突然
それは突然の出来事だった。
彬子はいつも通りに会社へ行き、事務仕事をしていた。そんな時に彼らはやって来た。
バタン!
「きゃーっ」
彬子の部署の扉が開かれ、女性社員が悲鳴をあげた。それもそのはず。彼らは拳銃などの武器を手に押し入って来たのだ。彼らは一人の女性社員を人質にとり、叫んだ。
「相模 彬子!この女の命が惜しかったら……」
男は言葉を最後まで言うことは出来なかった。男の顔は潰れ、女性社員は彬子の腕のなかにいたからだ。
「ごめん、大丈夫?」
彬子のかけた言葉にも女性社員は答えなかった。否答えられなかった。震えが止まらなかったのだ。そんな彼女を椅子に座らせると、彬子は男たちに向き直った。が、次の瞬間、彬子は男たちをめがけて突進し、武器を叩き落とし、急所に拳を打ち込んでいく。六人ほどの「不審者」はあっという間に床に崩れ落ちた。
「黒木」
「はっ」
彬子の呼びかけに、どこからともなく現れた男が短く答えた。
「片付けを」
「はっ」
またもや彬子の言葉に短く答える男。
「村尾、状況は?」
「はっ、例のものたちが動き始めたようです」
またもやどこから現れたかわからない男が、彬子の問いに答える。
「この会社ともお別れか……」
彬子は呟いた。