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アスシリスの巣

私はどうすればいいのだ...

マーカスさんたちを見殺しにして、自分だけ逃げていいのだろうか。私には〖ステータス閲覧〗というチートスキルや、謎スキルもある。でも...それが何になると言うの...

私にあの飛竜と戦うだけのステータスも、戦闘用のスキルもない。


戦闘に混じった所で足手まといになるのは目に見えている、そしてそれはマリンさんも同じ...


「レーナ様、ここは騎士団の方々に任せて、早く逃げましょう!」


マリンさんは戸惑う私を見てそう叫んだ。

当たり前である。戦場での微かな戸惑いや判断ミスは命に関わる。私もそれはわかってはいるけど...


私は迷いを打ち払って全力で飛竜の逆方面へと走り出した。もう振り返らない...そう誓った直後のことだった。


「隊長ーー!!」

「逃げ...ろ..」


私が耳にしたのは騎士団員の中の一人の叫び声と、マーカスさんの弱々しい声であった。

私は思わず振り返ってしまった。


そこで目にしたのは身体の大部分をえぐり取られたマーカスさんの体と、泣きじゃくり、戸惑う騎士団員の姿であった。


「グあ゛ぁぁぁぁああぁ!!!」


再び飛竜の鳴き声が響き渡る。


私はその場でうずくまり、動けなくなってしまっていた。腰を抜かしてしまったのだ。

涙目で私が飛竜とマーカスさんを眺めていると、マリンさんは私の体を掴み、肩にかけ、全速力で走り出した。


「申し訳ありませんレーナ様、緊急事態故、ご無礼をお許しください。」

「えっ...」


私はただただ混乱していた。

マリンさんのそんな言葉にも、何も反応できなかった。私はあろうことか、目をつむってしまった。戦場で、しかもお父様の騎士団を見殺しにしているというこの状況で...

5歳児の体で仕方ないのかもしれないが、現代日本からきた私にとって、それは許されないことであった。


それから数秒経ち、騎士の掛け声や悲鳴などが聞こえなくなり、逆に飛竜:アスシリスの鳴き声は益々大きくなっていた。


「ぐあ゛ぁぁあぁぁ!!!」


その鳴き声は異常なほど威圧的で何だか段々と近づいてくるような気がした。


これ、もしかしてスキル〖咆哮〗じゃないか?

もしそうだったたら不味い、マリンさんも威圧を受けているはずだし、私を抱えて走るなんてもう限界なはず。


私は目を開き、飛竜のいた方へとめをやった。

そこには飛竜の姿がなかった。ただあったのは、血と微かな肉片。


飛竜はもういない...?

そんなはずはない。だってさっきまで鳴き声が...


「ぐぁ゛あぁぁぁあぁぁ」


大空から飛竜の鳴き声が響き渡った。私は慌てて空の方へと目を向けた。

そこには空に浮き、私とマリンさんを凝視している飛竜の姿があった。


「マリンさん!もう大丈夫です、下ろしてください。」


もうマリンさんも限界が近いだろう、いつまでも乗っかってたらマリンさんがやられちゃう。


マリンさんもそれは自分でもわかっていたのであろう。無言で頷き了承してくれた。


私は直ぐにマリンさんの肩から飛び降り、地面へ着地した。その直後、飛竜のおぞましい鳴き声と共に、飛竜が急降下してくるのが見えた。


「レーナ様、先にお逃げくだ...」


マリンさんは立ち止まり、私をかばおうと飛竜の前にでた瞬間、飛竜のおぞましい爪で彼女の身体が四つに裂けるのが見えてしまった。


「つっっ...」


私は言葉を失い、動けなくなってしまった。


ただそんな私を見ても飛竜は待ってはくれなかった。大口を開けて私に迫ってくる。もう逃げられない。

飛竜は私にどんどん近づき、ついには私を口の中へ含んだ。


あ...死んだ...


私はそう思った。そう、思うしかなかった。私は生きたまま消化される、そう、覚悟したのであった。


それから少し経った...現在。


私は何故か生きていた、臭い飛竜の口の中で。そこで私が目にしたのは数々の人間のものと思われる肉片と、アルフォード騎士団の剣や防具であった。そのほとんどの物が欠けており、ダメになっているが、ただ一本だけ、無傷なものがあった。

ただ私はそんな剣を目にしても手に取ろうとは思わなかった、変に動いて飛竜の喉を通ってしまったら終わりだし、そもそも飛竜を刺激したらどうなるかわからない。


外ではどうなっているのかわからないけど、今は生かされてる...何故...


私は何故見覚えのない飛竜にわざわざ生かされてるのかを必死に考えた。


そう言えばこのアスシリス、称号スキル〖竜の母〗持ちだったな。名前からして子供がいるんじゃないのかな、だったら私はその子供の餌。なら何故殺してから運ばない?暴れる可能性だってあるし、殺してからの方が絶対効率がいい。それとも私の謎スキルに何か関係が...


そう考えていると、アスシリスの大口が開けられ、そこに夕日が差し込んだ。

アスシリスはその大口の下に向け、私を下に落とそうとした。

5メートル程下には5匹のドラゴンの赤ちゃんらしき生命体が甲高い鳴き声を上げながら、私を見つめていた...


私はされるがままに剣や鎧、肉片と共に、その飛竜の巣へを落ちていく。


「ちょっと待っ...」


ヤバイ、これは流石に死ぬ。飛竜の口の中に何時間もいて体力的にも限界が来てるのに、こんな高い所から落ちて、更にドラゴンの赤ちゃん数匹が相手だなんて...


