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ザイカオクサツ~吉野翔太の怪事件ファイル2~  作者: 広田香保里
罪5 半紀を超えしモノ
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前提条件は疑われて然るべきもの

 今日は随分と昔話をする日だ。

久遠の事はあまり人に話したいとは思わなかったけど。

こうして今も変わらずにいてくれる友達がいる。

だから話した。

犯罪を犯して自殺した秀介にそっくりな事。

幾度と無く送られて来た殺人予告を防ぐ為に動いてた事。

0の世界の事。

憎しみを自分に集め、大々的に死ぬつもりだったのを止めた事。

犯罪を0にしたいと願った事。

真白がどんな顔をしてるかは見なかった。

PCP以外でこんな話をするのが初めてだったから、俺自身の顔を見られたくなかったのかもしれない。

「昔と変わって無くて良かった」

 いや、昔と変わったと思う。

少なくとも、昔はこのままでいれば良いと思ってた。

ずっと続くなんて、バカみたいな事を願って。

行動しないといけない事を知ってしまった。

「昔だって。仲間が何かあった時には一番に動いてくれてた。紅葉の大切なものが無くなった時、真っ先に見つけてくれた」

 ……。

そんなの、当たり前じゃないか。

仲間といれる空間があればそれで良かった。

「変わってないよ。翔太の力に、少しずつ皆気付き始めてるってだけ。それを、翔太は活かして行動してるだけ。何も、変わって無いよ」

 そう言う真白は変わった気がする。

「私は、ここに残るって決めた。皆が戻って来る事を知ってるから。お父さんも心配だし。 ……これからは毎年、帰って来て欲しいかな」

 意地悪く言う真白に、どちらからともなく笑う。

うん。

真白に約束する。

じゃあと立ち上がり、戻る事にする。

「教えてくれてありがとう」

 でも、見違える位に綺麗になったのは、真白も変わりたいと願ったからだと思うんだけど。

「それは秘密」

 振り返った真白の表情。

これ以上聞いて欲しくないって言ってるようだった。



 桜庭さんから連絡があった事に気付いたのは、家に着いた昨晩だった。

珍しいと思いながらも、用件は教えてくれなかった。

それ位は話してくれても良いのにとPCP拠点に向かう事にして現在に至る。

話す事があるから丁度良かったと言えばそうだけど。

館華さんが言ってた手法をPCPが情報として持てば、今後に繋がる事は間違いない。

でもそれは。

同時に館華さんを救えた筈の自分がいた事も思い出すって事。

……。

もう何を言っても無駄なのは分かってるのに。

後悔してしまう。

翔太さんも。

兄さんの事をずっと後悔して。

こんな気持ちで過ごして来たんだろうか。

前を向かないといけないのに。

いつまでも後ろを振り返るような矛盾した感覚。

救って貰ったんだから。

もう立ち止まる訳には行かない。

翔太さんも。

由佳さんに救われた。

ただの偶然かもしれないけど。

そんな事はどうでも良かった。

いつもの如く桜庭さんに作って貰ったカードキーを差し、大学校舎内に入る。

ここに来るのは久し振りだ。

大きな事件が片付いたって言うのもあるけど。

一応私は受験生だ。

推薦が取れるようにはしてるけど、目的があるからその為の勉強はしてるから。

館華さんの件もあって中々来れなかった。

PCPの扉を開けると、桜庭さんは既に中にいた。

PCモニターにはウィンドウが沢山表示されてて、何かを調べてるのだけは分かる。

だけど本人は座りながら眠ってた。

……昨日から夜通しだったんだろうか。

大きな事件が起きてる?

急がなきゃいけないのかもしれないと本能的に思ったのは。

黒の御使いと久遠の事件があったから。

それに翔太さんと由佳さんもいないって事は。

既にどこかに向かってるんだろう。

寝てる場合じゃありませんと大声で、桜庭さんの体を揺さぶる。

桜庭さんは体をビクッと震わせ、何事も無かったかのようにモニターに向かう。

……背伸びをしながら。

「早かったわね」

 そんな場合じゃないですと言うけど、何かおかしい。

「何をそんなに慌てているのかしら?」

 溜息をつく。

先に用件を聞いた方が良さそうだと悟る。


 ……。

自分で淹れた紅茶を飲む。

50年前に起きた未解決事件の調査……。

「期限は久遠らの死刑執行前よ」

 ……どうやって解決するのか想像すら出来ない。

その解決を翔太さんが久遠から依頼された……。

だけど、50年前の事件の証拠なんて出るんだろうか。

「出ないと考えた方が良いわね。要はどこまで推論を立てられるか、にかかっている。後は途方も無い情報から、それらしき情報を探り当てられるかどうかね」

 ……本当に気の遠くなるような作業だ。

翔太さん達は帰省中との事で安心した(事件現場に向かい、危険な目に遭う事だってあり得たから)。

それに、この人のあんな無防備な姿を見る事になるとも思ってなかった。

「あら、何の事かしら?」

 平静を装いながら、青筋が浮かんでるのが直ぐに分かる。

それは兎も角、昔の秘密結社にいた人物が、三条葵さんって人の情報を何かしら握ってる可能性がある。

だから刑務所に行き、服役者と話をする為に私が呼ばれた。

「そう言う訳よ。詳細は移動中にでも話すわ」

 ……。

何だろう。

漠然と今までの話に違和感がある。

「どう言う事かしら? まだ概要しか話していないけれど」

 翔太さんの推測にじゃない。

もっと根本的な所。

……そうだ。


 どうして久遠は翔太さんに依頼したのか。


「私達に知りようが無いと思うけれど?」

 館華さんの話を思い出す。

事件概要から推測を立て、実際にアプローチをかける。

館華さんが言ってた事が本当だとすれば。

殺人教唆の前に久遠がやってた事って。

未解決事件の解決に他ならない。

その久遠が。

ある意味自分の専門の分野を翔太さんに依頼するんだろうか?

桜庭さんの表情が変わる。

「その話、詳しくお願いできるかしら?」

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