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2話  少女

まだ主人公達の名前が出てません。

 ぺし

 ぺしぺし


「起きよ」

 声がする。

「起きた方がよい。――危機が迫っておるぞ」

 危機……?


 謎の女性。

 鎖。

 黒い靄に吸い込まれる自分。


 それを思い出して目を開く。


 脂汗が流れる。咄嗟に首に触れてしまう。


「今は平気じゃ。じゃが……」

 辺りを見ると首輪を嵌めた色んな者達。

 日本のサラリーマン。

 白人の女の子。

 アジア系の男性。

 

 いろんな種族。いろんな人種がそこには集められている。


 よく見ると、ゲームとかでお約束な耳の尖っているエルフのような外見とか、動物の耳のある人間とかも大勢いる。


 意気消沈している者。泣き喚いている者。無気力になっている者。

 あっ、サラリーマンの人ぶつぶつ独り言言っていて不気味だ。


「攫われた者達じゃ。そなたと同じ」

 耳元でささやかれる声。

 さっきから話しかけてくる声の主に視線をやる。


 桜の柄の着物を纏っている10歳ぐらいの女の子。鴉の濡れ羽色の髪ってこういうんだろうなと思わされる黒髪を腰まで伸ばして、黒曜石の瞳を向けてくる。


 はっきり言うと美少女だ。


「君は……?」

「――我に話し掛けぬ方がいいぞ。人前じゃ」

 少女のわりにしゃべり方がやや古風だな。時代劇の子役を見ているみたいだ。

 んっ? 人前じゃ話し掛けるなって、あれか知り合いと思われたくないとかそういう意味?

(先に話し掛けてきたのはそっちだろうに)

 世間は結構冷たい。


「忠告しておく。もし、名を聞かれても本名を名乗るな」

「えっ…?」

「偽名を名乗れ。じゃが、明らかに偽名と言うのも辞めてく方が賢明じゃ。あと、実際に居る者の名も辞めておけ。界を隔てても名の呪縛があるかもしれぬからな」

 そう告げると少女は、すっと、ずっと握ったままだった木の枝に吸い込まれていく。


「…………!!」

 驚いたが、人って驚きすぎると声が出なくなるものなんだな。まじまじと握っていた枝を見つめ。


「………俺が掴まったのって、木の枝だったんだ」

 そういや、街路樹があったな。

「桜の枝だったんだ………」

 器物破損になるんだっけ? 街路樹を――故意ではないが――折っちゃって。


 そんな事で不安になってしまうと――帰れなかったら折った事はバレないとか、折るきっかけを作ったのは自分だけど、折ったのはあの鞭を持った女性だから直接怒られないのかな――などと考えていたら。


「……」

 ふと、視線を感じた。


 ついそちらを見るとそこには一人の子供。フードで顔の殆どを隠しているが、じっと見られているのは分かる。

「………」

 独り言を言っていた――傍から見れば――ので奇妙な目で見られているのかと慌ててしまう。

 

 弁明した方がいいのか。でも、それをしてますます警戒されたら………。いや、それよりも彼女(?)は本当に自分しか見えてないのか。それ以前に彼女は何者なんだ。

 色々忠告してくれたけど……。信じていいものなんだろうか。まあ、信じるしかないのだろうけど。難しい事は言っていたけど、名前を名乗るなとか。界を隔てたとか……。

 界を隔てて……やっぱここは異世界と言うものなんだろうか。信じたくないけど。


 あっ、話がずれた。あの少女の正体。あの少女の正体。

(やっぱ正体って、桜の精とかそういう系? 幽霊とかじゃないよね。それは勘弁して!!)

 俺そんなの見えた事無かったけど。零感なんだから。


 そんな事を考えていたら。


 がちゃっ


「”あら、起きたのね”」

 自分を捕らえた女性が扉から入ってきたのが見えた。


「………」

 ああ。せめて夢オチを願っていたけど。そんな都合よくいかなかった。






NG

ぺし

ぺしぺし

ぺいしぺしぺし

ばんっ

どんっ

ぶんぶん

「起きよ」


スタッフ

「力入れすぎ~! 気絶してるから~!!」


主人公

(痛い……( ;∀;))

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