私は必死で抵抗したが、無理であった。私はそのまま身体を巣へと打ち付け、動けなくなってしまった。


【耐性スキル〖落下耐性:Lv1〗を獲得しました。】


頭の中にあの謎声が響き渡った。ただ私にとってそんなことはどうでもいい、もう死ぬのだから。


気付くとそこには飛竜の姿はなかった。ただその代わり、ドラゴンの赤ちゃんが私によって来ていた。

その内の一匹が私の右腕に被りつくのが見えた。もう、何も感じなかった。次に太もも、腹、左腕と次々とドラゴンの赤ちゃんにかみつかれていった。痛みすら感じない、意識はまだあるが、もう死んだのかもしれない。


そう考えた私であったが少し変であった。意識がはっきりしすぎていることと、いつまでたっても私の腕をかみちぎれないでいるドラゴンの赤ちゃんの姿が目に入り、私は必死に立ち上がろうと努力した。


ほとんど体力がない私にとって今立ち上がるのは流石に無理であったが身体が動くのを感じた。


このドラゴンの赤ちゃん、私より全然弱い!これならまだ生き残れるかもしれない。

そう言えばあの剣どうなったんだろう。あれがあれば私でもどうにか倒せるかもしれない。


私は辺りを見渡し、お目当ての剣を案外近くに見つけ、私の右腕にかぶりついてるドラゴンの赤ちゃんへと意識を集中させた。


--------------------------------------

 種族:レッサー・ベビー・アスシリス

 状態:空腹(小)

ランク:F+

  LV:4/10


  HP:16/19

  MP:6/6

攻撃力:16(-0.5%)

防御力:9(-0.5%)

魔法力:17

 速度:12(-0.5%)


通常スキル:

〖マイナースラッシュ:Lv1〗〖かぎ爪:Lv1〗〖ベビーブレス:Lv2〗〖突撃:Lv2〗〖嚙みつく:Lv2〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv1〗〖毒耐性:Lv2〗〖闇属性耐性:Lv2〗


特性スキル:


称号スキル:

〖人を食らうもの:Lv1〗

--------------------------------------


こいつら全然強いやん...


騎士団の人たちやミアさんに比べたらまだ弱いけど、私にとっては十分強敵、一対一で勝てるかどうかなんだけど、じゃぁ何で私は死んでないんだ?

私の倍位のステータスの持ちの『レッサー・ベビー・アスシリス』が5体、私の身体にかぶりついているのに何故私の意識はここまではっきりとしている?


もしかしてあの謎スキルと何か関係が...


『へぇー、やっぱし竜神ちゃんはすごいね。僕も驚いちゃったよ。」


聞き覚えのある男の子の声、いや、今回は少し違っていた、もう少し大人びた男性の声になっている。

だが、これだけは確かである、この声は私が『謎の男の子の声』とか呼んでいた声のことである。


あなた、なにか知って...


私は〖念話〗を使い、心の中でその男の子に質問しようとしたが、念じ終わる前に男の子にしゃべられてしまった。


『もう少しでそっちに行けそうだからね、少し挨拶に来ただけだよ。じゃぁ頑張ってねぇ。』


そこで男の子の声は完全に途切れた。


あの男の子は一体...まぁそんな事は今はどうでもいい、今はあの近くにある剣を取ってどうにかここを逃げないと。


私はできるだけ嚙みついていた赤ちゃんアスシリスを振り払い、巣に舞いつくばって、ほぼ匍匐前進で剣へと向かっていた。


やっとの思いで右手で剣を手にした私は、その瞬間妙に力が湧いてくるような感じがした。


これが剣がもたらすバフというやつか。服とかの防護力を高めるやつは着たことあったけど、攻撃力高める系のバフは始めてだ。


それに異様に軽く感じる、普通の剣だったとしても5歳児の身体からしたら大剣だ。そんなもの私に振り回せるはずがない...のだが、なんだかできそうな気がした。


私はその剣を強く握りしめ、上体を起こし、とびかかってくる赤ちゃんアスシリスへと突き刺した。

かすった。

大したダメージになっているかは分からないが、出血はしている、足止め程度にはなるはずだ。

私はそのまま立ち上がり、体制を整えた。


私が突き刺した赤ちゃんアスシリスがうずくまっているのを見た他の赤ちゃんアスシリスたちは激怒し、全員でとびかかってきた。


私はそれと同時に剣を振り上げ、一番手前にいた赤ちゃんアスシリスへと振り下ろした。

直撃である。

剣先がぶれて、あまり深い傷は負わせていないが、頭部から大量の血を流し、そのまま倒れてしまった。


あれ、死んだのか?いや、少し痙攣してる、まだ微妙に生きてる!


今すぐとどめを刺してやりたいけど、私にそんな余裕はない。更に激怒した赤ちゃんアスシリスたちが私にとびかかってるところであった。


私はすぐさま振り下ろした剣をそのまま赤ちゃんアスシリスの方へと振り上げ、胴体を深く、切り込んでやった。

ただその間に他のベビーアスシリス2体が私の足に嚙みつく。

痛みや脱力感は全然感じないが、少し動きずらい。


【経験値3を獲得ましました。】

【スキル〖竜神:Lv1〗により、更に経験値3を獲得ました。】


あの謎声だ...

なに?経験値だって?

ステータスとかあるからゲームみたいな世界だなぁとは思ってたけど、もう本当にゲーム世界じゃんこれ。

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