私はそのままネルウルフへと距離を詰め、その槍を突き刺そうとした。しかし、そんな私の攻撃はあっさりと避けられ、距離を取られてしまった。だが問題ない、私の目的はネルウルフをロスから離れさせる事だったからである。


私は直ぐに〖スラッシュ〗を放ったネルウルフに目を戻すと、そのネルウルフは今度は両前足を大きく振り上げ、再び〖スラッシュ〗を放つ所であった。私は身体をそのネルウルフへと向け、槍を持ったまま『魔法少女レーナの戦闘スタイル』を行使した。


「〖ライトニングスピード〗!!!」


私の右足から蒼い雷が走り、私はあのアスリートレベルの速さのおよそ5倍の速さで〖スラッシュ〗を放とうとしてるネルウルフへと距離を詰めた。〖ライトニングスピード〗は〖風操作〗と同じで、持続的にかなりの量のMPを消費する。燃費は悪いが、〖風操作〗と同じでかなり使える、なぜならそれはもう人間の速さではなかったのだから。


私は前足を大きく振り上げてたネルウルフの手前で〖空気槍〗を振りかぶり、ネルウルフより遥かに早くその槍を無防備なネルウルフの腹に突き刺した。私はネルウルフに声も上げる時間も与えず、開いていた左手で拳を作り、そのままネルウルフの腹を殴りつけた。


「これで終わりよ!〖電熱〗!!!」


私の拳から蒼い電撃が走り、高熱を発生させた。ネルウルフの毛が燃え出し、皮膚が赤く燃え、血肉が削られていくのが感覚でわかる。ネルウルフはそのまま遥か彼方へと吹き飛び、動かなくなってしまった。だが、経験値取得のメッセージは来ない、つまりまだ息があるということだ。


うそでしょ、今のでかなりMPを使った。多分もう半分も残ってない。まだもう一匹残ってるっていうのに、まだ生きてるなんて...


「くぅぅぁぁ!!」


後ろからロスの鳴き声がする。私は急いで振り返ると、かなり距離が離れていたはずのネルウルフがロスへと近づき、突進してるのが見えた。ロスはその攻撃をまたもに受け、倒れ込んでしまった。私は〖ライトニングスピード〗を解除し、吹き飛ばしたネルウルフのとどめを刺すのを諦め、急いでロスへと駆け寄った。私は倒れ込むロスに近づくネルウルフへと手を向けた。


「〖風切〗!!」


私の手のひらに小さな〖スラッシュ〗のようなものが生成され、勢い良くネルウルフへと襲いかかった。ネルウルフは完全にロスに気を取られてたようで、攻撃をもろに受け、その体に大きな傷跡を残した。どうやら〖風切〗は〖スラッシュ〗の速攻版のようだ、速さ、大きさ、威力と劣るけれど、その生成スピードは〖スラッシュ〗を凌駕する。


大きな傷を負ったネルウルフは私の事に気付き、距離をとった。そのすきに私はロスへと駆け寄り、状態を見ることにした。MPを消費するので〖ステータス閲覧〗は使えないが、体の傷を確かめてやったりした。どうやら目立った傷はないようだった。ただ息を荒くしており、立つのは難しそうだった。


「ロス、ここでじっとしておいて、直ぐに終わらせるから。」

「くぅぅ...」


私がロスに声をかけると、ロスは弱弱しい鳴き声を上げた。私は立ち上がり、右手をネルウルフの方へと向けながら、距離を詰めだした。


「〖風弾〗!」


私がそう叫ぶと、手のひらに半径2センチ程の風の弾が生成された。その弾は勢い良くネルウルフへと襲いかかっていった。しかし、何故かそのネルウルフは笑っていた。その笑みを見た私はこの攻撃は簡単に避けられてしまうだろう、と考えたが、簡単にその〖風弾〗はネルウルフの傷口に襲いかかり、ネルウルフはバランスを崩し、少しよろめいてしまった。


じゃぁさっきの笑みは何だったの?気のせいかな...


「くぁぁぁぁぁ!!!」


私がそんな事を考えていると、後ろからロスの鳴き声が聞こえてきた。私は急いで振り返ろうとすると、右肩に強烈な痛みを感じた。後ろを確認すると、そこには吹き飛ばしたはずのネルウルフが腹から血を流しならが、私の肩にその大きな口で嚙みついていた。私を睨めつけ、笑みを浮かべながら。


「ああ゛ぁぁぁぁあ゛ぁぁ!!!」


私はつい大声を上げてしまった。私が左手をネルウルフの顔面へと向けると、ネルウルフは私の肩からはなれ、距離をとった。私はそのまま激痛に耐えられず、膝を地面につけてしまった。私は嚙みついてきたネルウルフを睨み付け、威嚇した。


くそ!油断した!!

もっと周りをよく見とくんだった!!

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