63話 襲撃
敵が襲ってきた。
戦う。
逃げる。
➡隠れる
夜――。
「はいハイハーイ♪ 神妙にお縄についてね~♪」
俺らが泊まる筈だったの部屋に楽しそうに――ただし音痴な――鼻声で入ってくる人影。
「どこかしらね~子猫ちゃ~ん♡」
そうやって別途を探す野太い声。
うん。オネエだ。
「歌舞伎の女形か?」
咲耶。なんでそんなボケ噛ますの。俺を通して現代知識手に入れてるって言ってませんでしたっけ?
「弁天さん。少し静かにしませんか? ――逃げてしまいますので」
雪斎がそのオネエに向かって弁天と呼んでいる。
って、偽名からして、日本人だろうな……。
(日本人率。高いな~)
俺も含めて、信繫に雪斎に弁天……。
みんな偽名をとっさに使うのがすごいけど。
それにしても弁天って、神様?
「――歌舞伎じゃな」
「咲耶?」
「白波五人衆という歌舞伎の演目じゃ」
「へ…へぇ……」
咲耶さんその知識どこから。
「あらっ。ごめんなさ~い」
腰をくねくねして――うん。見ていて不気味だ――雪斎に迫る弁天。
「………」
雪斎の目が死んだ魚のようになっていく。いい気味。じゃなくて、そこまで力があるのか。
「でも、もういないようよ」
「――分かってます」
部屋を粗方見分して、雪斎がため息を吐いている。
「あの~。お客様~」
揉み手をして、宿屋の主が、二人に近づく。
「用件はお済ですか~」
「――ええ。お邪魔しましたね」
ちゃり~ん
主に握らせる金貨数枚。
「ありがとうございます」
おそらくあの金貨に雪斎の能力が掛かっているんだろうな。
二人は宿を出ていく。
「はぁ。やれやれ」
自分がマーキングをしたお釣りからすぐにここの場所に来るフットワークの軽さに驚きつつ、
ぺろっ
ベットの下から出てくる。
「まさか。バレないとは思わなかったよ」
ベットの下なんてお約束なのに。
「そうじゃな」
「夕日も大丈夫?」
「はい……」
何もないベットの下。そう思わせて声がする。
鏡である。
ベットの下に鏡を用意して見た目は床と変わらない姿を映していたのだ。
野宿も嫌。別の宿を借りる金もない。そこで考えたのは鏡である。
手品でよくある鏡の手腕。それを口にしてみたら夕日が張り切って咲耶と用意し始めたのだ。
そりゃまあ、苦労しました。
角度とか、大きさとかもろもろを工夫して――その方が安く済んだので――貼り付けて隠れたのだ。
「普段。特殊能力で調べているからこういうのを見落とすんだな」
警戒はしたのだ。いや、今もしている。
あの弁天という者の能力は不明だ。実はバレてないかと冷や冷やしているのだ。
「花は付けた」
あいつらが気付かない限り、我らが動きを把握できるようになっておる。
咲耶が告げる。
「ああ。うん」
こういう時は咲耶の力は便利だな。
「危険が迫る様なら起こしてやる。――眠れ」
「そうする」
その言葉に甘えて、ベットの下でそのまま眠る。
やわらかいベットで休みたかったけど、外じゃない分ましだと思いつつすぐに眠りに入った。
NG
探している敵。
「あっ」
見付かりました。




