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3話「孫」

 一体どういうことだ?

 何故、また7月7日に戻ってきているんだ?

 時間が戻ってる?

 もしかして俺だけが戻ってるのか?

 いやもしかしたら、時間だけが戻ってるのか?

 唯や他の人は昨日の記憶を持っているかもしれない


「唯! 今日は何月何日だ?」


 思わず目をかっと見開き、唯に尋ねる。

 唯は、びくっとびっくりしたように少し体を震わせた。


「何月何日って7月7日じゃない。どうしたの淳一?」


 やっぱり戻ってるのか……


「ああ……だよな……」

「ほんとどうしたの淳一?寝ぼけてないで早く起きて学校行くわよ」


 唯が無理やり布団をひっくり返す。

 ここまでは同じだ。

 そういえばまだ唯の胸触ってないな…

 ってこんな時に何考えてんだ俺

 11年前に戻ったのもおかしい出来事であるけど戻って

 過ごした1日が無かったことになるなんてな…

 部屋を見渡すと、壁に昔好きだったアイドルやバンドのポスターが貼ってある。

 部屋は、この頃から汚い。

 たまーに唯が掃除しに来てくれたりした。


 なんかもうわけわかんないわ…


「寝ぼけてないで早くご飯食べて学校行くわよ」


 昨日と同じ展開だ。

 もう考えるのがめんどくさくなってきた。

 そのまま流してやる。

 半ばヤケクソの気持ちで、この異常な出来事を解明することを今日はもう、やめることにした。


 その日は、昨日の過ごした内容と全く同じことをして過ごした。

 寝たらどうなるかわからないがとりあえず寝よう今日は疲れた。


 パァァン

 痛い……

 またか……

 また戻ってるのか……


「淳一、早くしないと学校遅れるわよ」


 聞き慣れた唯の言葉。

 どうやらまたらしい。

 一度ならまだしも二度あるということは、これは3度目あるということだな…

 永遠に続く地獄か?これは…



 気がつけば、あれから30回は戻ってる気がする

 体感的に、1年程の長さの時間を費やした感覚だ。

 しかし、相変わらず、唯に叩き起こされるところから始まり、クソまずい飯を食わされ、相川と唯は仲良くなり、最後は唯と喧嘩して終わる結末だ。


 過去を変えてはいけないという自分に課した決まりを、守っていたから仕方ないが。

 約31回目の今回は、過去と違う選択をしようと俺は決心した。

 約10回目辺りで、精神が崩壊する寸前まで…いや一周通り越してやっと過去を変えることを決心した。


 今は、約30回目が終わる直前…寝る前である。

 記憶は、そのままだから作戦を立てるぞ。

 まず、唯からのビンタを回避する方法を考えよう。

 …………


 そうだ、唯が来るよりも早く起きればいいのか。

 30回目にして気がついたぞ。

 でも、どうやって起きるんだ?

 俺は、昔から朝が弱いからな。

 目覚まし時計があれば、なんとか起きれるが

 おそらく戻っているの俺だけだから道具を使ったことは無理だろう。


 ならば……

 寝なければいい。

 簡単なことだ、寝なければいいのだ。

 ずっと起きていれば、起こされることはない。

 今、思いつく中で1番の策である。

 そうと決まれば俺は寝ないぞ

 かかってこい唯!


 …………

 1時間後

 …………

 zzz


 パァァン

「淳一、早くしないと学校遅れるわよ」

 頬が痛い……

 てことは……くそ失敗しちまったのか

 そう思った矢先、まるでビデオを巻き戻したかのように、唯が発した言葉が逆再生され、

 唯が繰り出したパンチが唯の手元に帰る。

 なんだこれは……時間が戻ってる瞬間?

 すると、目の前が真っ暗になった。

 灯りが消えたというより、目を開けているのだが目を瞑っているかのような感じだ。


「全く、ようやく気がついたようね」

「誰だ!?」


 中高生くらいの女の子の声が聞こえた。

 視界が明るくなり、声の主の顔が少しずつ見えてくる。

 黒髪ロングの顔の整ったどこにでもいそうな高校生くらいの女の子だった。

 さっきまでいた唯の姿がない。


「やっと気が付いたようね、松村淳一。31回目にしてようやく」

「気が付いた? 何がだ? お前は一体誰なんだ?」

「よくぞ聞いてくれたわ。私は松村由夏。松村淳一、おじいちゃんの孫よ」




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