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ザイカオクサツ~吉野翔太の怪事件ファイル2~  作者: 広田香保里
罪4 永久の零を望む者達
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零の最終予測

 倉田さんから指定された場所は、物々しい警備体制が敷かれてた。

警備に驚いたのは、建物自体が普通の家だったから。

ここに、会って欲しいとわざわざあたしを指名した。

そんな人にまるで心当たりがない。

案内された建物内部は刑務所そのものだった。

ここがどう言う所か説明はされなかったけど、何となく察する。

犯罪者の中でも特別な人を拘置する場所じゃないだろうか。

案内された部屋は面会室だけど、まだその人は来てないみたいだった。

椅子に腰かけ、待つ。

何となく分かった。

そんな特別な事件って言えば。

警視庁襲撃事件位しか思いつかない。

扉が開き、予想通りの人物が入って来る。

黒の御使いによる襲撃。

その中でも重要な位置にいたって思われる人物を、楓さんは確保したって言ってた。

その人物が。

目は虚ろで焦点が合ってない。

まるで生気が感じられない。

本当にあの松本大河なんだろうかと錯覚さえしてしまう。

松本と目が合う。

「沙……耶……?」

 え?

ガラスに張り付くように、あたしを見る姿にさっきまでの死人みたいな様子はなく、恐怖さえ覚える。

「生きて……たのか」

 力が抜けたように座り直し、力無い笑いは壊れた人形みたいだ。

そう言えば、こいつはあたしが沙耶って人に似てるって言ってた。

それは倉田さんに話してたから……そう言う事かと気付く。

要は情報を引き出せると期待したんだろう。

……やれるかは分からないけど、やれるだけやってみよう。


「どうしてこんな事をしたの?」

「聞かれると思っていたよ。君がいない世界で、僕は絶望していたんだ」

「喜ぶと思う?」

「君は僕に生きてと言った。だが君のいない世界で生きる事は地獄そのものだった! だが、もう戻る事は出来なかった」


 病院の地下室にあったカプセル。

あれを使って沙耶さんを救おうとした。

その為の資金として黒の御使いを選んだって事だろうか。

今まで得た情報と今の松本の話を総合すればそんな所だろう。

皮肉にも沙耶さんの最後の言葉で。

生きる事も死ぬ事も出来なくなった。


「一つ聞いても良い?」

「ああ。構わない。沙耶」

「色々話を聞いたんだけど、PCPを襲撃した理由は何だったの?」

「計画に必要だったからだよ」

「本当にそれだけなの?」

「……」

「計画に必要だった事は事実だと思うけど、それだけは嘘、よね」

「……」

「チャットを申し込むだけで良いはず。実際にPCP拠点にまで行くメリットは、あんまり無かったんじゃない?」

「一目見て、君に重ねてしまった女性がいた……。 死んだと思っていたのに。自分で埋葬までしてしまったのに。それでも重ねてしまったんだ。こんな僕は浮気者と呼べるかもしれない」


 また情報が出た。

奇妙な形のお墓。

そこで松本は自分で埋葬をしたって事実。

けど、そんな奇妙な建物を自分で作るだろうか。

それに自分で建てたなら埋葬してしまったなんて言わない。

……皇桜花だろう。

何となく松本の考える事は分かった。

だけど、救うかどうかは別。

……。

だけど翔太だったら。

それでも救う道を選びそうな気がする。

あたしの考えと翔太の願い。

天秤に掛けるまでも無かった。


「絶対に生きて?」

「ああ。生きるよ。ここから出られないとしても、君が生きているならそれでも構わない。沙耶」


 これで良い。

死刑になるとしても。

利用してるみたいで気が引けるけど。

知るべき情報は知れたと思う。

だけど松本個人に関する事しか知れてない。

久遠正義を捕まえる為にさっきまで動いてた。

だから今は何もしてないに等しい。

せめて久遠に関する事を知る事が出来れば。

だから松本があたしになら答えてくれる事を利用する。

久遠正義に関する情報を松本に伝える。

久遠ならどこで死のうとするか。

犯罪者には犯罪者。

「久遠正義を捕まえる気なのかい? 沙耶」

 黙って頷く。

「恐らくスカイツリーだろう」

 0の世界が瞬時に浮かぶ。



 爆弾による混乱と、ネットに上げた犯行声明での混乱はこんなもので良いだろう。

より動きやすい状況を作る。

世界の誰しもが思っている事だろう。

ここで終わると。

だがそうではない。

通話での連絡を行わないのは、時間の削減と通信傍受を防ぐため。

それでは遅い。

予め全てを決め、それを実行に移すのみ。

犯罪者にとって、殺人は手段に過ぎない。

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