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ザイカオクサツ~吉野翔太の怪事件ファイル2~  作者: 広田香保里
罪4 永久の零を望む者達
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零の駆け引き

 大学にあるサークル、部活動用の更衣室は高校のものとは全然違うのが意外だった。

シャワー室まで完備なのは良いけど、誰でも24時間使える状況は予算的にどうなのだろうと場違いな感想を抱く。

……館華星さんの言葉が脳から離れない。

分かってて言ったのは。

言わずにいれなかったから。

ずっと思ってた。

私が館華星さんの立場だったらどうなってたかを。

だけど考え方が違った。

温水が出るのを確認し、シャワーを身に受ける。

気付いてしまった。

誰もいなかったら。

どの道良い結果になんてなってないんだって。

だからこそ言える。

自分がどん底の状況で会った人が善か悪かじゃない。

自分の意志がどん底に落ちて無かったらそんなのは関係無いんだ。

だから館華星さんにそれを伝えたかった。

善人か悪人かなんて境界線なんて私には持てない。

兄が犯罪者で、その汚名を背負わされた私だから言える。

そのまま翔太さんに頼ってれば。

きっと未来は変わったって言えるから。

翔太さんを選んでれば良かったのに。

翔太さんに負い目があるって自分で認めてる。

私にはその意志さえも無かった。

だけどあの人にはそれがあったんじゃないか。

それに。

犯罪を犯したって世界は変わらない。

何も生み出されない。

自分の中に罪となって入り込んで。

経験になるだけなんだ。

シャワーを止める。

そんな事で人を巻き込むのは間違ってる。



 正義さんは次の計画の為に行動しています。

扉を開け、手錠に繋がれた彼女の姿を確認すると、既に目を覚ましていたようでした。

衣服と武器は回収し、下着姿の阿武隈川さんの表情からは恐怖は感じられません。

流石は犯罪者と褒めるべきなのでしょう。

「以前にも同じ状況になった事があるだけ よ」

 他にも黒の御使いみたいな犯罪者がいるって事でしょうか。

ですが彼女は口を閉ざしたまま。

話す気は無いと言う事でしょう。

拳銃を彼女に向け、発砲する。

勿論彼女に今は危害を与えるつもりはありません。

反応を見る為。

「ちゃんと狙わないとこの距離でも当たらないわよ」

 犯罪者に、一般的な方法を順番に試しても仕方が無さそうです。


「他のメンバーの居場所を教えて頂けますか」

「知ってて答えると思うのかしら?」

「吐かせます」

「残念だけど、知らないわ。目的を達成するかエージェントが死んだ時点で、この組織はもう存在意義が無いのよ」

「メンバーのリスト位はあるでしょう」

「裏サイトはもう消滅してるから、知る術はもう残って無いわ」

「嘘をついている訳では無さそうですね」

「ただ、松本の居場所なら想像がつくわ」

「簡単に吐くのですね」

「あいつは別。最も不幸にしたい男」

「どこにいるのですか」

「特別なお墓にいるわ。松本にはもう目的が無いんだから」

「どうしてそこにいるとお考えなのですか」

「そこは私が作ったお墓。そして松本の妻を、自分で埋葬させてあげた。松本には彼女しかもういないから」


 無駄足だったでしょうか。

阿武隈川さんも既に知っているでしょう。

松本大河さんは既に拘束されている事を。

それを敢えて言う意味は。

多分罠か何かだと思った方が良いのかもしれません。

正義さんには一応連絡をしておきます。

他のメンバーで我々が既に知っている人物を。

正義さんが殺害しに行っています。

以前、拘束した男性メンバーの身分証をわざと残し、黒の御使いが動くかどうかを確認した際に判明したメンバーを。

ですが、想像以上にガードが堅い。

何を持ってこの組織が成り立っていたのかが気になる所ですが。

「どうしたの? そこに松本がいるのよ?」

 時間があまりありません。

後半日拷問にかけて吐かないようであれば殺害、の方向に切り替えます。

「延命に意味は無いわよ。もう解散したも同然なんだから」

 こちらの手の内を隠しても仕方が無いでしょう。

紙を阿武隈川さんに見せると、表情が僅かに硬くなったのを見逃しませんでした。

「情報を持ってて何故私を拘束したのかしら」

 主な目的は2つありました。

1つは他のメンバーの詳しい居場所を聞き出す為。

もう1つは。

これまでの標的と違う為です。

今までは公になっていない犯罪者を裁いて来ましたが。

これから行う殺人は。

公になっている犯罪集団を裁く。

それを決して我々の行いだと表に出してはいけないのです。

我々の行いは正義であってはいけない。

悪だと言う覚悟。

「それが自分達を正当化する理由になると思ってるの? わざわざ私に言うって事はそう言う事よ」

 我々を正当化する必要はありません。

阿武隈川さんは。

必要な情報を吐き出させれば殺します。

それに。

もう1つだけ個人的な理由があったから。

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