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レーナ・ヴォン・アルフォード

気づいたら、そこは何もない真っ暗な世界だった。

「ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ふと、赤ん坊の泣き声のようなものが聞こえてきた。

腕や足の感覚はあるが、力をいくら入れても動いてはくれない。


なに..この赤ちゃんの泣き声とか。金縛り?オバケとか本気で無理なんだけど!!


私はこの暗闇の中で動けずにいることに、かなりの不安を覚えた。それも無理はない、人は現状を把握できないでいること、つまり視界が閉ざされているとかなり不安になる。しかし今回のは少し変だった、不安?そんな甘っちょろいものではない。現状を把握出来ていないから怖い?違う、もっとこう威圧的で、何か圧倒的な物に支配されてるような、そんなか気がしたのだ。


【耐性スキル〖恐怖耐性:LV1〗を獲得しました。】


ふと、頭の中に淡々とした、低い女性の声が響いた。その声は不思議と眼鏡をかけたスーツ姿のナイスボディな20代後半の女性を連想させた。しかし、既に恐怖のどん底に落ちていた私をパニック状態にするのには突然の女性の声は十分過ぎる要素だったらしく、私はパニックになってしまった。


何この声!?今私の頭の中に直接響いて来なかった?お化け!?お化けなの!?〖恐怖耐性〗って何よ!


私が自分の思考の中だけでパニックになっていると、不思議とその症状も治まっていき、恐怖が段々と薄れていくのが分かった。


「*&$%!@#&!*!#@!!」


右の方から女性らしい可憐な声で聞いたことがない国の言葉が聞こえてきた。


私がどうにかしてその女性に助けを求めようと、目を開け、身体を動かそうとするが、無理だった。全く学習してない私であった。その直後、私は肩に何かを押し当てられてるような感覚に襲われた。それは大きな人の手に似ている、人の体温でかなり温かいが、肌がこすれて痛い。


ちょっと待って...私、全裸じゃないの..しかもこの大きな手..私、どっかの巨人族に誘拐された!?


「ゴホッ、ゴホッ、*!*^#@%*!*#。」


さっきとは少し違う、美しく、どこか弱弱しい声が前とは逆方向から聞こえた。少し咳き込むような音も聞こえ、私は余裕を持ったのか、それとも自分の状況を理解してない馬鹿になったのか、その女性のことが少し心配になった。


ふと、今更ではあるが気づいた事があった。

ここ、何処...

いや、そんな事は前から考えていた。ここは何処なのか、私はどうやってここへ来たのか。答えは見つからなかったが、私はもっと大変なことに気づいたのだ。そう、私がいったい誰なのか、である。私は今まで起きていた金縛り(?)や、巨人族に誘拐されてしまった件について真剣に考えていたが、そもそも私は何が目的でそのことを考えていた?ここから出ること?そうだったとしても何処に帰る?私は一体何者?

ただ現状、確実に分かっていることは私が立花麗奈だってこと。

私が日本人であること。

一般常識や簡単な歴史、大統領の名前、最近読んだラノベの内容などは覚えている。しかし、そのラノベを何処で読んだのか、私の職業は何なのか、そもそも私は社会人だったのか、学生だったのかさえ分からない。覚えていない。


「ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


子猫のような可愛らしい赤ん坊の鳴き声がかなり近くから聞こえてきた。しかし、今の私にそんな愛らしい声は届かない、何故なら自分を覚えていないのだから。こんなに怖い事はあっただろうか、私が実際に覚えている経験、つまり金縛り(?)や巨人族に誘拐されてしまった件の恐怖を遥かに凌駕した。

私は『記憶喪失女』や『記憶喪失男』などの小説を読んだ事を覚えている。無論、内容のみだが。そこには恐怖のどん底に落とされながらも必死に社会復帰しようとする男女の姿が描かれていた。私はそれを読んで『家の鍵の場所覚えてないのは大変だよね』位のことしか考えていなかった。しかし、実際に体験してみるとかなり怖いものである、記憶喪失というものは。何も覚えてない、即ち誰も信用できない状態に陥るのだ、勿論自分も含めて。


私は一体...誰...?


【スキル〖ステータス閲覧:LV1〛を使用しますか?】


私は恐怖し、心の中で涙を流していると、再び前と同じ謎の声がまた頭に響いた。私はナイスボディな眼鏡っ子を連想し、少し落ち着くことができたが、少し不気味に思い、スルーすることにした。


【スキル〖ステータス閲覧:Lv1〗を使用しますか!?】


なんか怒ってない!?この謎声?私が無視したから怒ったの?それともナイスボディな眼鏡っ子を連想したから怒ってるの!?


私はもう絶対この声を聴いてもナイスボディな眼鏡っ子を連想しない!と心に決め、ご立腹の様子であったこの声の問いに心の中で頷いた。


--------------------------------------

名前:『レーナ・ヴォン・アルフォード』


 種族:ゼタ・ヒューム

 状態:不安(小)

ランク:F-

  LV:1/10

 

  HP:8/8

  MP:1/1

攻撃力:7

防御力:6

魔法力:3

 速度:3


 装備:


ーースキル:

〖竜神:Lv1〗


通常スキル:


耐性スキル:

〖恐怖耐性:Lv1〗


特性スキル:

〖鑑定:Lv1〗〖ステータス閲覧:Lv1〗


称号スキル:

〖神の卵Lv--〗〖剣聖の娘:Lv--〗

--------------------------------------


頭の中に膨大な量の情報が流れてくる。それはまるで、RPGゲームでよく見かけるステータスとよく似ていた。私はこの信じられない状況に飲み込まれ、思考停止させてしまった。


「*@#@*#レーナ@^##*!」


今度は弱弱しい女性のすぐそばから、嬉しそうな男性の声が聞こえてきた。私はその声で我に返り、状況の整理を始めようとした、すると、再び謎の声が私の頭の中に響いた。


【通常スキル〖カタルシス語:Lv1〗を獲得しました。】


うん...なに、これ...意味わかんない。これ、夢なんじゃないの?でも妙に現実味がある。手、動かせないから頬つねって確認できないけど、夢..ではないのか?


私が今度こそ真剣に現状の確認を始めると、私はさっきの男性が口にしていた言葉を思い出した。


確証はないけど、さっきの人、確かレーナって言ってた気がする。『レーナ』は確か、私がステータス(仮)を確認した時に出てきた名前。もしあのステータスが私を示していて、あの男性が『レーナ』と口にしていたなら、私を呼んでいたってこと?いや違う、私は立花麗奈。似てるけど違う。


「@$@*$@$@レーナ!」


再び嬉しそうな男性の声が、今度はかなりの至近距離で聞こえてきた。


今回はきちんと聞き取れた。間違いない、この人は『レーナ』って言ってた。私の認識で言ったら『レーナ』というのは名前で間違いない。ただそれが誰の名前なのかは見当もつかない。私は立花麗奈なのだから。


次の瞬間、巨大な人の腕のようなものが私の身体全体を包み込んできた。私は一応女の子で、多分全裸なので思うところはあるが、それは温かく、とても気持ちがよかった。この状況から考えると、それは私を眠るように誘惑する悪魔的存在でしかなかったが、私はあっけなくその誘惑に負け、眠ってしまった。


【称号スキル〖吞気なお嬢様:Lv1〗を獲得しました。】



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