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6話「選択肢」

「浩ってばひどいのよ、わたしが買ったプリン食べちゃうんだもん。たとえ家族だとしても、人のものを食べちゃうのって犯罪よ。絶対、ろくな大人にならないんだから」

「まあ浩も食べ盛りなんだし、大目に見てやれよ」

「淳一は甘いの! そんなんだから浩があんな風に育つのよ!」


 さて、このやり取りも約31回もやってると飽きたな。

 飽きを通り越すくらいの勢いの飽きが来てる。

 まずは小さいとこから変えていくか。


 この何回も繰り返した浩のくだり……変えてやろう。

 よし、話題を変えよう。


「唯ってさ、好きな男のタイプってどんなの?」

「!? い、いきなりどうしたのよ! そんなこと聞いて……」


 あからさまに頬を赤らめる唯。

 やっぱり、こいつこういう質問には慣れてないだろうな。

 って俺も勢いでこんな質問しちゃったけど。


「まあ、なんとなくだ。で、どんなやつなんだ?」

「……そういうのあんまり考えたことないけど……よく気心が知れた?……人がいいかな……」

「ほう……なるほどな」

「って! 何やこれ!」


 ドスッと唯の腹パンが決まる。


「痛えな! 俺は俺のサンドバッグじゃねえんだが!」

「うるさい! 淳一が変なこと聞くからでしょ! ばか!」

「はい、はい。どうせ俺はバカですよ」


 唯がムッとした顔をしながら、俺をにらめつけてくる。

 しばらくするとぷいっとそっぽを向いた。


「じゅ、淳一の好きなタイプはどういう子なのよ?」

「お、俺の好きなタイプ?!」

「そ、そうよ! 私だって答えたんだから教えなさいよ!」


 どうしよう。ここはマジレスするべきなのか?

 それとも、笑いを取るべきなのか?

 過去にはなかった展開だ。

 慎重に選ばねば。


 選択肢1 「おっぱい大きくて性格良くて俺を養ってくれる子」

 これは、絶対ダメなやつだ。

 いや、もうこれは俺の理想すぎるが。

 唯には通用しないだろう。


 選択肢2 「お前だよ」

 これは……俺が恥ずかしいわ!

 唯のグーパンが目に浮かぶな。


 選択肢3 「唯と同じで気心が知れた相手かな。」

 これが……無難だな。

 可もなく、不可もなくって感じだ。


「唯と同じで気心の知れた相手かな」

「何よそれ。それタイプでも何でもないじゃない!」

「お前だってそう言ってたじゃねえか。俺は気心が知れてずっと前から知ってるような幼馴染みたいな子が……」

「あ、あんた何言ってんの! それってもしかして……」


 キーンコーンカーンカーン

 朝のホームルームの開始チャイムが鳴った。

 俺と唯は今、登校中で学校付近を歩いていたため、既に遅刻である。


「!! チャイム鳴っちゃったじゃない!! もう!淳一がくだらない質問するから完全に遅刻だわ!急ぐわよ!」

「全部俺のせいかよ!」


 俺たちは、全速力で教室へと急いだ。

 さっきの話で、唯が俺のこと意識してくれるといいなと思いながら、教室へと急いだ。


 ……ちょっと待てよこのまま教室へと向かったら唯と相川が出会い、相川の出会って10秒で告白が起きてしまう。

 これはゴールへと遠のいてしまう。


「唯ちょっと待て!」


 教室へと向かう階段を登っている最中、唯を止めようと、俺は唯に話しかけた。

 俺たちの教室は3階にある。


「何? 淳一どうしたの?」

「いや、もう少しゆっくり行ってもいいんじゃねえかなって。どうせ遅れてるんだしさ」


「ばかなこと言ってないで行くわよ淳一!」


 唯が俺の手を引っ張り、階段を登っていく。

 階段を登り、教室の前に到着し、教室の扉を開けた。


「遅れてすみません! 先生!」


 唯が先生に謝りながら教室に入っていくと、案の定、先生の隣には相川がいた。

 分かってはいたが、丁度相川を紹介していた最中だった。


「松村と安藤は相変わらず仲良いな仲良く遅刻とはな。まあ話は後で聞くから、とりあえず席座れ」


 唯と俺が自分の席に座ろうとした瞬間


「一目惚れしました! 僕と付き合って下さい。」


 相川がいつの間にか唯の目の前に立ちそう言い放った。


 おいおい、またこのパターンかよ……


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