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進展がありました。

 朝、何やらざわざわした空気に目が覚めた。


 何だか街が騒がしくない?

 ロフトの横にある小窓から外を覗いてみるけど、特に何も見えない。


 ロフトから降りて、すでに起きていたデスに朝の挨拶を告げてからそのことを聞くと、

「何かあったんだろうな。」

 と、どこ吹く風でお茶を飲んでいるのだった。


 気にならないのかな。

 ギルドで何かわかるかも。

 少し急いで着替えると、デスもコートを羽織った。


 そんなデスにちょっと笑いながら、外に出てみた。


 やっぱり、何かざわついているよね。

 落ち着かない。


 ギルドへ向かって歩くと、立ち話をしている人もチラホラ見える。

「まなさん!」

 突然名前を呼ばれた。

 マルさんだった。


「まなさん、聞きましたか! 捕まったみたいよ!」

 興奮したマルさんが駆け寄ってきた。

「捕まったって?」

「強盗よ!」

「えっ!?」

「今朝、ツクノ平原からエルドラドに向かっている馬車が襲われているところを、冒険者が止めたみたい。今ギルドに運ばれてきたみたいよ。」

「本当に!?」

「ええ。でも、怪我人も出ているらしくて、どんな状態なのかはこっちまで伝わってこなくて。」

「怪我は酷いの?」

「詳しくは知らないの。でも運び込まれているのを見た人がいるの。」

 回復薬が必要になるかもしれない?

「ギルドへ行ってくるわ!」

「ええ、気をつけてね!」


 デスと早足でギルドに向かった。


 ギルドに近づくほど、喧騒が大きくなっていった。

 街の人たちの様子が、マルさんの言葉を裏付けていた。

 本当に強盗が捕まったんだ。


 人混みをかき分けギルドの中に入ると、特に治癒室が騒がしかった。

 気をしっかり!

 とか、回復薬!

 とか緊迫した状態だった。

 これは邪魔になるといけないから、お邪魔するのはやめよう。


「おい。」


 デスの顎が指す方を見ると、グレルさんと他に何人かの冒険者が奥の部屋から出てきたところだった。


「グレルさん……!」

 私たちに気づいたグレルさんは、軽く頷いただけで冒険者たちと一緒にギルドを出ていった。


「グレルさんたちが捕まえたのかな。」

「かもな。」


 ギルドのカウンターでは、足止めを喰っていた商人たちが、今だとばかりに詰め寄って列をなしていた。


 その時。


 うぉっほん!

 と咳払いが聞こえて、一瞬静かになった。


 ギルドカウンターに乗ってまっすぐ立っているお爺さんがいた。

 一見小柄で、シワと白い眉毛が覆い隠した目を小さく開けている。


「ボッシュさん! カウンターに乗らないでください!」

「お。おお、すまんの。」

 そう言ってシュタッと一回転しながらカウンターから飛び降りた。

 おおっ。

 と、周りからは驚いた声が上がる。

 何者だこの爺さんは? と誰もが思っているに違いない。


「うぉっほん。私はボッシュ。皆の者、しずまれい。」


 もう静かになっていますけど……。


「うむ。落ち着かれい。たった今、我がギルドの冒険者が盗賊なる者を捕獲した。怪我人も無事回復できそうである。」

 周りが顔を見合わせたり、何やら話したりして会場がまた少し騒がしくなった。


「しかし!」


 ボッシュさんの声に、また静かになる。

「まだ残党の有無も懸念される。ただ今取り調べ中でまだはっきりとはしていない。よって!」

 辺りを見回す。


「外出は各々の責任でお願いいたす! ただギルドとしては、控えることを提案する!」


 ざわざわと声が上がるが、中に何人かはもう外へ出る準備をしていると見て取れる人もいた。


「捕えた盗賊に、ランクAの冒険者をしかも二人も倒せるとは思えんのじゃがのう。」

 ポツリと呟いた言葉に、一瞬周りが固まった。


 ということは、他にもいる?

 このお爺さん、何者かな?


 すると静かにしていたデスが、そっと囁いてきた。

「今のところエルドラド周辺には、冒険者と弱い魔物しかいなかった。」

「そうなんだ。じゃあ、今のところもう大丈夫なのかな?」

「……いや、用心しよう。」

 私は黙って頷きで答える。


 ボッシュさんがいなくなると、合わせて波が引くように人もパラパラと帰っていった。

 ギルドで足止めを余儀なくされていた人たちも、何人かは出発したようだ。


 その後は今のところ、特に緊急依頼もなさそうだったし、新たな依頼を受けようと掲示板を覗きに行った。

 強盗が出てからランクFの仕事は、エルドラド内の仕事に殺到していた為、もう外の依頼しか残っていなかった。

 盗賊が出たのは、いずれもここから距離のあるツクノ平原だし、近場なら大丈夫だろうとエルドラドから少し行ったところでの依頼を受注。デスと相談して決めた。


 ランクF依頼内容

『 ねむり草』の採取

 場所・ヴィーシニの泉

 期限・いつでも

 報酬・採取量に答えます。ただし乱獲は禁止。

 依頼主・素材屋 デナミス

 納品報告はギルドまで。


 これを私が受注。デスは、討伐系を選んだようだ。


 ランクF依頼内容

『グリープ』の討伐(十匹)

 場所・ヴィーシニの泉

 期限・ただ今大量発生中のため、調整中。

 報酬・グリープの胞子と交換(十匹分約銀貨五枚)

 討伐報告はギルドまで。


 ヴィーシニの泉はエルドラドから南下したところにある泉らしい。

 私は行ったことないけど、デスが何回か行っている。

 冒険の初心者が、採取、討伐共にチャレンジしやすく、腕を磨き始めるのにちょうどいいらしい。


 その時に、今はもう姿の見えないお爺さんのことをカウンターで聞いた。

 ボッシュさんだっけ。


 そしたら、一応ギルドの職員だと言われた。

 一応ってなんだろうね。

 そんな疑問に気づいたのか、苦笑いしながらあまり来ないんだと教えてくれた。

 そういえば今までだって会ったことないね。


 二人で掲示板から剥がした依頼書とギルドカードを出して、受注の手続きをする。

 ギルドカードを返してもらって振り向くと、バッシュさんとザイトさんがいた。


 あの事があってから、全く話しかけてこなくなった。

 けど、よほど説教されたのか悪いオーラを向けて来る事もなかったので、気にしないようにしている。

 デスも気づかないようにさっさと通り過ぎていくので、慌ててデスの後を追う。


「泉までそんなにかからぬから、まずは腹ごしらえをして向かうか。」

「……そういえば、朝ごはん食べてなかったね!」

 そうだよ。忘れてた。

 思い出したら、お腹が急に空いてきた。



読んでいただき、ありがとうございます。


昨夜更新をしている時に寝てしまいました。

気づいたら保存していなかったみたいで消えていてショック!

思い出しつつ新しく書くつもりで書き直しました。

次からは気をつけようー。

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