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ザイカオクサツ~吉野翔太の怪事件ファイル2~  作者: 広田香保里
罪4 永久の零を望む者達
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世界の定義

『なるほど……確かにそれは疑問ではあるわね』

 楓の声の向こうから声が聞こえて来る。

叫ぶような、助けを求めるような。

……一体こいつはどこにいるんだろうか。

『考えられる可能性は、久遠正義が何かを隠す為に焼き払った可能性はあるわね。恐らくだけれど、古い手帳の他に、隠したかったものがあったのでは無いかしら』

 ……え?

要は、どう言う事かと聞く。

『勿論、それを探して来て欲しいと言う事だけれど?』

 そっちも只事じゃない状況じゃないのか。

『流石に動物的な勘は働くのね……』

 いちいちイライラするような事を言って来るけど、あたしが言った事は間違って無いみたいだ。

『爆弾テロ事件の現場にいるわ』

 ……。

通話を切ろうとする。

『貴女は続けていて頂戴!』

 怒鳴り声にも似た声を、こいつが今まであげた事があっただろうか。

『必要になるかもしれないわ。だからお願いするわ』

 一方的に通話が切られる。

何に対して必要になるかは分からない。

このままここで続けて良いんだろうか。

理由を言わずに切ったって事はそこまで余裕がある状況じゃない。

爆弾テロがあったんだから当然だ。

翔太達が仮に巻き込まれたんだとしたら、流石に楓はあたしに言う。

第一、本当にそのケースを考えてんならとっくに電話してる。

暗い鏡道を抜け、森田さんが何故かバッグを持ってる。

「軍手やスコップ等の道具が一式入っております。宜しければお使いになりますか?」

 こう言う作業って、普通男がやるものじゃないだろうか。

「ご安心下さい。私も手伝いますので」

 そう言う事じゃない。



 犯行声明まで出しておいて、人知れず死ぬ事は無い……か。

華音ちゃんの考えは最もだろう。

最も人が集まる場所はどこか。

いや、違う。

考え方を変えた方が良さそうだ。

……。

スマホが鳴る。

『鮎川君はいるか?』

 拓さんからの電話。

何か進展があったんだろうか。

「どうかしましたか?」

そう願ってるだけかもしれない。

こっちの進展が何も無いから。

どこかに突破口を求めてる。

『今から会って欲しい人物がいる』

 このタイミングで?

「あたしに? 誰とですか?」

 拓さんが言葉を選んでるような間が空く。

『……会えば分かる。それに、可能性があると考えた』

 由佳は俺に目線を向ける。

俺は黙って頷く。

「向かいます」

 由佳は出て行く。

拓さんは狙撃現場の検証は終わったんだろうか。

『今は……爆弾テロが起こった現場だ』

 モニターで見たくも無いような地獄の光景が広がってた。

『狙撃現場はもう大丈夫だ。後は久遠正義……だな?』

 通話が切れる。

久遠正義。

闇雲に探しても見つからない。

……。

落ち着いて考えろ。

これまで奴は警察の介入が入らない離れた場所での殺人を行って来た。

それが、ここまで警察が。

それだけじゃなく自衛隊まで動いた今回とは明らかに違う。

そこに奴の居場所を知る手掛かりがあるんじゃないだろうか。

そして、姉ちゃんが見つけたもの。

殺人舞台になった場所の崩壊。

この事件が起こる前に、既に壊された可能性があるとして。

実行したのは久遠に違いないと考える。

だとしたら何の為にそんな事をやる必要があったのか。

0の世界を作る為に必要だった?

理由としてそれがしっくり来そうではある。

けど、それ以上の理由がある気がしてならない。

それに久遠は俺が必要なピースだと言った。

これら全部を繋ぐ場所。

……世界?

久遠のやろうとしてる事は0の世界。

世界って何だ?

その後の世界?

違う。

久遠が言った0の世界。

わざわざ俺に言う必要はない。

目的を俺に言ったこと自体に意味があるんじゃないだろうか。

世界……。

ハッとする。

もしかしたら……。

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