39話 門。その正体
あっさり見つかったけど壊せません
門ですと言われて、どういう反応すればいいのか分からない。
「――成程」
咲耶の面白がる声――そう咲耶は面白がっていた。
「人の形か隠し場所としては良いかもしれぬな」
咲耶の言葉に青年は微笑む。
「ええ。場所ではないので分かりにくい。しかも移動します。――それに、私は出口です」
出口。
「それは……?」
「逃げてもすぐに見つかるのですよ」
だから逃げれない。
「まあ、幸か不幸か、出口の門は5個あります。ランダムなので、私以外の門が起動すれば逃げるのに時間は稼げるでしょうが」
それがいつになるのか分からない。
いつ開くか分からないのが怖いか。いつ開くか分からないから少しは逃げれると思うべきなのか。
「どうして…門に?」
人の形をしている門。元々そういう力がこの世界に来た時に身に付いてしまったので、そんな役割だとしたら、門は増えるという事にならないのか。
もしそうなら、俺達が門を破壊している間に増えるのだろうか………。
それに――。
「門を壊すという事は人を殺すという事になるんでしょうか……」
もしそうなら……。
(怖かった)
生きたい。帰りたい。その方法が門を壊して元の世界に帰る事だと決めたのは俺らだ。門を壊す時に恐らく門の管理人とかそういうのと戦闘になるんだろうと思われたが、殺さなくても――そんな技術はないが――気絶させてその間に壊せばいいと思っていた。
だけど、門が人で壊す方法が殺す事だとしたら――。
気が進まない。
正直に言えば。怖いのだ。
「………」
夕日がそんな俺の心情を――脳を覗いているから――読み取って、
「――僕は迷いませんよ」
生きて帰るのに殺す必要があるのなら。
「夕日」
俺より小柄なのに迷いのない決断。
「――そうですね」
青年が口を開く。
「殺す。間違っていません」
じゃあ、やっぱり殺さないと。
「でも、簡単には死にません。――死ねないように改造されているのです」
しゅるっ
服をはだける。
上着を脱いで上半身裸な状態で見せてくる。
「これって……」
心臓の位置に嵌め込まれた宝玉。
血のように赤く、毒々しい。宝玉なのに脈打ち、動いている。
「これが門の核です」
門の核……。
「これの破壊をすれば門が壊せます。ですが、この核は宿主――私の心臓と繋がっていて私の生命力を吸って生きてます」
生きている。そう言われると気味が悪い。
「これだけ壊せば私は助かります。だから」
一度区切り、
「私の核を壊してくれませんか」
願い。
「壊してか……」
それなら躊躇いはない。
「ですが気を付けてください。中途半端に壊すと私の生命力を吸い上げて修復します。そして、宿主が死ねば次の宿主に寄生します」
青年の声。
「彼女は……私に脱走に協力して、門を壊すのにも力を貸してくれました。ですが、攻撃はズレてしまい、私は先代の宿主を衰弱死させて」
言葉が切られる。
女性の目が逸らされる。
「失敗して次の宿主にされたのか……」
「ええ。――門は性質の悪い事に私の負の感情を吸い取って強度を増します。――私にとっての弱点は彼女です」
だから、
「時折思い出したように彼女を襲い掛かって恐怖を与えるんです」
「……!!」
なんてひどい。
「許せない……」
「そうですね。それが正しい反応です」
忌々しいそれに青年は触れる。
「私の先代もそうやって心が追い詰められていました。おそらく、他の門も」
かちゃっ
「だから、これを作りました。――門の行き先を知る事が出来る道具を」
門を壊せる可能性のあるモノを探して、
「……私のこの世界に来た力は、『未来予知』です」
目が開かれる。
だが、その片方の目は眼球が抜き去られていた。
NG
「私の先代も……あっ、言っておきますが、門の先代って意味ですよ」
鷹也
「分かりますので心配しないで下さい」




